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AHEAD~再動したパーティは止まれない~  作者: あこね
第二章

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22/22

幕間 二本の理由


「イコってなんで二刀流なの?」


 マリアテールにそう聞かれたのは、タイラーとの打ち合いが一段落した時だった。


 王立学院は貴族も多く通うせいか、昼休みが少し長めに取られている。

 早々に昼食を済ませ、余った時間で体を動かすのが日課のイコルネは、天気がいい日に友人のタイラーを誘い、演習場で手合わせするのが恒例となっていた。

 そこへ最近、マリアテールが顔を出すようになった。

 外から観察していたり、時には打ち合いに混ざったりと気まぐれではあるが、自分たちと過ごすのが楽しいようで、昼休みは一緒にいることが増えていた。


 演習場の木陰に腰を下ろすイコルネへ、首を傾けたマリアテールが尋ねてくる。


「長剣ってさ、両手で振った方が力を込めやすいじゃない? 攻撃を受ける時も、一本を両手で持った方が耐えやすそうだし。……イコの動きって、どこまでも無駄がないっていうか、すごく合理的な感じがするのに、なんで二本使うのかなって?」


 彼女の視線は、イコルネの傍らに揃って置かれた二本の黒刀へ注がれている。

 イコルネは愛刀の柄を何気なく触りながら、こちらを見下ろすマリアテールへ視線を向けた。


「俺が使ってる刀は、力を込めて振る剣とは少し違くて……なんていうか、動きで斬るって感じなんだよ。両刃剣みたく刺したり叩いたり万能って訳じゃないけど、とにかく斬ることに特化してるから、速度で手数を増やす方が俺には合ってる。それに防御なら、正面から受け止めるんじゃなく、受け流して次の攻撃に繋げた方が動きの流れが途切れないだろ。片手で受けて、逆の刀で反撃。これが上手く繋がれば、大抵の敵には手こずらないから……って、なんだよ?」


 驚いたように瞬きを繰り返すマリアテールへ、イコルネは訝しげに眉を寄せる。

 彼女はこちらを見たまましばらく固まっていたが、唐突に吹き出した。


「ぷっ……あはは! ごめんごめん。イコがこんなにしっかり答えてくれると思わなくて」

「聞いたのはそっちだろ……」

「そうよね、ふふっ。イコは刀が好きなのね」

「……」


 イコルネはつい語りすぎてしまったことに後悔し、不貞腐れたようにドサリと寝転がる。

 頭の上では、いまだにくすくすと笑っているマリアテールが、平謝りを繰り返していた。


「でもさ、今のを聞いて思ったけど、刀を振ってる時のイコって兄さん並みに計算ずくなのね。次の動きがきちんと見えてるっていうか、戦闘の流れが全部把握できてるって感じ。動きに無駄がないのも納得だわ」


 フォローのつもりなのか、うんうんと頷きつつそんなことを言う彼女へ、隣に座っていたタイラーが苦笑の滲む声を挟んだ。


「こいつ、ただの刀馬鹿だぞ。戦闘に関しちゃ気持ち悪りぃくらい頭使ってんだろうが、二刀流やってんのは、刀いっぱい持ちたいだけだろ」

「え?」

「前に、腕がもう一本あれば三本持てんのにってボヤいてたんだよ。腕が二本だから二刀流なだけで、大好きな刀がいくらでも使えんなら、こいつ何本でも持ちてぇんだよ」

「なにそれ、あははっ! ほんとにただの刀好きなんだ!」


 堪えきれないというように大笑いするマリアテールと、意地の悪い顔で笑うタイラーに見下ろされ、イコルネは彼らへ背を向けるように寝返りを打つ。

 そのまま目を閉じて狸寝入りを決め込もうとしたものの、片手が無意識に愛刀の柄を触っていることに気づき、バツが悪そうに目を開けた。


「好きで悪いかよ……」

次回の投稿は、明後日8月29日(土)となります。

※明日は活動報告にて登場人物紹介②を投稿しますので、興味がある方は覗いてみてください。

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