避難民受け入れ
札幌テロ関係閣僚会議
いつも空気の重さで肩が凝りそうな、危機管理センターではあるが、今日は違っていた。
防衛省の園田から、昨日の戦果報告がされていた。
魔法の影響で、米軍の巡航ミサイル2発の弾道がそれ被害が出てしまったが、攻撃地点の事前通達のおかけで、市民の死亡や重傷者は出ておらず、軽傷と家屋損害の報告だけであった。
市内の被害報告の後、北海道大演習場での大規模戦闘の戦果報告がされた。
自衛隊による撮影でリアルタイムで見ていたが、実際の数字を聞くと逆に、現実とは思えないほどの戦果であった。
また、その戦闘を受けて、セシリアによる市民の移動制限解除宣言も発表され、行き詰まりだと思っていた眼前に、ほっと灯がともったような空気が流れていた。
矢部が安堵の表情で一言
「市民への被害は反省が必要だが、市民の解放は爆撃と、北海道大演習場での自衛隊の戦果の賜物であるな」
「世論は、必ずしも爆撃には、賛同している訳ではありませんよ。死傷者は出ておりませんが、市民は身の危険を感じ、家屋への被害も無視できません」
「世論の批判は覚悟の上だ、まずは世論より実績が大事である。野々村くん今後はどうするつもりだ」
矢部に促され、罰を悪そうに野々村が話し始めた
「カバラ皇国軍も地上への大部隊駐留は、諦めたようなので、砲撃は有効な攻撃手段とは言えなくなりました、再度有効な攻撃を検討いたします。」
「札幌奪還作戦の目途はないのか?」
「はい、演習場のような開けた場所では、何万の兵がこようとも、自衛隊に被害を出す事無く、打ちのめすことが可能ですが、市街戦に持ち込んだ場合、歩兵の展開が難しい状況ですので・・・」
歯切れの悪い野々村に、呆れたように矢部が言い放った。
「テロリストを倒す事ではなく、どうやったら札幌を奪還出来るか考えてくれ! 内村くん世論の動向はどうだ?」
官房長官の内村が世論に関して
「特に市民救助活動を行わない自衛隊を、問題視する声が上がっております。空爆により倒壊した家屋から自衛隊が無視し、化け物達が住民を救出している動画が公開されており、今後、厳しい追及がされる事が予想されます。どちらが市民を守っているのか! と言う声が高まっております。」
「これも市街地に歩兵を展開出来ないからなんだよな、まぁ最後は私が総理大臣として責任を取る、それより明日から避難民の受け入れ態勢は整うと考えていいか?」
「それが問題です。小樽、江別、恵庭、石狩で受け入れいたしますが、学校や体育館などの公共施設を全て使用しても、十分の一程度の難民しか受け入れ出来ません、また施設から溢れた難民へ支給するテントも不十分です」
「東日本大震災の時でも、不便を掛けながらもなんとかなったじゃないか」
「総理、東日本大震災の避難民は50万人に満たないのです、今回は200万人ですのでかなりの混乱が生じるのは確実です。」
「それでは札幌市民に家に留まっていろと、言えというのか?!」
「そうではありませんが、受け入れ施設が不足する事を、総理から事前に市民に伝える事で、混乱も緩和されると思います。」
「わかった・・・」
セシリアの放送の3時間後に、矢部総理もTVを通して札幌市民に向けてメッセージを送った。
大勝利後のメッセージ配信にも関わらず、自信はなく、どこか申し訳なさそうな口調であった
「昨日の自衛隊による作戦で、カバラ皇国軍は地上での駐屯と、市民の皆さんの無法な拘束を諦めたようです。無用な戦闘での市民の皆様への被害を防止する事を目的として、明日からの3日間自衛隊の攻撃を止めます。札幌市民の皆さんは、焦る事無く十分な準備を行ってから避難をして下さい。小樽市、江別市、恵庭市、石狩市で・・・」
矢部総理のメッセージは、各放送局により、何度も繰り返し放送された。




