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奇跡の胎動  作者: めい


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71/86

12-1

妊娠を喜べない発言があります。

読む際は注意してください。



妊娠の知らせを受けたのは、もう諦めかけていた頃だった。

何度も体外受精での胚移植を繰り返し、そのたびに陰性の結果を手に帰宅した日々。笑うことすら義務のように感じていた。


だからこそ、医師の口から「おめでとうございます」と告げられた瞬間、喜びより先に戸惑いが胸を満たした。


ところが、その喜びは長くは続かなかった。

妊娠三ヶ月の定期検診で受けた遺伝子検査の結果、医師は慎重な声で告げた。


「お子さんは、単為生殖によって受精しています」


意味がわからなかった。体外受精でもない。私の卵子だけで生命が芽生えた――そう説明されても、現実感はなかった。


その日、家に戻っても夫の顔を見ることができなかった。先に口を開いたのは彼だった。


「……正直に言ってくれ。浮気したんじゃないのか」


吐き捨てるような声に、膝の上で指が強く絡まる。

「そんなこと、してない」


でも彼は信じなかった。テレビやネットで騒がれる“単為生殖ベビー”のニュースを持ち出し、「そんな奇跡みたいなこと、信じられるか」と言った。


やがて彼は、単為生殖に反対する団体の集会に出入りするようになった。

その背中を、私は遠くから見つめることしかできなかった。

お腹の中で、微かな胎動が始まっていた。

その小さな鼓動だけが、私の唯一の味方だった。


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