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四天王  作者: 原善
第八章 さらば・・・ロク
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その7 この星を継ぐ者たち

ロクがルナの側に近寄る。ルナはある十字架に祈っている。

「ルナ!」

ロクの声に気づき、慌てて後ろを向いて涙を拭うルナ。

「な、なんだ。ロ、ロクさんか~!?」

空元気でロクに答えるルナ。ロクはルナが祈っていた十字架を横目で確認した。


「ダブルの墓か・・・?」

十字架に刻まれたダブルの名前。

「そうか・・・」ロクはルナの顔を見つめた。

「SCがエアーブースターで爆発したって言うから・・・もう遺体にも会えないと思ってました・・・意外と綺麗な顔だったんでちょっと嬉しかったですよ・・・なんか少し笑っていた気がしますし・・・」

「あっ・・・あのな?ルナ・・・」ロクは意を決したようにルナに語ろうとした。


「い、言わないで下さい!わ、私もバカじゃないです・・・ダブルさんは敵艦で見つかった。あの時、敵艦に侵入するのがいかに大変だったか・・・でも彼は敵艦にいた・・・SCの爆発も何かトリックがあったと思います・・・切られた傷も恐らくキーンさんのソードライフル・・・キーンさんはあの時もう居ない・・・切ったのは恐らく・・・」ロクを上目遣いで見て、口ごもるルナ。

「そこまで分かっていて・・・」ルナの観察力に驚いたロク。

「普段からバカっぽく見られるんですけどね・・・こういう時の勘はよく当たるんですよ・・・へへへ・・・」ルナは自分の頭にコツンと自分でゲンコツを入れた。


「いい奴だったよ・・・ダブル・・・妹までいたんだぜ・・・」ロクは空を向いて語る。

「ふーん・・・互いに嫌いだと思ってました・・・?ロクさんとダブルさん?」

「ふふふ・・・そう見えたか?」

「いいライバル・・・そんな感じですか?」

「そうだな・・・」


「あー!なんか吹っ切れました!最初自分がデート断ったのが原因だと思ってたんで!」背伸びして腕を天に伸ばすルナ。

「デート!?お前そんな約束をダブルとしていたのか!?」目を丸くするロク。

「戦闘中に無線で言うんですよ!でもいいんです!ここに来ればいつでも彼とデート出来ますから!この大きな空も見えるから・・・」

「そうだな・・・」

上を向き屈託のないルナの笑顔に、微笑むロク。


「そうそう!これ・・・」ルナは肩に下げた鞄から機銃を取り出す。見覚えのある機銃。ダブルの機銃が二丁出てくる。

「ダブルのか!?」

「ええ!二丁あるんで片方貰っていいですか?」

大事そうに胸で機銃を抱き締めるルナ。

「もう片方は?」とロク。

「勿論、ロクさんでしょ!?これでまた一緒に闘えますよ!」

「そうだな・・・」

明るく対応するルナの中に、どこか寂しげな気配を感じるロク。


「好きだったかもしれません・・・」ルナが寂しげな顔で呟く。

「ダブルをか?」

コクりと頷くルナ。

「でも忘れます・・・いい思い出だけを残して・・・」

「あの?ルナ?お前まさかダブルの・・・?」

「はい!?」

「い、いや、何でもない・・・まあどうでもいいかー!」

ロクはダブルの監視役がルナではないかと勘ぐった。しかしルナの屈託のない笑顔に質問を止めた。二人で遠くの空を見つめるロクとルナ。するとロクの視線の先に直美の姿を見つける。直美も二人に近づく。


「無事だったか!?」とロク。

「うん!うちはお陰様で全員無事よ!」と笑顔の直美。

「誰か知人でも亡くなったのか?」

「元フィアンセにね!」

「フィアンセって?バ、バズーの事か?」

「違った!?うふふ!」

「女は強いな・・・」少し呆れてみせるロク。


「聞かせて?彼の最期・・・」

「あ、ああ・・・うーん・・・なんだ・・・その・・・」戸惑うロク。その先の言葉が見つからない。



瓦礫の上で座り込むロクと直美。既に太陽は西に傾いていた。

「あいつ・・・頑張ったんだね?」

「あいつらしい・・・そしてあいつしか出来ない作戦だった・・・」

「・・・そうか・・・みんな死んだんだ・・・?」ロクの話を聞いて涙を流す直美。

「ああ・・・」とロク。

「まだ戦争は続くの?」

「まだ終わってないんだ・・・まだまだこれからだよ・・・」

「じゃあ、まだまだ悲しむ人が増えるんだね?」

「すまん・・・」頭を下げるロク。

「なんで謝るの?」

「この戦争を終わらすとなつみに誓った・・・」

「でもジプシャンの総帥は倒したじゃない?」

「うん・・・でもまだまだこれからだよ!」


「私も男に生まれたかったな~!女って駄目なのよね!待ってるだけでさ~!」涙を拭い、唐突に叫ぶ直美。

「男だったら、きっと親父似でいい戦士になってたな!?」

「任せてよ!・・・って言いたいけど女じゃなぁー!?」

「宿命か?ポリスでは女でも戦士になれるぜ・・・」

「運命は変えれるか・・・ねぇ?なんか悩んでるでしょ?」

「えっ?そんな顔してるか?」ロクは頬を擦る。

「これでも人を見る目はあるのよ!深刻な悩みでしょ?」

「うん・・・そういうとこもあの人似だな?ああ、どうするか迷っている事はある・・・」


「四天王って・・・」

「ん?」直美の唐突な言葉に驚くロク。

「その国を守る守護神なんでしょ?」

「ま、全く知らん・・・俺・・・学がなくてな・・・昔の書物とか読んだ事ないし・・・」目を丸くするロク。

「父が昔そう言っていた・・・だからもうこの街の人たちは十分守ったじゃない!」

「そ、そうかな・・・?」頬を掻いてみせるロク。

「次は自分の為に生きてみたら!?四天王!」

直美はやや猫背になったロクの背中をポンと叩いてみせた。


「自分の為にか・・・?だが俺は・・・もう一つ向き合わなければならない運命がある・・・」空を見上げるロク。

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