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39話 【英雄の少女】セラ・セラフ


 マリはセラと一緒に昨日の石の前に立っていた「一応……見たけどまだまだだね」セラが石を叩くもびくともしていない「マリは力は強い……でも制御しきれていない」とセラが石の前に立つと新しい石を持ってきた「見てて」マリは真剣な顔でセラを見る。


「はっ!」とセラが剣を振りぬいた時、石があっという間に切れてしまった「え?」マリにはいつセラが剣を振り下ろしたのか全く分からなかった「ほらね?こんな剣でも硬い石を斬ることは出来ます……できるよ?」「なるほど……」「じ……じゃあさっそく対戦しましょうか」とセラが木刀を構える「はい!」マリもゆっくりと木刀を構え「やあ!」と2人はそのままぶつかり合った。


(うーん……強い……それに速い)


マリは木刀を受けながら考えている「はぁ……決定打がないなあ……」木刀をすべて受け切ってはいるがなかなか反撃の兆しが見えないのだ。だがこの時はまだマリは知らなかった、セラの攻撃をすべて受け切るということがどれだけすごいことなのかを……。


「はぁ……はぁ……」「今日も結局引き分けですか」セラが木刀をしまうとそのまま家の中に入っていった「しばらくどこか歩こ……」マリは森の中にどんどんと入っていく。


(あの時感じた確かな力……あの力さえ制御できれば)


マリはその場で立ち止まる「すぅー……」マリは大きく息を吸うとそのまま目を閉じる。


(ねぇリンカ、私強くなるから!今まで何もしていなかったけど……これからは皆を助けるために強くなるから……だからお願い……私に力を貸してよ……リンカ!)


マリはそんなことを考えるとリンカが笑ったような気がしたその瞬間目の前に文字が現れる。


[確認しました。条件を達成したためインペッシブルスキル【マリエル】を獲得しました。なおリンカ・サリーの命によりスキルを継承したため新たに【空間支配】【空間破壊】【空間分断】【空間圧縮】を獲得。なお【空間転移】【空間支配】【空間破壊】【空間分断】【空間圧縮】を獲得したため、統合し新たなユニークスキル【空間操作】へと進化しました……]


(これは天語……)


[リンカからの命によりユニークスキル【空間操作】進化を開始……成功です。【空間操作】は新たなエクストラスキル【時空間操作】へと進化しました。これによりすべての時間、空間を支配することが可能になりました。続けて、さらにリンカからの命により新たなインペッシブルスキル【即死黒炎】を獲得しました。これにより体、もしくは黒炎に触れた瞬間敵や物が消滅するようになりました。なお味方は消滅対称範囲外となります]


マリはこの瞬間分かった。リンカはあの時マリの為に犠牲になったことに……。


「リンカ……どうして……わざわざ私の為に……」『ふふっ……強くなったねマリ』と一瞬だけ聞こえた後マリはその場に倒れてしまった。


「うーん……」「マリ?起きた?道端で倒れていたから連れてきたよ」と目の前にはセラが椅子に座っていた「あっ……おはようございます」「その様子なら無事力を開放できたみたいだね」セラが立ち上がる「はい……」「次は力の制御……かな」マリは首を曲げる「わたしには時間がないから早く制御できるようにならないとね」「……?どういうことですか?」セラは何でもないというような顔で首を振った。


3か月後


「やあ!」と黒炎と一緒に剣が振り下ろされる「ふっ!」セラも対抗してはじき返すと周りに衝撃波が響き渡る「【大黒炎】!」「【天使の防御】!」マリの黒炎がセラに襲い掛かるもセラのシールドで守られる「やあ!」マリは防がれたと同時に突っ込み剣を振り下ろした……。


ピピピピ!と音が鳴りセラに当たる寸前で木刀を止める「はぁ……はぁ……疲れたぁ」マリはその場に倒れこむ「私もここまで戦ったの久しぶりですね」「ところで……セラさんっていったい何者なの?ただの冒険者じゃないよね?災厄者なの?」マリの言葉にセラは目をつむる「私は【英雄の少女】セラ・セラフ……自分では英雄の少女と名乗った覚えはないけど周りからそう呼ばれている」マリは目を見開いた。当然だった、だってリミア姉さんから聞いた時からずっと憧れていた存在……それが英雄の少女だったのだから「どうして……私なんかを弟子に……」「ある人が私にお願いしたから」マリが言い終わる前にセラが答える「ある人?」「そうその人が『マリを強くしてください……私が災厄者になった以上私が稽古をつけることは出来ない』と」「そんな人いたかな……」「名前はまだ名乗るなと言われてるので」セラは立ち上がると家の中に戻っていった「リミア姉さん……ミリ……何処にいるんだろう……」マリはそんなことを思いながら家の中に入っていった。


