エルフ
次の日。
日も登らない朝早くに呼び出しがあったのシスとゼラ完全武装でアウラは前の布だけの装備。
実はこの布だけの装備はユニーク装備である。
神の衣といい防御力は低いが魔法耐性に状態異常耐性が非常に高い。
ただゼラはこの姿を見せたくないので物理耐性付きのお手製の蒼と翠のローブで隠してもらう。
装備もゲームになかった外装装備枠が出てきて合併せずそこに並ぶ。
今後の事を考え全員の外装装備をどうするか検討中である。
受付に行くと奥へ案内されガンガオの部屋に入る。
中にはキャリーとナサリー、そしてガンガオがいつもと違う雰囲気を出している。
ゼラはその前に立ち後ろに並ぶシス達。
「来たか。」
「そんなに張り詰めてどうかしたか?。」
「まずい事になってしまった。」
「ん?。」
「昨日言っていた迷いの森の効果を打ち消す魔道具はどうやら本物でな。帝国が本格的に攻め始めた。」
「あ~。で調査依頼じゃなくなって救助依頼か救援依頼になったと?。」
「今朝方ここにエルフの伝令が一人死にそうになりながら来てな助けて欲しいとな。ただ準備がある。既に動いてはいるがもう少し時間が掛かる上に移動時間も含めると絶望的だ。」
「そこで俺達が行って被害の軽減って訳か。まぁ理になってるがエルフって人間とは手を組まないんじゃなかったのか?。」
「一般的にはそうだ。だが俺はエルフと繋がりを持っていて更にここの領主はエルフとは良好な関係を築いている。いざって時に力は貸す約束までしているからな。」
「ほう。流石。今度どんな人か拝まないと。」
「Sクラスになったら呼ばれるさ。」
「とりあえず確認。」
「なんだ?。」
「一つ。帝国軍は倒しても問題ない?。」
「ああ。できる限り数を減らして欲しい。」
「二つ。エルフには援軍だとどう知らせればいい?。」
「これを渡しておく。」
渡されたのは三つ葉のクローバーのバッチだった。
「これを見せればこの街から来た増援扱いになる。」
「じゃ最後。どんなことをしても構わない?。」
「ああ。ただ被害が酷いのはできる限り避けてくれ。」
「分かった。出来る限りな。じゃ行くか。」
「頼む。」
「よろしくお願いします。此方もできるだけ早く準備を済ませて進軍いたします。」
「到着したら狼煙をするからよろしくね。」
ゼラは軽く腕を上げ分かったと合図をし出ていく。
「はぁ・・・。帝国は本当に阿呆でどうしようもないな。」
「仕方ありません。なってしまった以上は。」
「そうだな。俺も準備をしてくる。後は任せた。」
「まぁゼラくん達だけでなんとかなる気がするんだけどね。」
「それを言うな。」
ゼラ達は走り西門から出た後門が見えなくなった後シスに抱き抱えら補助魔術で強化しつつ更にスピードフィールドという自分の周囲に結界を張りその中では俊敏が2倍になるというのを使いそのまま進んでいく。
このフィールド系は使用者の半径10mまでしか効果がない。
しかし使用者を中心に動く為抱えられていればシスは常時恩恵が受けられる。
その為物凄い速度で駆けていく。
アウラもスィーナはこの速度に追いつけない為一旦戻ってもらっている。
10分足らずで現地に到着すると森の方向からは煙が立ち上がっている。
「あ~。始まってるな。アウラとスィーナは上空から気付かれないように偵察を頼めるか?。」
「「はい。」」
上空へと上がっていく。
「シスは暫く休憩な。疲れたろ?。」
「ううん。大丈夫。」
「そうか。じゃ二人が帰って来たら森に入ろうか。」
「ん。」
数分後帰ってきた二人からの情報によると戦闘は始まっており、帝国軍が優勢でエルフ軍はジリジリと後退しながら戦っているとの事。
そして数はエルフが500人に対し帝国軍は5000人という10倍差がある模様。
「・・・。これ積んでるレベルだぞ・・・。」
「どうしますか?。」
「僕が突っ込んで全部倒してもいいけど。」
「それはやめておこう。う~ん。とりあえず後20分は様子見で。流石に伝令を出したのが昨日の夜としてこんなに早く到着して直ぐ戦闘開始したなんて変に思われるだろうし、ギリギリ30分ならガンガオがいるから妥協で許されるはず。だから敵の隊長格を調べておいてくれ。」
