セシリアの憂鬱
「それでも戦争は避けるべきです。日本人の為だけじゃなくカバラ皇国の人達の為にも」
「じゃおぬしはセシリアちゃん達はどうすればいいと思うのじゃ」
「それは・・・話し合いとか・・・」
「それに責任を持てるのか?70年前の日本と同じように国の存亡が掛かっておるんじゃよ。」
「70年前の日本は戦争と言う間違った選択をしたんですよ。セシリアに同じ道を歩ませては行けません」
「70年前はアメリカと話し合いで解決せず、石油や鉄の輸出を止められて生き残る為に戦う必要があったんじゃ、おぬしが70年前の何を知ってると言うんじゃ、日本が悪でアメリカが善だと教えられてるだけで本当の事は今の若い者は何も解っちょらんよ」
「だからと行って、今話し合いもせずいきなり戦争を始める事が最善とは思えないです。そもそも勝てる訳がない」
「セシリアちゃん達は戦争すると決めている訳じゃない、この国を知りそして生き延びる為の選択をするはずじゃ」
「だから私達で戦争しないように説得するんですよ」
「戦前の日本と同じでカバラ皇国の人達は生き延びる為の戦争を望んでおる。セシリアちゃんの意思だけで決まる訳でもないじゃろ」
「それじゃ戦争は避けられないと言うんですか?」
「わしには分からん、だからセシリアちゃん達にこの世界を見せて判断して貰うしかないんじゃ、わしらの意見を押し付けても意味がないわ」
「セシリアにはこの日本はどうゆう風に映っているんだろうか?」
「セシリアちゃんがどう判断しようがわしはセシリアの味方するわ」
-------
ベランダで何やら言い争いをしている満子と宮脇を見ながらセシリアは考え事にふけっていた
夕張岳での戦闘は、セシリアの意図とは関係なく始まってしまったが
これから起こる戦争は、自らの意思で始まる事になる
建国以来ずっと人間と争って来たカバラ皇国の臣民にとって自らの生存の為の戦争は当たり前の事であるがこれまで見て来たこの世界の人間は技術レベルが格段に高く魔法でも対処するのは難しい
奇襲で一撃を加える事は可能だが、その後継続的に戦闘が続いた場合はカバラ皇国は滅亡してしまうだろう
しかし地下に閉じこもり毎日フフ一枚の貧しい生活を我慢している臣民達はたとえ多くの犠牲を出すとしても戦争による現状の打開を求めている
「陛下、どうかいたしましたか?」
「これからどうして行けばカバラ皇国臣民が幸せに生きて行けるのか考えておりました。戦争で領土を獲得する事が可能なのかと・・・」
「陛下、それを見極める為に我々はここに来ているのです。」
「ヨエル、そうでしたね。しかし様々な物を見るにつれこの国に勝てる気がしなくなって来ました」
「これまでもカバラ皇国は何度も追い詰められて来ましたが、皇帝陛下の元、臣民が団結して戦いその危機を脱して来ました。」
「戦い以外に生き残る方法はないのでしょうか?」
「この世界の人間は豊かで余裕があるので我々に寛容かも知れませんが、話し合いで領土を分けてくれるとは思えません」
「以前の人間達とは違い、話しは聞いてくれると妾は思うのです・・・」
「陛下その場合は、奇襲のチャンスを潰す事になりますよ」