やりたい事をやる
リエと合流して少し経ち、王都の迎え来る日の朝。
リビングにて全員が集まっていた。
「じゃ留守とは任せるぞ。ルシファー、ミカエル。」
「はい。異常があればすぐにこのメールで伝えます。」
「任せるがいい。まぁだが出来る限り早く帰ってきてくれると嬉しい。ゼラの手料理が食べれないのは結構辛い・・・。」
「何?。俺の料理って中毒性あるの?。」
若干引き気味になる。
「まぁそれは仕方ないかと。私も好きですし。」
ナルベアはニコニコと笑いながら言う。
「そうだね。先輩の料理美味しいし・・・。」
ワイワイと朝食後のお茶を楽しんでいると、
「ゼラ様。お迎えが来ました。」
リニがそう言って入ってきた。
「おう。じゃ行くとしようか。」
そして二人に見送りをされ家の前に止まっていた大型の馬車があった。
馬は全部で8匹の4匹で一台を引っ張っていた。
この他にも護衛のこれより小さい馬車が4つあった。
話はしてある為すんなり乗車、発車した。
班分けはゼラ、シス、スィーナ、リエとナルベア達とアウラとシルヴィアに分かれた。
これは前日にじゃんけんっという戦いで決めた。
馬車の中は広く10畳程の広さがあった。
座る椅子もふかふかで大きいソファーの様だった。
「おっほ。これはゆっくり寝れるな。」
「ん。マスター。」
「おやすみ・・・。」
「洗練されていて無駄が無く隙が無い完璧な動き・・・。」
馬車に入ると同時にソファーを確保して座った後すぐに膝に招く。
招かれた瞬間には既にゼラの頭はシスの膝の上。
「まぁシス様ですので・・・。」
「こればかりはリエ様でも譲らない。」
「時々でもいいから譲ってよ・・・。」
「私に勝てたらいいよ。」
「よし。乗ったよ。約束だからね?。」
「ちなみに王都まで約3日です。ゆっくりしましょうか。」
「そうだね。私は読書するね。」
「私も裁縫の練習をしましょうか。」
各自それぞれ自分がしたい事をやり始める。
それから数時間。
馬を休ませるのと昼食の為にルートの途中にある村で2時間程休憩する事になった。
村では歓迎され出迎えてくれる。
「何か人気だなぁ~。」
「いらっしゃいませ。ゼラ様。」
降りると村長らしき人に挨拶される。
「おう。少しの間だが世話になる。」
「いえいえ。何も無い所ですがごゆっくり。」
「ん?。なぁ?。」
「はい?。何でしょうか?。」
ゼラは診療所らしき建物に居るゴールドブラウンのショートカット、両目を包帯で巻かれている子に興味を持った。
「あの子は何かの病か?。」
「あの子はアルーラ。この村の子で生まれた時に両目が見えないまま生まれた可哀想な子です。」
「ふむ・・・。ありがとう。」
「あのどちらへ・・・。」
「あの子に話をしてこようと思ってね。何も心配しなくてもいい。」
ゼラはその子へと向かっていく。
「諦めてください村長さん。」
「貴方は?。」
リエが近付き言う。
「私はリエと言います。せ・・・ゼラ様に任しておけば問題ありませんから。ですから止めないようにお願いします。」
ゼラは少女にも少年にも見えるアルーラの前に立ち止まる。
「・・・。あの・・・どちら様でしょうか?。」
「そうだね。今は自由気ままな旅人だ。」
「そうですか・・・。何か私に御用でしょうか?。」
「君はこれからどうしたい?。」
「貴方には関係ない事だと思うのですが・・・。」
「関係無いね。だけど君は死にたがっている様に見えたから声をかけてどうしたいか聞いたんだ。」
「・・・。凄いですね旅人さん。はい。死にたいです。」
「理由は目かな?。」
「はい・・・。お父さんとお母さんに迷惑ばかりかけて今後も一人で出来る事ができない。こんな惨めで恥ずかしい生き様もうしんどいです・・・。」
「じゃ死ぬかい?。」
「・・・。」
アルーラは黙り込む。
「治りさえすれば死にたくありませんよ・・・。けど治らない!!。王都の医者は治らないと宣告されたんです!!。」
悔しさと絶望で一杯だったのか拳を握り壁を叩きつける。
「それが本心かな?。」
「そうです!!。悪いですか!!。」
「よし。こっちおいで。」
「・・・。」
アルーラは何も言わずゼラに近付く。
「これ外していいか?。」
「構いませんよ・・・。」
そう言って包帯を外す。
すると目が真っ白で視点が定まっていないが何処か変であった。
「白内障?。いやこれ眼球全てが水晶?・・・。」
神眼で再度確認してみる。
魔水晶眼
眼球が全て魔力の水晶になる病。
原因は妊娠~生後までの間に多量の魔力を浴びると高確率で発症。
治療法は眼球を摘出後にエクスヒールで目を再生させれば完治するが少しでも魔水晶が残っていると再発する。
「・・・。これ俺がやってもいいもんなのか・・・。」
「あの・・・。どうかなさいましたか?。」
「いや。治療方法は分かった。」
「え?。」
「ただこれやってもいいもんなのか・・・。ん~・・・。」
「やってください。」
「え?。」
「やって死んでも構いません。」
「じゃお父さんとお母さんに話してきて許可が下りればいいよ。」
「分かりました。すぐに行きましょう。」
ゼラの手を握り自分の家へと連れて行く。
見えてはいないが音でどこに何があるかが分かるらしくアルーラの自宅へ到着しそのまま連れて行かれる。
「おかえ・・・!?。」