戦闘をアウラとスィーナに頼み上空から見ているが徐々に方位されつつある。
帝国軍は防御重視の重装備で一方エルフは弓やショートソードなど軽装備である。
その為相性がはっきり出てしまい帝国が優勢で更に数で優勢の負ける要素が0である。
「流石にそうなるよなぁ~。しかも帝国軍は出来るだけエルフ生け捕りにしてるな。」
「何が目的なんでしょうか?。」
「大抵はこの場合犯して発散する為だろ。てかエルフって女性しかいないのか?。あと金髪しか居ない?。」
神眼にはエルフの性別が全て女性と表記されている上に見えている限り金髪しか居ない。
「そろそろ30分。どうする?。」
どんどん追い詰められ包囲されてしまった。
「しゃーない。流石にこれ以上見てるだけは俺には無理だわ。くっころは俺好きじゃないんだよね。」
「くっころ?。」
「それは置いておいて一旦降りてシスと合流。その後バフをかけながら突撃して包囲を潰すぞ。」
エルフと帝国の戦いは帝国の一方的な数の暴力と装備の相性の前に仲間が一人、また一人と倒される。
「相性は最悪・・・。数も桁違い・・・。このままでは・・・。」
「アリシア様・・・。」
補佐的な軽装で金髪ロングのなエルフとアリシアと呼ばれる金髪でツインテールのエルフが頭を抱える。
「避難の進行状況は?。」
「現在4割が避難を終えましたが・・・。」
「4割・・・。後どのぐらいかかりそう?。」
「1時間ぐらいかと・・・。」
「そう・・・。」
「報告!!。」
小柄のショートカットのエルフがアリシアの前に跪いて、
「敵軍に包囲されつつあります!!。」
「なんですって・・・。」
「帝国軍は数に物を言わせ強行突破し前左右に部隊が展開され包囲は時間の問題かと・・・。」
「・・・。皆に伝えてください。覚悟を決めよと・・・。」
「っ・・・!!。承知いたしました。」
ショートカットのエルフは全軍に伝えに走っていく。
「アリシア様・・・。」
「すまない・・・。本当にすまない・・・。」
アリシアは謝るだけであった。
「お逃げください。今ならまだ私達が殿をし貴方だけでも逃がす事が出来ます。」
「何を!!。」
と彼女の方を向く。
「貴方はエルフの長。アリシア様さえ生きていればまた復興できます。」
「ですが!!。」
「早く命令してください。お願いします・・・。」
「ひぐ・・・。」
アリシアは泣き出す。
自分の無力の情けなさと帝国への憎悪と同胞が次々とやられていく悲鳴に心が軋む。
「ご命令くだ・・・ぐす・・・。」
同様に彼女も泣き出す。
そして抱きしめ合い、
「ごめんなさい・・・。本当に・・・。」
「いえ・・・。私なら大丈夫です・・・。」
「・・・命令・・「報告!!。」・・・!!。」
先ほどのショートカットのエルフが走ってくる。
「東側に回り込もうとしていた帝国軍が撃破されました。」
「東!?。まさか増援ですか!!。間に合ったのですか!!。」
「わかりません。ただこれを長に渡せば分かると。」
三つ葉クローバーのバッチを渡してくる。
「間違いありません・・・。援軍はぐらいの規模なんですか?。」
「それが4人です・・・。」
「え?。」
「たった4人だけで東側の帝国軍は壊滅しました。」
「まさかガンガオ?。」
「アリシア様。これは最後の「報告!!。」
また違うセミロングのエルフが走ってくる。
「南側の帝国軍は壊滅。増援の方々がすぐさま残りの帝国軍に進撃するとの事。」
「うそ・・・。」
「その方々は?。」
「女性三人、男性一人。一人は剣士、三人は術師です。男性は小柄で黒髪。女性は小柄な白銀色、蒼色、その女性と変わらない容姿で翠色です。」
(ガンガオじゃない・・・。じゃ一体誰?。)
と状況が読み込めないまま報告が届くばかりで3分後には、
「ほっ報告します・・・。」
「なんですか?。」
驚愕しているエルフが走っていくる。
「帝国軍全滅しました・・・。」
「・・・え?。」
「あ~。やりすぎた感ぱない。でも人殺ししてもなんも思わないって怖いなぁ~。」
あっちこっちに屍があるがゼラはなんとも思わなく処理をどうしようか考えている。
「マスター。捕まってたエルフ集めた。」
シスとアウラがゼラを呼びに来た。
「もう終わったん?。早いな。状態は?。」
