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四天王  作者: 原善
第四章 住所のないラブレター
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その11 第一級戦闘配備

 タケシは桑田の左腕では物足りず、今度は肩を撃たれて身動きが取れない右腕を足で踏みつけた。

「後・・・指は5本だ!」とタケシ。

「ふふふ・・・や、やってみろ・・・」

 桑田はタケシを睨みながらも、目からは涙が流し強がってみせた。

「おいおい・・・こいつは吐かないぜ・・・」

 ヒデはその様子を直視することが出来ず、関根に小声で話しかけた。


「あんたがスパイだったとはね・・・?」

「あんたこそ、いつからタケシ隊に?」と関根。

「ヒジリって女を捜しているんだが・・・知らないか?」

「その子なら地下6階よ!」

「何っ!?やはりここか・・・ここを連れ出したいんだが?この状況で無理な相談か?」

「無理ね、地下には入れないわよ!あんたもそのくらいは知ってるでしょ?」ヒデを睨む関根。

「どうすれば入れる?」甘い声で関根に問うヒデ。

「そうね・・・」


 タケシが桑田の右腕に銃口を向けた時だった。館内の警報が突然甲高く鳴り響く。

「何だ!?」タケシは上を向いた。

「第一級戦闘配備!残念ね。もうこれより先の地下施設には入れないわよ!」

「なんだと!どういう事だ!?女!?」と早坂。

「その子のIDカードと暗証番号だけでは入れない。あと5分でここは完全封鎖する。」


「なら、こいつは用済みだな?」

 タケシが桑田に銃を構える。

「殺さないでって言ったでしょ!?その子がいなければここを逃げれないわ。それより、地下に入るなら急ぎなさい!」

「どういう事だ?今入れないと・・・!?」

「下から兵が上がって来るはず・・・そこを襲いなさい。この先に非常出口がある。この警報から5分で完全閉鎖される。その扉の先、真・四天王は地下17階よ・・・」

「地下17階・・・そんなにここは深いのか?」とタケシ。

「あんた・・・なぜそんな事まで・・・」なつみが苦しみながら関根に問う。

「この子は、用が済んだら私が始末するわ・・・いいわね?」


 関根は桑田のIDを強引に引き千切るとタケシに渡した。

「ここから上はこれで開くはずよ。逃げる際は、ここのSCを使いなさい!さあ急いで!」車のキーらしき物をタケシに投げる関根。

「くっ!・・・急ぐぞ!」ひとり納得が出来ないタケシ。


 タケシや石森ら10名は外の様子を伺いながら、倉庫から出て行く。関根はその様子を見ながら、拳銃を桑田の頭に向ける。脅える桑田。

「ごめんね、なつみ・・・」

「くっ・・・・・・」

 目を瞑る桑田。関根が桑田の頭に向け拳銃の引き金を引く。



 タケシらがポリスの廊下を走っている。すると今いた倉庫付近から3発の銃声が聞こえる。一度振り返るタケシ。

「噂通り、冷酷な女だな・・・急ぐぞ!」



 ロクは地下3階の廊下を走っていた。後方からバズーが走ってくる。

「敵は?」とバズー。

「どこにもいない・・・だがこの警報だ。これより下には行けんだろ!手分けして捜すぞ!」

「ああ!」左右に別れて廊下を走る二人。



 タケシら10名。ヒデが道先案内をして先頭を走っている。

「あそこです!」


 ヒデが1つの扉を指差した。タケシの兵がその扉に近づくと、何人かのポリス兵が出てくる。

「敵だ!」

 4、5人のポリス兵が扉から出てくる。ポリス兵とタケシらの兵が狭い廊下で銃撃戦になってしまう。

「急げ!間もなく完全ロックになるぞ!」

「突破するんだ!」激しい銃撃戦で立ち往生するタケシたち。


 しかしタケシは先頭に立ってポリス兵を撃ち殺していく。タケシの手の者も3名程撃たれて動かなくなっていた。全てのポリス兵が倒れるのを確認すると、タケシはすぐ扉に近づいたが、扉は閉まってしまう。扉に手を掛けるがビクともしない。

