日中米露
吾輩はベルである
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本編で挿入するつもりであった。満子のペットである猫のベルからみた亜人と人間との戦いを外伝としました。
既に完結させましたので、短いので読んでやってください
生放送された地下迷宮都市の映像を、日本政府のみならず各国がその映像分析を行っていた。
当初は、単なる洞窟から地上に出てきていると思っていたが、映像に映る広大な農地は、会話の中なら石狩平野と同等かそれ以上の広さと想定された。
洞窟天井から農地を照らす謎の宝石、第一層と同じ広さと伝えられた第二層の豊かな森、第三層の石造りの巨大施設、更に下へと続く地下構造は、世界中の誰一人として想像していない規模であった。
一夜明け、各国の動きが活発化された。
それまでまったく興味が無かったアメリカは、日米安保に基づき地下迷宮都市攻略に関して、海兵隊を中心とした部隊派遣と自衛隊との共同作戦を早速提案してきた。
中国は在日中国人救出の為に、空母艦隊の石狩港への入港を求めてきた。
ロシアは国連を通じて、平和維持活動の必要性を訴え、第三者である自国を中心とした中立のPKF部隊投入を安保理へ決議案を出した。
北朝鮮は差別も貧富の差もない、この世の楽園である我が国がカバラ皇国の亜人を全て受け入れてると声明を発表すると共に、将軍様の義兄が札幌で軟禁状態の可能性があると国営放送が伝えた。
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危機管理センター
そこは広々とした空間にソファーがあるだけで、壁はコンクリートが剥き出しになっていた。床は冷たいタイル素材で埋まっている。
危機管理センターの隣にある、休憩室のような場所で矢部らはソファーに横になっていた。
札幌テロ関係閣僚会議で、各国への対応について防衛省と外務省が中心となって対立し、議論が進まなかった為、二者で話し合った後に結論を報告する事になっていた。
防衛省と外務省の間で、徹夜で喧々諤々の論議が行なわれた末にお互い妥協し矢部総理の所へ結論を持って来る事になっていた。
「総理、結論が出たようです。」
秘書官が入室し、矢部らを危機管理センターへ促した。
・・・
「それでは札幌テロ関係閣僚会議を再開する。野々村くん納得した結論を出したんだろうな?」
「総理、チャイナ・スクール出の売国官僚が、執拗に抵抗してきましたが、なんとか外務省と調整は付きました。」
外務大臣野々村は、からかうような口調で言い放った。
「余計な事は、口にしなくて良いから結論を述べたまえ!」
矢部は、イライラした気持ちが大きな声となって出てしまったようだ。
「申し訳ございません・・・詳細は、情報本部の園田くんから報告します。」
防衛省情報本部園田が大型ディスプレイの前で、映し出された資料を元に説明を始めた。
「まず、アメリカから打診のあった地下迷宮都市の攻略作戦は、早急に準備を始めます。基本的には真駒内駐屯地の奪還と維持を自衛隊が担い。米軍が真駒内駐屯地を拠点に地下迷宮都市を攻略します。」
「真駒内駐屯地の周辺は住宅街だが問題はないのか?」
「事前に広範囲に渡って、強制力のある避難勧告を行ってからの作戦とします。」
「敵にも知らせる事になるが、致し方無いか・・・」
園田は、矢部の呟きを無視するように続けた。
「次に、中国の要請に関してですが、これは外務省と相当揉めましたが、防衛上の観点からは最大限の譲歩結果となります。」
これには、外務大臣の戸倉が噛み付いた。
「さっきから、売国奴とか防衛上最大限の譲歩とか、いらん前置きを付けているが、実際、避難所に数千人の中国人がいてトラブルも起きているんだから必要な措置だろ!」
「申し訳ございません。続けさせて頂きます。」
園田は、軽く頭を下げ続けた。
「中国艦船の石狩港への入港を許可し、在日中国人の出国を認めます。但しヘリの運用はもちろん、人民解放軍兵士の上陸は許可せず、周辺の警備を含め避難民の船内への移動は自衛隊が行います。」
「それなら我が国としては問題なさようだが、中国側は納得したのか?」
質問を口にしながら矢部総理は、外務省と防衛省の両方の官僚を見渡した。
「はい、そこは外交ルートを使って調整いたしましたので問題ありません」
外務大臣の戸倉が誇らしげに語った。
「戸倉くん、ロシアの国連決議の方はどうなんだ?」
「もちろん否決されると思いますが、情報では、ヨーロッパ各国は同調したい空気があるようです。特にドイツは、亜人にも人権があると主張し始めました。また、万が一ロシアが単独で軍事行動を実施する事に備え、新型のあかぎを中心とした護衛艦隊を、日本海北部に展開させます」
「備えあれば患いなしじゃな・・・国連決議は、アメリカが拒否権を発動してくれるからいいが、どこの国もハイエナのように群がってくるな・・・」
矢部が舌打ちをしながら呟く
(カバラ皇国の存在が、どれほどの国益になるのか想像出来ないのは、お前たち老害くらいなもんなんだよ・・・)
と園田は心の中で囁く
「あと、北朝鮮の泳男氏が札幌にいると報道があるがどうなんだ?」
国家公安委員長の渋谷がやっと出番かと言わんばかりに説明を始めた。
「はい、潜入している公安の兵藤に確認させましたが、泳男は札幌駅前のホテルに滞在しております。こちらの映像をご覧ください」
前方のモニターに兵藤が撮影した泳男の映像が流れる。
「影武者と言う可能性は?」
映像を確認した矢部が問いかける。
「わざわざ影武者で、エルフの尻を追いかけ回す意味がございません・・・」
「それはそうだな。しかし面倒を起こさなければいいのだが・・・」
矢部の脳裏に、言い知れない不安な予感が隙間風のように吹き込んでいた。




