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幼女とオオカミ男のお話  作者: 金剛陸奥
あくとⅠ  ちょっぴり怖くて意地悪なオオカミ男さん、お友達になりましょう
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ちゃぷたーⅢ  幼女、オオカミ男と接触



「黒板消しおっけー、ガラス拭きも終わったー、ほこりもなし、お花の水替えおっけー…よし、完ぺきだね!!」



お掃除当番の役目も無事終わらせて、今日の学校のお務めも無事に終了。…お昼食べてから授業うとうとしちゃったのは秘密である。


あとは博士のお家に行って用事済ませてセシルさんのお迎えを待つのみだね、と意気込んでいると、外からゴロゴロという何かのうめき声のような音がしたと思ったら、お腹に響くくらいのとっても大きな音を立ててピカっと光った。どこかに雷が落ちたんだ。



「は、はうううう!!! …あうう…」



こ、こわいよう。ぴ、ピカって。ピカって光ったああ。思わずだんご虫みたいにその場にうずくまって雷がましになるのを待つけど、わたしの願いは一切届かなかった。涙がちょちょ切れそうになるのを我慢して、勢いよく立ちあがる。


博士のお家は小学校のお隣だもん! 走っていけばへっちゃらだもん!! すぐだもん!!


そう再び意気込むと、またピカっと光ってどこかに雷が落ちた音がした。









「は、はうう…」



わたしの願いがちょっとだけ通じたのか、外に出てから雨は激しくなったけど雷は鳴らなくなった。でもやっぱり怖いので、転ばないように早歩きで博士のお家に向かう。あとちょっとだ! と思って下を向いていた目線をあげると、雨でぼやけてよく見えないけど、向こうに黒くておっきい影がゆらゆらと動いていた。


な、なんだろ。雨でよく見えないや…。


もうちょっと近づいてみようかと思ったけど、黒くて大きな影はどこかに行ってしまった。…何だったんだろう。


ゴロゴロと音がしだしたので、わたしは止めていた足を急いで動かして博士のお家に向かった。









「へい、いらっしゃ…あ、まーやちゃん。今から小学校に迎えに行こうと思ってたとこなのに。よく一人で来れたな、こんな雷の中」

「だ、だつやざん…! 怖かったよおお」



わたしを出迎えてくれたのはこの辺で一番大きなペットショップの店長さんの伊達達也だてたつやさん。お父さんの元生徒さんで、小さいころからお世話になってるお兄さん。博士の一人息子さんなの。動物が大好きで、よくわたしを動物園にも連れてってくれるんだ。



「おーよしよし。頑張った頑張った。けど、大丈夫だったか? 今この辺りも物騒だからなあ」

「オオカミのこと?」

「そーそー。まーやちゃんなんかちっこいから丸呑みされちまうぞお」

「ち、ちっこい…。これでも2cm伸びたんだよう」



これ以上身長のことでからかわれたくないので、博士が何処にいるか聞いてみると、どうやら博士は今立て込んでいて出てこれないらしい。邪魔をしては悪いのでお父さんから頼まれていた書類は達也さんに預かってもらうことにした。









セシルさんを待っている間、雷はどんどん激しくなってきて、そのせいかペットショップにお客さんが来ることは無かった。雷がどこかで落ちるたびに大げさにびくつくわたしを気遣って、達也さんは美味しい紅茶をわざわざ淹れてくれた。


達也さんと一緒に紅茶とクッキーを楽しんでいると、突然店の外からたくさんの大きな声とキャインキャインと痛々しい鳴き声が聞こえてきた。



「は、はう? 何だろ…」

「ティータイムにはあんまり穏やかじゃねーなあ」



頭をかきながら達也さんが立ちあがって、店の入り口の扉を軽く開いて外の光景を確認すると、達也さんは慌てた様子になった。どうしたんだろう。



「まーやちゃん、危ないから店の奥に居な。絶対にこっちに近づいちゃ駄目だぞ」

「え? は、はい!」



焦った顔をした達也さんの言うとおり、わたしはお店の奥から様子を見守っていると、達也さんが全開にした扉からたくさんのびしょ濡れの大人の人たちと一匹の…、



「…オオカミ?」









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