「すー……んっ……」マリは日の明かりを浴び目が覚める「おはようー師匠……」とリビングに向かうとそこには誰もいなかった「師匠?」マリは家中を探し回るもセラの姿は見えなかった「うーん?まぁ……すぐ戻ってくるかな……」マリは気にせず一人修業を始めた。


1か月後 


「さすがに遅い……」マリは机に伸びながらセラを待っている「そういえば……前に一緒に行った街の人なら何かわかるかな?」そうマリは食材を買いに行くためにセラと一緒に近くの街に買い物を良く行っていたのだ「ふんふん♪」マリは何も知らず街の中に入っていく「ねぇ……聞いた?英雄の少女が倒されちゃったんですって」マリは歩みを止める「あぁ……戦争に巻き込まれたんだってな……」マリは眉間にしわを寄せながら男の胸ぐらをつかむ「私の師匠が死んだってそんな嘘2度と私の前で言わないで!」マリは思わず叫ぶ「なんだお前……俺が嘘をつくわけないだろ!俺だってあの少女に助けられたんだ!それに俺もうわさで聞いただけだ!」男は慌てて手を振るマリはぐっとこらえ手を放す「すみませんでした……」「お前が噂の英雄の少女の弟子マリか……ついてこい」と男と女が歩いていく。


そこでマリに聞かされたのはセラが災厄者マヤとラミの大戦争の仲裁に向かい爆発に巻きこまれ剣だけが落ちていたということだった「第一次ギルド大戦といったところか……」「そんな……何で1か月ほど前まで……」「1か月前だったかな……ラミさんと話していたことを俺は見たことあったんだ……その時は英雄の少女とは思わなかったが……その時に……」男は目を閉じる。


「わたしには時間がありません……助けてくれませんか?マヤ帝国に滅ぼされるわけにはいかないんです」「それで私に?ラミさんなら説得くらい……」ラミは下を向く「私が出てしまうと私が死んでしまったときラミ帝国は崩壊します……友達としてお願いしたいのです」セラは頷く「……分かりました私が何とかしましょう……そしてもしその時に私が死んでしまったら……これをお願いします」「分かりました……必ず渡します。それとリミアさんも隠れて情報を集めてくれています」「分かった」2人はその場を離れた。


「ってことをたまたま聞いたんだ」「ということはリミア姉さんは生きてる!?」マリは少し希望が持てた「ありがとうございます」マリは大きく頷き家を出ていった。


「なんだろ……広場で何かあったのかな?」マリは何やら皆が集まっているのを見つける「俺たちが英雄の少女を殺した!皆は俺たちに従うがいい!」マリは下を向くもこらえる「英雄の少女は私たちの命の恩人よ!死ぬわけないわ!」「これを視よ!」と髪のゴムを見せる「はっ!あれは……」そうセラが付けていたゴムにそっくりなのだ「もうここには英雄の少女はいない!今から俺たちがこの街を支配する!あの黒炎の少女はゴミな人間だった!人を助けることしかせずこの国を守るために戦ってくれなかった!そんな雑魚を英雄の少女と言っていいのか!」男たちは叫んでいる「へぇ……あいつら死にたいんだ」マリはゆっくりと噴水の前まで歩いていく「なんだお前は!?」と1人の男がマリの前に立つ「私はマリ……マリ・スカーレット英雄の少女の弟子でありリミア・スカーレットの妹」マリが黒炎を纏ったとたん全員がざわつく「おい……マリ・スカーレットって」「間違いない……村を壊滅させた一人の少女……黒炎の少女……」村の人たちが離れていく「お前ら!この雑魚に制裁を!」と男たちはマリに突っ込んでいく「遅い……」マリはその場から動かずに倒してしまった。


「何……!」とマリは一瞬でリーダーらしい男の喉元に木刀を押し当てる「私の師匠をバカにした罪を償って」と木刀に黒煙がまとわれる「いやだ……死にたくない!」男たちは逃げていく「はーい確保」と後ろから声が聞こえる「お前たちは……」「見つけましたよ……人殺し集団の皆さん」マリは木刀をのど元から離した途端騎士たちが男たちを取り押さえた。


「っち……」マリは男を睨みつけるとそのまま帰ろうとする「あなたがマリさんですね?」と話しかけられる「はい……何処の王女様かわかりませんが……なぜ私の名前を」「ふふっ……それは馬車の中でお話ししましょう。皆さん私とマリさんを2人きりにしなさい」とマリは王女についていくと目の前には豪華な馬車が止まってあった「どうぞマリさん」「マリでいいです王女様」マリはため息をつきながら馬車に乗る「では私の事はラミとお呼び下さい」「ラミ様!このような得体のしれない者に名を語るなど……」と騎士が怯える「私がいいと言ったらいいのです。向かいなさい」と扉を閉めた。

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