「お母さん。話があるの。」
「アルーラ!!。手を!!。手を放しなさい!!。」
「え?。」
母親はすぐにゼラと引き離し。
「申し訳ございません!!。」
土下座をする母親。
「ああ。気にしないで下さい。私はただの旅人。それよりアルーラと話し合いをして下さい。治療を受けるか受けないかのね。」
「・・・。は?。それはどうゆう事でしょうか?。」
ゼラは彼女の病について話す。
そして原因を探ってみることに。
「アルーラがお腹にいる時に何か魔力を浴びる様な事は?。」
「・・・あります。私は昔は王都で今の旦那と冒険者をしていました。そして引退前の最後のクエストの時にキングワイトと戦って魔術を乱発されたのでその時が原因かと・・・。」
「そうですか。じゃ次に治療の方法についてですが・・・。正直な話をすると私だけの判断で出来ない方法でして・・・。」
「どんな?。命に関わる程ですか?。」
「そうですね。治療をして今すぐ死ぬ事はまずありません。」
「・・・。その後ですか・・・。」
「はい。方法としてまず水晶を全部取り出します。そしてエクスヒールで目を再生させたら終わりって言う至ってシンプルな方法です。ですが取り残しがあると再発するのと出来る限り感染症を発症させないように努力はしますがなってしまっても責任は取れないって事です。」
「感染症だけですか?。」
「はい。それ以外で死ぬ事はまずないでしょう。判断はこの場で今すぐにでも。私ももう少ししたら王都へと向かうので。」
「なら私はアルーラがしたい様にさせます。旦那は私が説得させますので。」
「そうですか。ならしようかアルーラ。場所は診療所を借りよう。」
「あ・・・。はい。」
「ではアルーラを借りますね。すぐに戻ってきます。」
「お願いします・・・。」
そしてさっきの診療所に戻ってその中に入る。
「邪魔するぞ。」
「何かようですか?。」
シスターの様な格好をした女性が出迎えてくれる。
「診療室を借りたい。構わないか?。」
「構いませんが・・・。まさかアルーラを治療なさるのですか?。」
「そうだ。正直時間が少ないから貸してくれ。代金はこれで足りるか?。」
金貨一枚を渡す。
「え?。こんなに頂けません!!。」
「彼女の経過観察の代金も入れてそれだ。いいか?。それから終わるまで中には入らない様に。」
「あ・・・。はい・・・。分かりました・・・。」
何を言っても駄目だと悟ったのかもう何も言わなくなる。
そして診察室に入る。
必要最低限の薬品と棚にベットと机が一つ、椅子が2つあり清潔にされている。
「とりあえずベットで上を向いて寝てくれ。」
「はい。」
そう言って疑いもせず言う通りにする。
「じゃおやすみ。起きた時はそれは目が見える時だ。」
「え?。あ・・・。・・・すぅ・・・。」
深い眠りにつく。
「さて上手く出来るかな?。」
そう言って全てを除菌やゴミ等を消し去るクリーンを使った後に彼女に麻痺を施して右手で右目に触れる。
「触ったけど本当に水晶球が目に入ってるな。・・・ターゲット。」
水晶になった眼球を全て選択した後。
「転移。」
自分の左の手のひらに移動させると。
「おほー。高品質の再生する魔水晶か。ただ小さいけどレア物だ!!。」
ルンルンっと成功したのと成分を調べて楽しんでいる。
そしてもう片方も同じ処理をしてエクスヒールを使う。
確認の為に目を軽く開けてみると先ほどの白色ではなくちゃんとした金色の人の目になっていた。
「おしおし。問題なさそうだな。包帯巻いておいてっと。」
そして馬車へと戻る為事情説明した。
「分かりました。起きたら包帯を外しゆっくり目を慣らすと。」
「まぁ問題ないと思うよ。ちなみにこれがあの子の目だった物。」
「・・・。水晶ですね・・・。恐ろしいです・・・。」
「まぁ普通の医者なら諦めるだろうね。エクスヒールが使えないと戻せないみたいだからね。」
「流石覇王様ですね・・・。」
「さてそろそろ帰るよ。アルーラにはこれを渡して人生は楽しめと伝えておいてくれ。」
「はい。分かりました。それからありがとうございました。」
彼女に一本の剣と指輪を渡す。
頭を下げる女性に軽く微笑んだ後外へと出て馬車の方へ戻るとバーベキューをしていたので参加し腹を満たした後は馬車に乗り込み王都へと再度進み始める。
それを見送る村人達の他にもう一人出口で剣を抱き抱え走り去っていく方向をずっと眺めている。
「良かったわね・・・。本当に・・・。」
彼女に近付く母親。
「うん。感謝しきれない。ねぇ。お母さん。」
「何?。」
「私に剣。教えて。」
ゼラから貰った剣を抜きその輝きに見惚れる。
「そうね。貴方がやりたいなら止めはしないわ。しかし立派な剣を貰ったわね。それにその指輪も・・・。ねぇアルーラ。」
「どうかした?。」
左手薬指に指輪をはめている事に若干冷や汗を流している。
「どうして指輪をそこにつけてるの?。」
「サイズ的にここしかちゃんとはまらなかったから。けど・・・。ゼラ様になら全部捧げてもいいと思ってるから問題ないよ。」
「そ・・・そう・・・。けど追いつけるのかしら・・・。」
「追いつけるんじゃないの。私は追いつく。私は私がしたい事をやる。いいよね?。」
「仕方ないわね。お父さんも説得して明日から特訓しましょうか。」
「やった。」




