素材集め 前半
緊急事態でゼラ宅に居る全員がエルフの村の自宅に1時間で集まった。
帝国からもレリアをアリシアが速達したので話し合いに参加しているが本人の顔は真っ青である。
部屋の一室を会議室としボードや大型のテーブルとイスが並び。ゼラが説明をしつつサリア以外の全員は座って聞いていた。
ボードには既に処置を施した魔術とアイテムを全て貼ってある。
「ってな訳だ。自体はかなり深刻。魔力不全は魔力を使い切れば命に関わるがしない限りは大丈夫だが、サリアの技術が死ぬと考えたらいい。」
「治療方法は今の所無し・・・。原因は分かりましたか?。」
アリシアが真剣な顔をし聞いてくる。
「俺が今出来ることは全て試した。だが治らなかった。まず損傷扱いではないので回復術は効果が無い。当然ポーションもな。だからマナポーションを与えたがこれも減った分だけ回復するが治るわけではなかった。全ての状態異常の治療オールキュアも効果が無い。エリクサーも投与したがこれもまるで効果がない。正直お手上げ状態。」
「エリクサー!?。」
っあっあっあ・・・っと放心状態のアリシア。
「ああ。けど効果がない。そうなるとその上のハイエリクサーでと考えてる。これは体力や傷に状態異常だけでなく魔力にも効果があるからワンチャン期待できる。残念ながら手持ちにない上に素材も無い。」
「あの・・・。その素材とは・・・。」
リニが恐る恐る伺う。
「聖なる燃える血、悪魔王の血、邪竜の涙、エリクサー。」
「・・・。どうやって用意するんですか・・・。邪竜はもうこの世界では目撃情報は無いですし・・・。悪魔王の血はまだ呼び出しで行けるかもしれませんが・・・。それに聖なる燃える血ってなんですか・・・。」
リニは呆れ顔でそう答える。
「邪竜は探せばいるかもしれない。悪魔王は呼び出し可能の魔法陣を作ればいい。聖なる燃える血は天使族の最上位種のセラフ、またの名は熾天使の血だ。まぁこれも魔法陣で呼び出せば可能かもしれんな。」
「ゼラ様・・・。簡単に言い過ぎ・・・。そんなの用意出来る訳がない・・・。」
「なに。何事もやる前から諦めてたら駄目だ。行動を起こすぞ。方針は暫くはレリアはサリアの身体調査や悪化した場合の処置をしてくれ。」
「それは構わないけど・・・。」
「なにか引っかかるか?。」
レリアは頷く。
「ええ。この魔力不全は正直に話すと私も種族進化前になったの。」
「ほう。サリアはローエルフになると?。」
「いえ。彼女の場合はそれはありえないわ。私の研究結果の資料だけど・・・。」
ローエルフについての詳細な資料が机に広げられる。
「ハイエルフっていうのは適性年齢が200年以降に神によって選ばれし者だけがなれる。2種とも魔力不全が起こり、その過程でローエルフは最終的に魔力は無くなるが生きていけるようになり容姿が黒くなる、ハイエルフは魔力が高まり魔力がなくなると命を落とすようになり容姿が白くなる。だからサリアの場合は年齢も120前後で当てはまらない上に神に選ばれていないの。神に選ばれたら神託が与えられ言われた場所に行くのだけどその素振りもない。私もその経験あるから断言するわ。サリアは自己進化を自主的に進化しようとしてるの。」
「っは?。」
ゼラは訳がわからない結論に驚く。
「魔力不全って言うのはね。進化の過程で起こる病なの。」
「神眼にはそんな情報ないんだが・・・。」
「そうね。考えられる理由は魔力不全って言うのは神が意図的に発症させることが出来て進化のデメリットと考えられる。その情報を神が遮断している可能性があるから神眼でも情報が読み取れない。それに過去に種族進化をした者は全員例外もなく魔力不全になっているの。」
「10で読み取れないと考えるとそうなるのか・・・。まぁ納得できる部分はあるが・・・。それに種族進化する時のデメリットでこれなのか・・・。」
「それにこの状況になる人は必ず進化するか死ぬかの二択。」
