7-1
美咲はある日から、なんとなく体調の変化を感じていた。
朝起きたときの微かなだるさや、これまでになかった眠気。
仕事中も、ふとした瞬間に胸がざわつき、いつも以上に疲れを感じる。
最初はただの疲れだと思い込もうとした。
「忙しいだけだよね、きっと」と自分に言い聞かせる。
でも、何日も続くその違和感に、不安が少しずつ膨らんでいった。
ある朝、鏡の前でふと自分の顔を見つめた。
いつもより肌がくすんで見え、目の下にはうっすらと影ができている。
「どうしてだろう……」
それからは、普段は気にしないはずの体の変化に敏感になった。
食欲の変化や、時折感じる吐き気のようなもの。
トイレの回数が増え、何かが確かに変わっている気がした。
そんな中、友人との会話で「もしかして妊娠かも?」と冗談交じりに言われた時、美咲の胸の奥がざわついた。
「私、妊娠なんて……ありえない」
しかし、心のどこかでその可能性を完全に否定できずにいた。
勇気を出して、薬局で妊娠検査薬を手に取ったのは、その数日後のことだった。
家に戻る途中、手にした小さな箱を握りしめながら、頭の中は不安と期待が入り混じる。
検査結果は、陽性。
初めて見る「妊娠しています」という文字に、心臓が強く鼓動を打った。
喜びが一気に込み上げると同時に、やはり恐怖も感じた。
「これは本当に起こったこと……?」
これまでのこと、周囲の状況、奇跡の子の話が頭をよぎる。
その夜、美咲は静かに目を閉じた。
新しい命の始まりに、喜びと不安が入り混じったまま。




