札幌テロ関係閣僚会議
カバラ皇国とのTV会談終了後、国家緊急事態対処会議は解散し関係省庁を増やす形で札幌テロ関係閣僚会議へと事案は委譲された
議長である総理大臣の矢部は、あやふやな気持ちを虫けらのように押しつぶす口調で話し始めた
「国家緊急事態対処会議で下された決定が必ずしも正しかったわけではないが、この場では責任の追及は止め、これからどうするか?特に自衛隊出動の法的な問題をクリアにする事を目的とする。責任に関してはこの事案が終了したあと私が全責任を持つ」
わけのわからない憤りが胸の奥にわき、苛立ちを隠せない様子の防衛庁長官野々村が
「一週間後に即時作戦開始が可能となるように直ちに防衛出動を命じて欲しい、それと自衛隊の作戦の足枷となるような法令も特別措置法で対処し我々に作戦の自由を与えてくれ! そうすれば3日で札幌は取り戻す」
内閣法制局の官僚が能面のように表情を変えずに、防衛出動に関して言及する
「あくまでも法解釈としてですが、カバラ皇国をテロリストとした場合に自衛隊の防衛出動は認められず治安出動となります。」
防衛庁長官野々村は顔を真っ赤にして憤懣をぶつける
「治安出動など典型的な足枷だ! 戦車の出動判断と承認をいちいちするのか?! 対応する自衛官の命をなんだと思っているんだ!」
「ですからカバラ皇国を国もしくはそれに準じた組織とすれば良いのです」
「カバラ皇国が独立宣言すらしていない状況で国家認定など無理がある、独立宣言したとしても我が国が承認する訳がないだろう、国際法上、彼らはテロリスト集団でしかないのだ」
国家公安委員長渋谷が立ち上がり
「治安出動でも特別措置法で補えば、自衛隊の作戦に影響を与えないのではないですか?」
防衛庁の官僚が既に札幌は武力により占領されてしまったので武力攻撃事態対処法で防衛出動は可能であると言及した。
防衛庁としてどうしても戦後初の防衛出動の実績が欲しかったのである
矢部は呆れたような顔で
「しかし何故、自衛隊の出動に関して、複数の法案がありそれぞれ矛盾があるんじゃ・・・9条と言うしがらみがある上で現実的な対応を模索して来たと言う事だとしても普通じゃない」
防衛庁の官僚は矢部の言葉がなかったように発言を続け武力攻撃事態対処法上では、防衛庁長官が予備自衛官及び即応予備自衛官などの防衛招集命令を発する事が可能であり、北方に集中する戦力の隙間を埋める事も可能と話を締めた
内閣法制局の方も武力攻撃事態対処法による対応であれば防衛出動で問題ないとしたので、自衛隊の出動に関しての問題はクリアとなった
野々村が手を上げ発言の許可を求めていた
「野々村くんまだ何かあるのか?」
「総理、もうひとつあります。札幌に戒厳令を敷く事を提案します。戒厳令下であれば市街戦での民家の利用や住民の誘導もスムーズとなり作戦の自由度あがります」
「この法解釈はどうなんだ?」
内閣法制局の官僚は
「戒厳令を敷くと言う本格的な国家緊急権は、現行の法制下においては日本国憲法との整合性は取れません。現実的には自衛隊の作戦行動における国民の損害賠償を特別措置法で明記する事で十分ではないかと思います。」
「野々村くんどうかね?」
「無理なのであれば仕方がありません。自衛隊の作戦に障害が起きぬように特別措置法を制定して貰えば自衛隊は全力で札幌を奪還いたします! また北方に集中する戦力を補うために即応予備自衛官の防衛招集命令を発します」
「頼んだ! いざという時は、総理大臣命令で超法規的対応を行う覚悟もある。自衛隊は市民の安全を優先して貰えば何をしても構わん!」
「総理、ありがとうございます。私から全自衛官にその旨訓示いたします」
最後に矢部が立ち上がり
「十分な準備をして、全力で敵を蹴散らし札幌を取り戻す!」
全員が立ち上がり拍手で締められた