「命に別状はありませんが痛がっていたり恐怖してる者が多く大半が蹲ってました。」
「一箇所に集めて仲間同士励まし合ってるよ。」
「案内してもらえる?。」
シスの後に付いて行く。
5分程歩いた場所には川が流れており、その周囲に120人のエルフ達がおり、血を洗い流そうとし傷の痛みに耐えながら洗ったり、自分も怪我をしているのに痛みで蹲っている仲間を励ましたり、安堵したのか放心状態の子と様々。
スィーナが周囲を警戒している。
そして一人がゼラに気付くと一瞬で全員が警戒しだす。
「おう・・・。こりゃ酷い・・・。俺なにもしてないのに・・・。」
草むらの方へ行き落ち込み地面をなぞるゼラ。
「無理もありませんよ。あの後です。男性なので警戒されて当然かと。」
ゼラを励ますアウラ。
「大丈夫。マスターは優しい。」
「主があんなキモい男共と一緒にしないで欲しいな。」
シスとスィーナは彼女達を説得した。
「あの・・・。その・・・。ごめんさい。私はナルベア。代表として話し合いを・・・」
「ああ。うん。気にしてない。無理しなくていいぞ。うん。うん・・・。」
「はぅ・・・。どうしましょう・・・。」
「マスター。あまり人困らせない。」
少しお怒り気味のシス。
殺気が混じっておりエルフ達も若干怖がっている。
「分かった分かったから怒らないで。反応が楽しくてつい・・・。ごめんな。」
「いっいえ。お気になさらず。それから助けていただきありがとうございます。」
「とりあえず重症の子見せてもらえる?。治すから。」
「神官職なのですね。」
「いや。俺は支援師だ。」
「・・・支援師?。」
「まぁ回復は使える。とりあえず片っ端から酷い子から順に治すぞ~。フルヒール。」
最上位回復をかけるとエルフ全員が目を疑うように固まる。
「最上位回復魔術フルヒール・・・。って待ってくださいなんでそんなに連続で使用できるんですか!!。」
次々とフルヒールをかけていく光景にツッコミが入る。
「あ?。なんでって?。それは支援師だから。」
「理由になってませんよ!!。」
その後全員の治療を完了した。
エルフ全員の眼差しが神様を見るような目になっている。
「ありえない・・・。最上位のフルヒールを全員にかけきって尚魔力切れが起きない・・・。それでいてあの詠唱の速度・・・。貴方は一体・・・。」
「俺の名前はゼラ。覚えておくといいことあるかもよ?。」
ゼラがニコっと笑うとこの場にいるエルフ達はドキっとした。
この時今後のエルフの性癖が大きく変わる。
「はう・・・。」
「さて。君達にお願いがある。」
「出来る範囲であれば・・・。」
ナルベアがそう言うと全員がゼラの方へ向いている。
「なに。長の所まで案内お願いした「その必要はありませんよ。」ん?。」
川の上流の方からアリシアが此方に向かって歩いてくる。
「ほう。君が長か。」
「アリシアと申します。」
「俺はゼラ。そのバッチで意味は分かるだろ。」
「はい。増援ですね。」
「まぁ4人だけだけどな。多分今日中には軍は到着するんじゃないかな。まぁそれまでは俺達が何とかするよ。」
「ありがとうございます・・・。本当に感謝いたします・・・。」
土下座をするアリシア。
「なに土下座してんの。まだ終わってないぞ。」
「え?。」
アリシアは顔を上げゼラに問う。
「何が終わってないんでしょうか?。」
「そりゃ帝国の進軍。」
エルフ達がざわつき始める。
「・・・。あの5000人は前座っと言う事でしょうか・・・?。」
「そりゃな。明らか装備の質が悪いもんばっかな上寄せ集めの兵士達だから練度も質も悪い。ただの雑魚を集めただけの兵隊って感じだったし。」
「・・・。本隊がこちらに向かっている可能性・・・。あは・・・。あはは・・・。」
アリシアは現実から逃避するように笑う。
「逃げんな。現実は受け入れろ。」
「・・・。」
「お前は長だろ。皆のまとめ役で行動で示さないといけない立場のエルフだろ。」
「ですが・・・。もうエルフの守る森は無く物量と装備の相性で帝国に勝てる要素が・・・。」
「ここに居るだろ。」
「・・・。頼っていいんですか?。」
「その為に来たのに帰ってくれってか?。」
ゼラは笑う。