「そうか・・・。最悪死ぬ・・・。念の為にハイエリクサーは作る方向は変わらん。」
「ええ。その方が私も良いと思う。今までの種族進化と違って全くの例外で何が起こるかわからない上にハイエルフ、ローエルフでもない別種の可能性だってあり得るから。」
「期限ってのは分かるか?。」
「種族進化の魔力不全は大体2~3週間で治ると同時に意識を失い進化する。死ぬ場合は急速に魔力が失われて無くなり二度と目を覚まさず眠った様に死ぬの。」
「分かった。でアリシア。悪いがベリアナ達とセフィリアを軍の訓練に参加させてやってくれ。」
「分かりました。後は訓練は調整の為に暫く休みになっています。支援部隊は暫く訓練は緩くします。再開は大体2~3日後を予定してます。」
「分かってる。サリアがトップだったんだ。そのトップと同じように出来る人材がいる訳がない。安全面を考えればそうなるさ。んでサリアが倒れたんだから色々考える事が出てくるからそのぐらいだろう。」
「ではチベルネに伝えておきます。」
「ありがとう。じゃ俺はシス達を連れて帝国と魔大陸を回ってくる。2日後ぐらいには戻る。ナルベア達は向こうの自宅でリエって子が来るかもしれないからその対応の為に留守番とガンガオから魔力不全の情報を持っているなら引き出しておいてくれ。」
全員が了承をし動き出す。
その後はシス、アウラ、スィーナ、シルヴィアと共に村を出て帝国へ。
転移石をしようした為すぐに到着。
門番もシルヴィアを知っている為敬礼をしすぐに通してくれる。
街中でも有名な為騒がれるが今は無視し城へと急ぐ。
城の兵達も敬礼しご苦労様ですっと声をかけられる。
ゼラもご苦労っと言って通る。
中に入りルーガリの居る王座に最速で到着しノックをせずに入る。
「邪魔するぞ。」
その場に居る者達は敬礼をするだけで何も言わない。
ルーガリは王座で座り書物を読んでいたがそれを閉じて、
「ああ。事情は伺ってる。それで俺は何をすればいい?。」
「天使と悪魔の召喚魔法陣の情報を知りたい。素材でいるのがあるから出来たら今すぐにでもだが。」
「ふむ。魔法図書の司書に至急探させよう。他は?。」
「今は無いな。妹の訓練はアリシアの村で一通りやってもらうが問題は?。」
「それは本人が了承するなら反対はしないさ。時間があるなら夕食でも食べよう。」
「それはありがたい。」
「御飯!!。」
「食いだめをしておかないと・・・。」
「そうだね。」
「後ろの三人はほどほどで頼むよ・・・。」
そして夕食を食べながら処置や状態を話、食べ終わった後は召喚陣の本を読み記憶した。
本を司書に返しルーガリに挨拶をする為王座へと来ていた。
「焦る気持ちは分かるが・・・。」
「大丈夫だ。それに俺は焦っている訳じゃない。急いでいるんだ。冷静な思考はしている。もしも違ったらシス達が止めてくれるしな。」
シス達の方を向き微笑むゼラ。
「はぁ・・・。まぁそう言うなら問題ないだろう。ほら。」
「これは・・・。」
渡されたのは10枚程度の革紙のレポート。
「魔力不全についての資料だ。残念ながら帝国にはそれだけしかなかった。歴代で魔力不全になった帝王は一人。そして死亡している。衰弱死だ。治療方法もお前が試した物全て書かれていたが一つ古の魔薬ってのが書いてあったからその素材と調合方法を書いてある。」
「・・・。ありがたい。これも候補になる。」
「気にするな。俺はこのぐらいしか手助け出来ない。後は頑張ってくれ。」
「じゃまた。今度はゆっくり酒でもな。」
「ああ。楽しみにしておく。」
そして帝国を後にし魔大陸へと。
時間は夜だが転移石でも一度行った場所の近くに転移し都へ到着する。
「すいません。」
出迎えてくれたのはサタン。
彼女も急いで出てきたのか息が荒い。
「気にするな。伝えてないんだ。こんな夜分にすまないが急いでいる。城に代表を全員集めてくれるか?。」
