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【追跡、こだま317号】  作者: 石田善二郎
第五章 激突、ジェラート大佐!!

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21/53

21 まあ、他に気にするべきことが絶対にあるだろ、という話であるが

「――それで? その……、岐阜羽島駅が、政治駅っていわれるのって、」

 ここで、瑠璃光寺が気になってきた。

 まあ、他に気にするべきことが絶対にあるだろ、という話であるが。

「うん。ここに、ね? 駅を建設するためにね……、政治家の、大野伴睦おおの・ばんぼくがいたからなんだよね」

 と、わざわざ答えなくていいものの、この西京も答える。

 続けること、

「先にもあげた、様々な問題――、特に、東京オリンピックの開業に間に合わすという、喫緊きっきんの課題があったからね。工期、コストの問題を解決するために……、なおかつ多くの人が納得するように、尽力したとされる」

「それが、その、大野伴睦って、政治家なんですね?」

「うん。まあ、何でも、義理人情に厚い――、家に入った泥棒にすら、慈悲をかけてお金をあげたなんていう、逸話もあるらしいからね」

「へぇ。すごい、ですね」

「まあ、基本的に、政治家に限らず、後世に自分の記録を残すのであれば、都合の悪いところは書かずに、良い記録だけを残したいだろうからね。実体は、分からないけどね」

 と、西京は答える。


 さらに続けて、

「そういった、政治家が駅の設置に尽力したから、『政治駅』ってことですよね」

「う~ん……、この段階では、まだ……開業、当初の段階では、ね? そんな、政治駅っていうマイナスな印象は、無かったらしいんだけどね。……まあ、かと言って、人間だからね? すべてがすべて、クリーンなわけではなく……、少なからず、政治家たちの都合があったり、利権だったりがあって、設置された可能性はあるだろうからね」

「まあ、人間、皆良い人間ばかりじゃないですしね」

「うん」

「それで、ね? たぶん、その、岐阜羽島駅と大野伴睦の関係が、政治駅として固定化されたのは、のちの、マスコミの影響なのでは――? と、思われるんだね」

「後の、マスコミの影響――、ですか?」

 瑠璃光寺が、聞き返すと、


「うん。おそらく、新幹線が開業したあとにはね、やはり、立地やアクセスの悪さから、『なぜ、こんなところに駅が建てられたんだ?』っていう話が出てくるのは、おかしい話でないからね」

「あ~……、それで、」

「うん。建設当初の様々な事情などあまり知らずに、『政治家が設置に貢献した』っていう部分だけが切り取られて、それが悪いほうに目立ってしまって、結果的に、岐阜羽島駅=政治駅という図式が固定化されてしまったんだろうね」

「そうなると、もう、それを覆すのは難しいですよね」

「人間、一度、悪い噂やレッテルが広まると……、それが間違いだとしても、訂正するのは難しいからね」

 話しながら、スマホで検索する。

 確かに、くだんの政治家――、大野伴睦とその婦人の像が、岐阜羽島駅に

設置されてある画像がいくつかひっかかる。

 やや、クラーク博士のように、未来の先を指さした初老の男と、和装をした婦人の姿という構図の像が――

 それは、さておき、


 ――パラァ、ァァ……


 と、外を見るに、吹き流すような雪が舞っていた。

「雪が、強くなってきたね」

 西京が、それを確認し、

「です、ね」

 と、瑠璃光寺が続いた。

 雪の粒の大きさといい、量といい、だんだんと勢いを増しているの見て取れる。


「まあ……、ここからは、東海道新幹線で一番の、豪雪地帯だからね」

 西京が、言う。

 とはいえ、スマホで見てみる。

 そこには、ただの天気予報のサイトやアプリではなく、特別調査課のVR室を通して分析した、気象のリアルタイム予測が表示される。

 その予測を見るに、まるで、ゲリラ豪雨ならぬゲリラ豪雪が発生せんとしていた。

「太郎さん……、これ、は――」

「う、ん……」

 ふたりの顔が、すこし険しくなる。

 これは、先に話した仮説が正しいのであれば、冷界人の彼らが、その力を発揮しやすい条件が整っていた。


 そう、頭に浮かびながら、

「もしかして、冷界人の、アベックたち、は――?」

「あっ、」

 と、西京は気になった。

 ただ、チラリ――と見て、

「特に、変わりはない、か……」

「え、え……」

 と、確認するものの、ジェラート大佐と黒づくめの女のふたりは、席から、動いている様子はない。

 すると、


 ――コッツ……、コッツ……


 靴音がして、と、鉄道警察のものたちが、やって来た。

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