「・・・。お願いします。どうかお助けください。私に出来る事ならなんだっていたします。ですから・・・。村の皆をお救いください・・・。」
再び土下座をするアリシア。
「あまり長が土下座するもんじゃないぞ。そら立て。」
アリシアを立たせる為に腕を掴み引っ張る。
「あ・・・。」
「よ~し。その涙で濡れた顔は洗いましょう。アウラ。」
「はい。」
とアリシアの目の前に真水を出す。
アリシアは顔を洗いゼラが出したロックシルクで水気を拭き取る。
「ありがとうございます。」
「気にするな。普通の反応なんだから。」
「ですがどうするのですか?。」
「とりあえず全員弓を持って集まって狙撃出来る場所で待機しようか。」
「分かりました。」
数分で支度を終え、遠くが見渡せる丘の上へ案内される。
そこで休憩を始める。
「ここでしたら全員狙撃できます。ただ・・・。」
「大丈夫大丈夫。俺に任せなさい。」
「はい・・・。」
アリシアは正直不安でしかない。
弓の攻撃や剣は先ほど全く通らなかった為。
しかし窮地か救ってくれたゼラに今後の未来を託す事にした。
失敗すれば全員捕まり犯され道具の様に扱われるのを想像しただけで手汗と体の震えが止まらない。
ゼラはそれに気が付き、
「何を・・・。」
アリシアの頭を撫で始める。
「怖いよな。ここで失敗すればっていう絶望がちらついて震えてるんだろ?。」
「・・・っ!!。」
「でもまぁその時は俺に擦り付ければいい。全部ゼラが悪い。彼奴が私達を期待させたからってな。」
「なんでそんなに笑っていられるんですか・・・。死ぬかもしれないのに・・・。なんで励ましてくれるんですか・・・。どうして逃げ道をくれるんですか・・・。私より短い年月しか生きていないのに・・・。どうしてそんなに強いんですか・・・。ねぇ・・・。教えてください・・・。」
「そうだなぁ~。別にこれと言って俺は絶望的な状況じゃないからだな。」
「この状況が絶望と感じない・・・。」
「さて。」
「あ・・・。」
撫でるのを辞め近くに木にもたれ掛かり、
「シス。アウラ。スィーナ。来たら起こしてくれ。」
そう言って寝始める。
エルフ達はゼラをじーっと見つめている。
「どうかした?。」
「主の図太さに驚いているんですよ。」
「でも今日朝早かったから仕方ないよね?。」
「偵察は私がしてくる。皆は休むように。マスターが寝ているように体力をできる限り回復させていおいて。」
そう言って西側の方へと消えるシス。
「・・・。お名前を聞いても・・・。」
「私はアウラ。さっきの無表情な子はシス様。そして隣にいるのがスィーナです。よろしくお願いしますね。アリシアさん。」
「そうだ。皆これでも食べる?。」
っと言ってゼラが錬金術作った携帯食料を配っていく。
「これは?。」
「カロリー○イトって主は言ってた。クッキーみたいで美味しい上に腹持ち、1食分の栄養が入ってるらしいよ。ちなみにこれはチーズ味。」
「アイテムボックスですか・・・。かなり高価な物をお持ちなんですね。」
「まぁね。シス様もアウラも持ってるよ。主のは特別製でこれより一杯入るけど。とりあえず食べて食べて。無理言って1000食分入ってるから。」
「あの・・・。なんでそんなに・・・。いえ。頂きます。」
アリシアをその包装紙を取り中にあるクッキーを食べてみると口いっぱいにチーズの塩味と砂糖の甘みが広がり口溶けも良く鼻からチーズの匂いが抜けていく。
「美味しいです。これで携帯食料って忘れてしまいそうです。」
エルフ達も食べ始め中にはチーズが苦手な者もいた。
その子達にはフルーツ味も持っているので交換し食べて美味しいと言ってくれる。
「うんうん。美味しいよね。」
「もう。スィーナ。またそんなにそれを蓄えてたんですね。」
「だって食べたい時に食べたいからね。僕はこれ大好きだから。」
と言って一つ食べてニコニコとする。
「喉乾きますよね?。お水は出すので欲しい方は言ってください。」
「何から何まで・・・。本当にありがとうございます・・・。」
「主も言っていましたが気にしないでください。私達はやりたい事をやっているだけです。」
「そうそう。主がどれだけ凄いか配布しないと。」
二人はニコニコと笑う。
その笑顔はエルフ達にとって安心出来るものであった。