「分かりました。すぐに。アルエル。」
「っは・・・はい・・・。」
門番を勤めている魔族の少年一人に、
「ヘーゼを起してきてくれる?。これ口に入れたら起きるから。」
「はっはい。」
「ん?。あと三人は起きてるのか?。」
「ええ。今三人は特訓中ですよ。」
「休めよ・・・。」
「そう言ってるんですがね・・・。」
「俺以外はここで待機で。終わったらすぐに出る。」
全員頷きスィーナはシルヴィアのブラッシングを始め、アウラは本を取り出し読み始め、シスは何かの食事を作る為に調理セットを準備する。
しばらくして城の会議室へ集まる。
「サタン様・・・。あれを口に入れるのはダメだぞ・・・。」
「何入れたん?。」
「私が作った非常食ですよ。1日分の栄養はありますが味はヘドロのような味の激マズですが・・・。」
「それを作るのは駄目だ。不味いものってのはな兵の士気に関わる。」
「まだ試作です・・・。味も改善していくので・・・。」
「一ヶ月でやれ。」
「せめて二ヶ月で・・・。」
「よかろう。」
「あ・・・あの・・・。」
長い茶色のショートカットの美少女がゼラに話しかけてくる。
名前はフィーミ。
奴隷として捉えられルーガリによって助けられた一人。
現在はこの都に住んでいる20人の少女の中の代表で一番年長で年齢は17。
「おう。どうだ?。この地の生活は?。」
「凄い過ごしやすいです。これも覇王様とゼラ様のおかげです。畑の方も順調で3ヶ月程度で収穫可能になるのもあります。」
「ほうほう。そうか。その調子で頼むよ。欲しい物は書いといてくれると助かる。」
「特にありません。むしろ本当にこんな農具や道具に食料をただで貰っても。」
「へ?。ただじゃないだろ。ちゃんと農業をしてくれてるんだから本当はお金を出すもんだがこの地だとお金は使い物にならないから食料等で配布してるんだ。それに今後はもっと働いてもらうぞ。色々作って貰うんだからな。だから楽しめ。他の子も同様だ。これからも宜しくな。」
「はい・・・。はい・・・。」
「あ~もう。泣くな。」
「あ・・・。」
泣いているフィーミの頭を撫でる。
「すいません・・・。」
「気にするな。でださっちゃん。」
「はい。何でしょうか?。」
「この地で大地がえぐれたり吹きたんだりしても大丈夫な場所ある?。」
「あの・・・。凄い物騒ですね・・・。何をなさるんですか?。」
「天使と悪魔を呼んで血を貰うと言う商談という名の戦闘をする。」
「「「「「はぁ!?。」」」」」
「ゼラ様。なんでそんな事をするんですか。」
魔族5人は大声で驚き。
フィーミは静かに聞いてくる。
そして事情を説明する。
「サリアさんが魔力不全・・・。」
「それは驚いたがハイエリクサー作ろうとして熾天使と悪魔王の血を貰うのは流石はゼラだな。常人の思考をしてないわ。」
「そうですか・・・。私に出来る事はありますか?。」
「そうね。何かある?。」
「ない!!。」
キリっとはっきり言う。
「ないのね・・・。」
「まぁ本があるなら魔力不全の書物が欲しい。」
「本ですか・・・。一応書庫はありますが・・・。」
「数が膨大だな。仕方ない俺と脳筋とアルテミアで探そう。」
「脳筋言わないでください。最近は脳筋じゃありません。」
「じゃバカ娘。」
「酷くないですか!!。」
「事実じゃない。力押ししなくなったけど簡単なフェイントに引っかかるおバカなんだから。」
「ふぇん・・・。ゼラさん・・・。二人が虐める・・・。」
「ん?。事実じゃしゃーなし。」
「うぁああああああああああああん。」
「うっさい・・・。」
「痛い・・・。」
ゼラの拳骨がミーティアルアの頭に。
「さて静かになった。場所は?。」
「では私が案内します。あとついでに私も参加させてもらいます。」
「駄目だ。」
「駄目なんですか・・・。」
「シスを本気で戦わせるから光属性弱点持ちだと被害がやばい。」
