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四天王  作者: 原善
第四章 住所のないラブレター
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その12 神の降り立つ街

 第88エレベーター地上付近。キーンは一人の兵の肩につかまりながら移動していた。すると、キーンの目にタケシが地上に置き去りにしたストラトス3台が目に入る。


「ちょっと待て・・・」

 キーンは兵を待たして、足を引きずりながらストラトスに近寄った。


「これが奴らのSCか・・・?」

 キーンはストラトスの内部を伺った。すると、キーンはドアを開け中を覗いた時だった。中からピーピーという音が聞こえてくる。


「ん?」

 キーンは急に顔色が変わった。

「み、みんなぁ!さ、下げれぇー!」

 その瞬間、キーンの開けたストラトスは爆発を起こした。隣にあった2台のストラトスも同時に爆発する。キーンはもちろん、その近くにいたポリス兵4、5人も巻き添いになり、爆風に吹き飛ばされていた。



 P6指令室。

「地上EV88付近で爆発確認!!」と柳沢。

「松井!キーンを呼べ!」弘士が指示を出す。

「はい!」


「我妻!館内の敵兵はどうした?」

「地下3階、Gブロック!ロクさん、バズーさんとダブルさんが追っています。」

「キーンさんの応答なし!」と松井。

「近くに兵はいないのか!?確認させろ!」

「了解!」



 地下3階特別保護室。直美家族が保護されてる部屋だった。部屋の前には、ロクの部下シンが機関銃を持ち立哨している。そこにライダースーツを着た関根がやって来た。

「どうしたんですか?関根さん?そんな格好で?」とシン。


 すると関根は、不意を付いてシンに発砲した。シンは撃たれ後方に倒れピクリともしない。部屋の中では、銃声に驚いたのか直美と勝也、雨音が身を寄せ合った。関根はシンの首から、部屋のIDを引き契るとカードで部屋のロックを解除した。部屋の中に入る関根。


