第十話:彼女たちのこと、どう思う?
キャンプに着くと、リリスはあたりを見回した。
岩洞は想像していたよりも広いが、パチパチと音を立てる焚き火以外には、ほとんど何もなかった。
寝床もなければ家具もなく、ちゃんとした収納容器すら見当たらない。
火の光が荒々しい岩肌の上で揺れ、二人の影を伸ばしたり縮めたりしている。
彼女は、思わず好奇心に駆られた。グレッグは、いったいどうやってここで生活しているのだろうか、と。
さらに彼女を困惑させたのは、グレッグのこれまでのあの厄介事を好む性分からして、魔物以外には話し相手すらいない、この薄暗く静まり返ったダンジョンの中で、彼は本当にじっと我慢していられるのか、ということだった。
一方、目の前のグレッグはキャンプの中をあちこちと見回していて、何かを探しているようだった。
彼の視線は岩壁の隅や焚き火の縁を走り、さらには頭上に垂れ下がる鍾乳石さえも見上げた。
その仕草は、周囲の安全を確認しているというよりは、何かがまだここにあるかどうかを確かめているかのようだった。
しかし彼はすぐに振り返り、表情は平静を取り戻した。
「適当に、焚き火のそばに座っててくれ。俺は先に食材を片付けてくる」
彼の声はとても自然で、まるで薄暗いダンジョンの洞穴の中ではなく、学院の共用休憩室でクラスメイトをもてなしているかのようだった。
言い終えると、グレッグはその黒焦げた魔物の死体を引きずって、暗河の方へと歩いていった。
リリスは焚き火から遠すぎず近すぎずの場所に腰を下ろし、びしょ濡れの服を乾かし始めた。
布地の水分が炎の熱で蒸気となって立ち上る。それは、河の水のかすかな生臭さと、ダンジョン特有の、苔と鉱石が混ざり合ったような匂いを運んでくる。
グレッグが河辺で手際よく魔物の死体を解体し、洗っている、そのよどみない手つきを見て、リリスは少なくとも一つだけは確信した。料理ができるという話は、嘘ではないのだと。
もともとは貴族の身分を飾るためだけに身につけていた短剣が、彼の手の中で翻る。
食べられない部分をより分け、焼くのに適した肉の塊を切り分けていく。
その動きはあまりにも鮮やかで無駄がなく、大切に育てられた貴族の御曹司というよりは、野外で長年生活してきた熟練者のようだった。
焚き火の温もりで、服は徐々に乾いていく。しかし、リリスの思考は遠くへと飛んでいった。
彼女は思わず考え始めていた。もし、姉が、今の自分のこんな格好で、彼女の元婚約者と一緒にいることを知ったら、きっととても驚くだろう、と。
なにしろ、彼女も姉も元々、グレッグ・サスをひどく嫌っていたのだから、こんな日が来るとは誰が想像できただろう。
手持ち無沙汰になったリリスの視線が、地面の上を彷徨う。
不意に、彼女は足元の地面で、何かが時折、焚き火の光を反射していることに気がついた。それは鉱石の反射ではなく、もっと柔らかく、もっとかすかな輝きだった。
彼女は手を伸ばしてそれを拾い上げ、掌にのせてじっくりと観察する。
それは数本の髪の毛だった。
灰色で、長さは中ほど、髪質はとても良さそうに見える。
それは本来、取るに足らない小さなことのはずだった。
しかし、リリスの心の中には、わけのわからない感覚が生まれていた。
彼女はその数本の灰色の髪をつまみながら、まだ暗河のほとりで食材を洗っているグレッグに向かって尋ねた。
「グレッグ先輩、もしかして、私以外にもあなたのここに来た人がいるんですか?」
「なんでわかったんだ?」グレッグは一瞬、不思議そうな顔をしたが、こう続けた。
「どうせ、お前と同じ一年の新入生だよ」
彼は話しながら、きれいに洗った肉の塊を、その場で削って作った木串に刺していく。そうして立ち上がると、焚き火のそばへと戻ってきた。
「名前はヴィクトリアとシルヴィア。お前も名前くらいは聞いたことあるだろう」
彼の口調はごく自然だった。
ヴィクトリアたちがここに来たことについて、彼は隠すつもりもなければ、隠す必要もないと考えていた。
グレッグの見立てでは、目の前の「リリー・カーロ」はただの善良なモブキャラで、この情報を知ったところで、どうせ何の波風も立てられないはずだった。
な、なんですって!?
リリスは心の中で大慌てし、表情を保つのに必死だった。
ヴィクトリアとシルヴィア。それは、まさに彼女が今日、もともと訪ねようとしていた相手ではないか!
彼女たちがどうしてここに? しかもグレッグと? あの三人は、大きな確執があったはずなのに?