「そうですか・・・。では場所はこの地図の北西に20km進んだ場所になります。地形は既に荒れ果てた場所ですのでどれだけ破壊しても問題ありません。」
サタンはしょんぼりしながら地図を広げ説明する。
「よし、把握したし行くか。」
「え・・・。早くないですか・・・。休んでからでも・・・。」
サタンが引きとめようとしたが、
「駄目だ。急いでるんだ。今日中に熾天使と悪魔王の血を入手する。」
「・・・。分かりました。私は止めません。」
「ああ。悪いな皆。こんな夜中に来ていきなりこんな非常時話をして。」
「気にするな。」
「そうです。」
「帰ってくるまでに本は用意しておくわ。」
「ありがとう。じゃフィーミ。明日の為に寝るようにな。」
頭を撫でて言うが、
「いえ。私も手伝います。本を探すのを。」
「だそうだ。」
「それはありがたい。」
「一緒に頑張りましょうね。」
「頼りにするわ。」
「じゃ俺は先に。」
そう言って姿が消える。
「いいですね。」
「そうですね。」
「サリアが羨ましいわね。ゼラがあんなに尽くしてくれるなんて。」
「あれ?アルテミア。ゼラさんが好きなの?。」
「そんなわけ無いじゃない!!。」
「ふふ。私は好きですよ。」
「あ。私も好きです。それも異性としてです。」
「普段はだらしなくしてるのも可愛いと思いますが動き出した時の顔もたまりませんね。」
「キリッとしてるよね~。ギャップ萌って言うんだったけ?。」
「そうです。だから私もゼラ様にドキッとしてもらえるように頑張らないと。」
「負けませんよ!!。」
「・・・。なんか馬鹿らしい・・・。」
「諦めろ。サタンとバカ娘はゼラの強さ、心の大きさ、優しさを見て完全に惚れてしまってるんだ・・・。」
「ヘーゼナルボはいいの?。」
「サタンが好きになった人だ。俺からは文句は言わないさ。それにあいつになら問題ない。他の男ならヤってたがな。」
「殺気・・・殺気・・・。」
「すまん。」
「うう・・・。ゼラ様ってモテるんですね・・・。」
「モテるどころじゃないわ。アリシアのエルフ村じゃ英雄。帝国じゃ第2の帝王って呼ばれるぐらい人気者で実力、人柄共に良い評判なのよ。」
「魔族でも女性の間じゃかなり人気が高いな。容姿も可愛らしいが格好良いからとかでな。」
「ふぇ・・・。私じゃ釣り合わないですよね・・・。それにシス様にアウラ様にスィーナ様もいらっしゃいますし・・・。」
「あ~あの三人はゼラの中で特別扱いだ。比べるだけ無駄だ。」
「そうね。完全に信頼しているから寝るのよね。まぁ頑張ってみればいいんじゃない?。最初から諦めてたら駄目よ?。」
「はい・・・。」
都の門前。
「よっと。」
転移石でシス達の元へ飛んだ目の前には、
「なにこれ・・・。」
炊き出しをしているシスとそれを手伝うアウラとスィーナとシルヴィア。
シスがスープを作りそれを容器に取り分けアウラとスィーナとシルヴィアが配っている。
兵が全員この場に集まっているようであった。
「やっぱりシス様のスープは美味しい・・・。」
「ああ。全くだ。」
「あ~。生きてるって感じがする・・・。」
兵たちは幸せそうに食べている。
「シス。」
「お帰り。すぐ片付ける。」
「はい。丁度全員に配り終えたとこです。」
「でも美味しいよね。このポトフ。」
「わん!!。」
アウラとスィーナとシルヴィアはシスのポトフを食べている。
シスはその間に全てを片付け終える。
「あ~。まぁいいや。行くぞ。」
「場所は?。」
「ここから北西20km進んだ場所だ。」
「ワン。」
軽く鳴きジルヴィアはゼラの前で伏せる。
「ありがとう。」
そして全員が乗った後、
「後は各自で片付けて。もしゴミだらけにしたら・・・。」
「「「「「はい!!。ありがとうございました!!。」」」」」
兵たちはシスに向けて全員敬礼した。
「よろしい。マスター行こ。」
「はいはい。シルヴィア。頼む。」
ワンっとひと鳴きし圧倒的に全速力で進んでいく。