「直美ね?」

「あ、あなたは?」

「すぐ来てちょうだい!」

「どういう事よ!?それに今の銃声!?弟たちは!?」

「あなただけよ。急いで敵が来る!」

「は、はい・・・すぐ戻りますよね?」

「急いで!」

「はい・・・」


 直美は、勝也と雨音に言い聞かせるように話しかける。

「お姉ちゃん、すぐ戻るからここに居てね。」

「嫌だよ!ここにいてよ!」と雨音

「あなたが出たらここはロックするわ!早く!」関根が直美に叫ぶ。

「いい?待っててね!」

「嫌だよ!」と勝也

「勝也!雨音を守るんだよ!いい?」


 直美は関根に言われるまま、部屋の外に出る。直美はシンが倒れているのを見つけると、少し不安になった。

「彼は?・・・死んでるの?」

「敵が侵入してるの!訳は後で話す。」

「意味が分からないです!?」

「あなた母親は?」

「いないです。幼い時に死んだって・・・」

「逢わせるわ!母親にね!」

「えっ?」

「逢いたくないの?」

「母は死んだと・・・?説明して下さい。」

「とにかく来て!」

 関根は直美の腕を強引に引っ張った。



 タケシらは人気のないポリスの地下の廊下を走っていた。時折後方を振り返っては、後方に発砲している。10人いた兵も既に6人になっている。

「車庫までもう少しです!」とヒデ。

「真・四天王・・・そもそも何なんですか?」と石森。


「あの親父が、最も恐れたもんだ!」走りながらタケシが語り始める。

「タケシ様の父上が?」

「死ぬ前に、親父はこう言った・・・P6を最後に攻撃しろと・・・あの時、それが何を意味していたのか俺も姉貴も分からなかった。」

「・・・」渋い表情のヒデ。


「核兵器が効かない街・・・ジプシーたちはこの街をこう呼んだ・・・神の降り立つ街だと・・・」

「神の街・・・」

「いつの間にかここはそう言われたんだ。この街には4人の神が住み、ここを守っていると・・・」

「それが真・四天王・・・?」

「神などいるわけがない!それを確かめたかった!そうする事で、親父を超えたかった・・・」

「タケシさま・・・」

「しかしあの女は言った。この地下に眠ると・・・いるんだ。本当にここに・・・」

「私も以前、聞いた事があります。本当の四天王は地下に眠っていると・・・」

「それを確かめたかったが・・・」

「ここです!」


 ヒデはある部屋の入口で止まった。その時、薄暗い廊下に銃声が響く。タケシら6人は持っていた拳銃を撃ち落とされる。ヒデは慌てて拳銃を拾おうとした時だった。


「動くな!」

 後ろを振り返ると、左手に拳銃、右手にバズーカを持ったバズーが立っている。

「バズーか・・・?」ヒデは懐かしい顔につい言葉が漏れた。

「動くなよ・・・廊下ごと吹き飛ばされたいか?」

「くっ・・・」


 焦るタケシに対し、石森は余裕の顔を見せタケシたちの前に出る。

「タケシ様・・・ここは私が・・・」

「石森・・・」

「早坂さん、ヒデ・・・タケシ様を頼むぞ!」

石森はバズーを睨んだままのタケシに振り向く事はなかった。

「ああ・・・」タケシは石森の決意を察する。

「こいつは、俺が片付ける・・・」


「この状況で・・・言うね?それに見たツラだ・・・ヒデ?サンドウルフのヒデか?」

「久しぶりだな・・・バズー。」

「お前知り合い多いなぁ・・・?」と苦笑いのタケシ。

「まあ・・・」

 すると、石森はバズーに一歩一歩近づいて行った。


「おいおい!」

 バズーは肩にバズーカを構える。

「こんな狭いとこで撃てば、お前も死ぬぞ!」

「なに!?」

「俺は素手で人を殺したこともあるんだぜ・・・」


 そう言うと石森はバズー目掛けて走り出した。バズーは慌ててバズーカーを石森に向けた。

「遅いぞ!」

 石森はバズーのバズーカを押さえるとバズーを壁に押し付けた。

「タケシ様!今です!」

「ああ・・・行くぞ!」


 タケシら5人は、自らの銃を拾うと2人を後に車庫内に入って行くが、ヒデは自らの拳銃を拾うとバズーに銃口を向けた。

「邪魔するんじゃねぇ!ヒデ!」

「なに!?」

「人の楽しみを横取りするな!!」

「正気か!?」

「いいからタケシ様と行け!!」


 ヒデは石森の気迫に負け、銃口を下ろしタケシの後を追った。

「随分余裕じゃねぇか!」とバズー。

「その拳銃で6発使ったら、拳銃の弾は空だ・・・」

「ふん!バレていたか・・・」


 石森もバズーも身長は2メートル近く。筋骨隆々。ややバズーが細く見える。2人はバズーカを中にして揉め合っていた。

「バズーカを持っているという事は、お前がバズーカと格闘のプロの四天王かい?」

「あっ!?さあな!てめぇで確かめろ!」


 揉め合った直後、バズーカは廊下に放り出された。石森の拳銃も遠い。やや間合いを置く二人。

「俺はジプシャン軍第一SC隊副リーダーの石森・・・」

「俺は、P6機動部隊隊長バズー・・・」

「四天王・・・か・・・?」

「あのストラトスのドライバーか?」


 2人は向き合い薄笑みを浮かべている。すると石森の方からファイティングポーズをゆっくり作ると、バズーもゆっくりポーズを作る。

「ワクワクするな?たまにはこういう趣向もいいだろ?」と石森。

「そうだな・・・」


「行くぜ!小僧」

「来いよ!おっさん!」

 2人の間合いが少しづつ縮まっていく。

「楽しもうぜ!」と石森。

「ああ!」

 2人は、ほぼ同時に拳を繰り出した。

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