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第六話反撃準備

時間があったので何とか投稿できました。これからまた不定期更新ですが長い目でみまもってください。

 大隊周辺図


       ↑     川川                  林林林

       騎国橋   川川                  林林林

            川川 →至多治見原

           川川

   _________________________________________

小野寺大橋    [第301鉄虎大隊]        多治見街道

 ____________ ____________________________

          川川                    林林林

    小野寺   川川                      林林林

大隊本部 卍     川川                    林林林


大隊本部のある小野寺の講堂内へ私は、大隊長へと報告をしていた

「それで、中隊は敵と接触したわけだな。秋月中尉」

声を発した主である人はひどくやつれた顔の髭を生やした人相のものだった。

この人が第301鉄虎大隊の大隊長 柿崎 正之 その人である。

「はっ中隊長以下25名戦死、鉄牙虎3頭が死にました。」被害を淡々と報告する。

講堂に胡坐をかき大隊の頭脳たる将校が大隊の周辺図を囲み並んでいた。

その面々が秋月へと疲れ切った眼差しを向ける。

「酷いものだな貴重な戦力が・・・ぼやいても仕方があるまい。敵の捜索騎兵がそんなに近くにいるとはないよいよ敵本体も近いな。現状の中隊は貴様に預ける。以上だ原隊に復帰しろ秋月。」

「はっ中隊に復帰します。大隊長、一つお願いがあるのですがよろしいですか。」

私はそう告げると大隊長は答えた。

「なんだ言ってみろ」

めんどうくさそうに彼は応じた。

「“転進”してきた味方を我が中隊の指揮下に加えてもよろしいでしょうか。」

この大隊のいる小野寺大橋より東にはもう地図上には部隊は存在しない。つまるところ行き場のない敗残兵を欲しいといったのだ。

“転進”とは転じて進むとまるで、まだ余力のある戦略的撤退のようにも聞こえるが、要は後退、負けていることを言葉遊びで隠しているのだ。後退など言った日には、士気がどうとか上官にどやされるのがわが軍の常だった。

「わかった。好きにしていいぞ。」

彼はそう答えた。

「はっありがとうございます。」

私は、形だけの謝辞を述べて敬礼をして講堂を後にした。

中隊の天幕に戻ると皆疲れ切っていた。何しろ戦闘の後強行軍で30kmもの道を踏破してきたのだから当たり前ではあるが。

元気なのは、猫ぐらいのものである。私を確認した花楓がこちらに駆けてくる。

ふにゃあと甘い声を出して私の顔をなめてくる。

「コラ凍傷になるからやめなさい」

そういって花楓を押さえつけると花楓は抗議の表情を浮かべまた、よそへと駆けて行った。

「全く本当に猫が大きくなったまんまだな」

あとで冷たくあしらった埋め合わせをしてやらなくてはいかんな猫は気まぐれで普段は本当の“猫”と変わらない。

「国木田曹長おるか」曹長を呼びつける。

「はい、ここにおります。」

一つの天幕から国木田曹長が顔を見せる。

「曹長私がここの中隊の中隊長になるそうだ。これからもよろしくな。」

曹長へ話す。

「それは、出世しましたな。して中隊長殿ご用件はなんでしょうか。」

顔をほころばせながら曹長は、答える。彼とはもう長い付き合いだ。

私の実家の秋月家は、先祖代々の武家父も兄も皆軍人というありさまだ。

彼は、幼い頃から私の教育係としても我が家につかえていた。

私が、士官になると彼も予備役から現役へと復帰したというわけである。

「曹長、これからここを通る原隊から離脱した兵どもを我が隊にいれるからそのような兵がいたら報告してくれ。」

私が曹長へそう話すと曹長は少し戸惑いながら答えた。

「了解しました。しかし、今更“転進”してきた味方なぞ役に立ちますかな。なんせこの寒さですし、士気も装備も失っているでしょう。」

「これからはもっと消耗戦になる一人でも兵が惜しい、それに一回でも勝ち戦をやらねば士気も持たんだろう。」

「すると、打って出るのですか?周りは敵だらけで、会敵するには事欠かんでしょうが。」

「そうだ。これから勝ち戦をするのだよ曹長。」

私は、にやりと笑いながら答えた。



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