「遅かったか・・・封鎖されました!」

「くそがっ!」


 タケシは厚い鉄の扉を叩いた。

「爆薬があります。扉を吹き飛ばします。」と石森。

「無理だ!核シェルターにあたる。核でもこの扉を破れないはず・・・」ヒデが石森を制止する。

「これまでだな・・・仕方ない・・・撤退する!」

「タケシ様・・・この下に何があるというのですか?」

「この下に眠る・・・全ポリスの頂点・・・あの親父が恐れた奴だ・・・それを確かめたかったが・・・」

「頂点・・・?」



 ロクは廊下を警戒しながら歩いていると、廊下に血痕後を見つける。ロクは再度銃を構え直すと、その倉庫内にゆっくり入った。

『誰かいる・・・』


 ロクはゆっくり倉庫内を歩き出すと、そこに血だらけの桑田を見つける。

「な、なつみ!?」

 ロクは周りを警戒しながら桑田を抱きかかえた。

「なつみ!しっかりしろ!」


 ロクは何度も桑田を揺さぶった。すると目を開ける桑田。

「ロ、ロクさん・・・?」

「しっかりしろ!お前・・・」


 ロクは改めて桑田の様子を伺った。右肩を撃たれた形跡はあるが、応急処置をしている。左脇下には止血処置。その先を見てみると、手の甲辺りに包帯が巻かれていた。なぜか短いのに気がついた。

「お前・・・左指は?」

「タケシに・・・殺られました・・・えへ・・・」気丈に笑ってみせるなつみ。

「えへ、じゃないよ!なんで地下3階にいる?なんで指令室を出たんだ!?」

「自分の疑いは、自分で晴らしたくて・・・」

 そう言うと桑田は、堪えていた涙を流し始めた。

「ば、ばかだな・・・それは俺らの仕事だろうが・・・」

 桑田はコクリとうなずいた。ロクは桑田をマントの上から抱き締めた。


「それでタケシたちは?」

「地下17階に行くって・・・」

「地下17階って?」

「ロクさん・・・真・四天王ってなんですか?」

「真・四天王?なんだそれ?」

「奴ら、それに逢いに行くって・・・」

「心配するな。第一級戦闘配備だ。いくら奴らでもこの下には入れないはず・・・」

「はい・・・」

「俺はこれから奴らを追う。もう少ししたら医務室行け。関根さんに見て貰うんだ。」


「スパイ・・・せ、関根さんでした・・・」

「関根さんが・・・?」

「でも、この手当てをしてくれて、タケシから守ってくれたのも関根さんなんです。」

「はぁ?どういう事だ?」



 今から、数分前。関根が桑田の左腕脇を縛っている。桑田は気を失っていたのか目を覚ました。

「・・・痛たたた・・・」

「起きたか?」

「なぜ・・・なぜです・・・?」

「指の事は、私を責めないで。まあ、あんたが暗証番号を言うとは思わなかったけど、昔からロクと同じで強情よね?」


 関根は近くにあった棒で、更に左腕を絞り上げた。

「くくっ・・・!」激痛でか顔が歪むなつみ。

「右肩は、急所を外したわ。応急処置はした。命に別状はない。左手は脇から止血したけど、長時間放置しないで医務室に行きなさい。私の助手に見てもらいなさい。ただ敵兵がいるから静かになったらここを出て。」

「あなたの目的は・・・?」

「それは言えない。ただ・・・もうあなたに会うことはないわ。みんなにもね・・・」


「関根さん・・・」

「そんな目で見ないでよ・・・でもここにいた12年、楽しかったわよ!」

「なぜ、私を助けたんですか?」

「あなたを殺したら、ロクになにされるか・・・」

「関根さん・・・」

「いい?10分はここに隠れていなさい。タケシには殺した事になってるから。見つかったら今度こそ殺される。味方が来たら助けを呼びなさい。廊下に血痕を残しておく。すぐに見つけてくれるわ。10分以上止血は出来ないわ。じゃあね。」

 関根は急ぎ拳銃を構え、倉庫を出て行った。



「そうか・・・関根さんが・・・」

「見つけても撃たないで下さい!」

「撃てるわけないだろ?しかし、どうしてあの人がスパイなんだ?地下には入れないはずだ?」

「よく事情はわかりません・・・」

「敵は何名だった?」

「約10人です。この先の緊急非常口に向いました。」

「わかった!」ロクは腹を押さえながら立ち上がる。


「そう言えば・・・お腹の怪我は?」心配そうななつみ。

「なんとか・・・する!」

「出た出た・・・気を付けて下さい。ヒデという男もその中にいましたから・・・」

「ヒデが・・・わかった!必ずお前の仇は取るよ。」

「はい!」

「ああ!拳銃・・・無くすなよ!」


 そう言うとロクは、桑田にワイルドマーガレットを右手に握らせた。

「あ、ありがとうございます・・・」

「ここは動くな!いいな!」


 ロクは倉庫を出て行った。ロクは倉庫を出るとすぐ蹲った。ロクは顔をしかめると、自らのマントを開いた。すると腹の出血がさっきより多なっていたのだ。

「くっ・・・痛み止め注射はあと1本・・・」


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