表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
155/257

第32話 動揺


『第一試練がクリアされました!! 第二ステージが解放されます』


 聖暦905年6月7日(金曜日)午後9時に、ストラヘイムの上空から無機質な女の声が降り注いだ。

 同時にストラヘイムの城壁の外、約1km南の大地が割れて巨大で光輝く塔が聳え立ったのだ。

 ストラヘイム中の住民が外に出て、突如出現した夜空に光り輝く塔を見上げる中に混じり、二人の男もまた塔を眺めていた。


「第一試練の解放♬ ラーズっち、完璧に先をこされたにょーwww」


 マスクをした茶色の髪の青年が、さもおかしそうに、闇色の髪をオールバックにした片眼鏡の男の肩に右腕を回す。


「クソがっ!」


 片眼鏡の男――ラーズは悪態をつきつつも振り払った。


「多分、解放したのは、彼だろうねぇ♩」

「だろうな。この世界のゴミクズ共であのいけ好かない試練をクリアできるとするなら奴だけだ」

「うんうん、あのパズルだよねー♪ まさか、あのグリムでさえも解けないとは意外だったなぁ♬」

「だが奴には解けた。あの下らん試練をクリアするには、奴が必要ってわけか。殺すのは少し待ってもいいのかもな」

「なーに、心にもないこといってんのぉ? 元々、殺す気なんてこれっぽっちもないくせにぃwww」


 マスクの茶髪の青年は、ラーズに近づくと、肘でその腹部を小突く。


「何言ってやがる。殺そうとしたら、お前が止めやがるんだろうがっ!!」

「当然さぁ、あの子供とは思えぬ強さに、狂気性、そして何よりあの偽善者共を死ぬほど憎んでいるぅ♪ 彼は僕ら側の人間さぁ♬ 引き入れる以外に選択肢などないからねぇ♪」

「けっ! 奴は危険だ。見る度に別人のように強くなってやがる。早く排除しておくべきだと思うがな」

「あんれぇ、闘争大好きっ子とは思えぬ発言じゃなーい?」

「誤魔化すな。ネロ、お前、どういう腹積もりだ?」

「うーん、ただ、最近さ――いや、少し疲れただけだよ」


 初めてマスクの茶髪の青年――ネロからふざけた態度が消失し、ラーズからある商店の看板に視線を移すと首を左右に振る。


「お前――」

「大丈夫さ、僕は止まらない。いや、止まれない。そうする権利はもう僕にはないからね」


 ラーズの発言を右手で制し、寂しそうにそして、力強くそう宣言する。


「ならいい。ちょっくら、俺はあのダンジョンへ潜ってくる」

「はいはーい。気を付けてぇ」


 ラーズは不機嫌そうに鼻を鳴らすと、紅の炎と共に姿を消失させる。


「ラーズ、僕はね、もう一度会いたいんだ。だって、きっと――」


ネロの小さな呟きは、路上の喧騒に遮られ消えていってしまった。



 お読みいただきありがとうございます。

 三章に入りようやく、アストレアに続きカーディナルシンズの面々もでてきました。三章は彼らもストーリーに深く食い込んできます。お楽しに!


 活動報告に新しい書籍情報を投稿いたしますので、読んでいただければ嬉しいです!

 本作品「身体は児童、中身はおっさんの成り上がり冒険記」の一巻がツギクル出版社様から発売中です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タイトル身体は児童、中身はおっさんの成り上がり冒険記(コミック)
・ツギクルブックス様から、1巻、2巻発売中!!
・第三巻、11月10日に発売予定!
・コミックも発売中!
・書籍版は大幅な加筆修正あり!
・Amazonで第三巻予約受付中!
ツギクルバナー 小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