無数の疑問が頭の中で炸裂する。しかし、リリスは何とか衝撃を押し殺し、大商人の娘として当然の反応を必死で装った。
彼女はぱちぱちと目を瞬かせ、ちょうどいい加減の驚きを顔に出した。「でも、私の記憶では……先輩たちって、水と油の関係じゃなかったでしたっけ?」
入学式当日にあの衝突は、学院中で知らぬ者がないほどだった。
グレッグは皆の前でヴィクトリアを侮辱し、ヴィクトリアは魔導テストでその凄まじい才能をもって彼の顔に平手打ちを食らわせたのだ。
「ああ、お前、前の事を言ってるのか」
グレッグは焚き火のそばに座ると、串を打った肉を、間に合わせで作った焼き網の上に並べた。
脂が滴り落ち始め、炎の中でかすかなパチパチという音を立て、香ばしい匂いが徐々に漂い始める。
「実は、俺たちはもうとっくに和解してるんだ」
彼は事も無げに言った。まるで、学院中を騒がせたあの衝突が、クラスメイト同士のちょっとしたいざこざでしかなかったかのように。
この和解の件については、彼はむしろ、この娘が外に出たついでに、この情報を広めてくれればいいとさえ少し期待していた。
なぜなら、今の彼には、主人公と敵対しなければならない理由など本当にないのだ。
ただ生き延びる方法を考えるだけで精一杯なのに、誰が好き好んで古典的な悪役を演じる暇があるだろうか?
それならば、みんなで仲良く平和にレベルアップした方がいい。
ヒロインたちがクリアしてくれれば、俺もその恩恵にあずかって、安全な場所を見つけて余生を過ごせる。
完璧な計画だ。
「あんなに酷いことをしておいて、和解なんてできるものなの? あの男、一体どうやって?」
リリスは、目の前のこの男の周りには、どうも一層の霧がかかっているように感じた。
少しだけ見えたと思った瞬間、また新たな矛盾が現れて、どうしても本当の輪郭を掴むことができない。
焚き火はパチパチと音を立て、炎が肉の串を舐める。脂が火に落ち、食欲をそそる香ばしい匂いが次々と立ち上る。
洞穴の中は暖かな食べ物の匂いで満たされ、ダンジョンにありがちな陰気で湿った空気と、奇妙な対照をなしていた。
リリスのお腹が、再び間の抜けた音を立てた。それは前よりもずっと大きく響いた。
彼女は顔が熱くなり、慌てて背筋を伸ばし、大商人の娘として当然の、気品のある姿勢をとりつくろい、その音が自分から出たものではないふりをした。
「コホン」
彼女は咳払いを一つし、話の主導権を取り戻そうと試みた。「では、ヴィクトリアとシルヴィアの二人については、どう思われますか?」
グレッグの変わりように驚きはしたものの、彼女が今一番気になっているのは、やはりあの二人の実力がどの程度なのか、ということだった。
同じくクラス分け試験で競い合う者として、どんな情報も鍵になりうるからだ。
グレッグは即座に答えた。「正直な話、どっちも超可愛い」
リリス:「……い、いや、そういう意味じゃなくて」
彼女は深く息を吸い込むと、改めて質問し直した。「私が聞きたいのは、この二人と、リリス殿下とを比べて、どう思われるか、ということです」
今度は、グレッグはすぐには答えなかった。
彼は肉の串をひっくり返しながら、数秒間、沈黙した。
焚き火の光が彼の金色のまつげの上で踊り、小さな影を落とす。
その一瞬、リリスは少し緊張した。他人の評価で緊張するなど、久しくなかったからだ。
ついに、グレッグが口を開いた。
「それぞれに、いいところがあるな」
「それぞれに、ですか?」その言葉がリリスの注意を引いた。彼女は食い下がった。「具体的には、どういうところですか?」
グレッグは、まるで早口言葉でも唱えるかのような口調で、まくしたてた。
「シルヴィアは胸元のボリュームがすごくて、ヴィクトリアはたまらない美脚の持ち主だ。
対して、リリスはその両方をバランスよく兼ね備えている。だから、それぞれにいいところがあるんだ」
洞穴の中が、突然、静まり返った。
焚き火の爆ぜる音、暗河の水の流れる音、遠くからかすかに聞こえる、名前も知らぬ魔物の低い唸り声。
そのすべての音が、その瞬間、遠のいた。ただ、グレッグのその一言だけが、リリスの脳内で何度も繰り返しこだまする。
彼女は硬直した。
完全に、全く、硬直してしまった。
数秒後——
「だから、そっちの方面の話はしてないって言ってるでしょーー!!!」
リリスの金切り声は、洞穴の天井を吹き飛ばさんばかりだった。
彼女は勢いよく立ち上がり、顔は真っ赤に染まっている。
その半分は羞恥で、もう半分は怒りだった。
こいつ!
こいつは、やっぱりやっぱりクズだ!
よくもそんな汚らわしい視線で、私のことを品評したわね!
絶対に許せない!




