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わたし魔王の生まれ変わりなの、と幼馴染みは言った。  作者: 神代創
12章 村人Aは見世物になる
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1:牢屋にて その1

また1章分の連続アップです。きれぎれで申し訳ない~


これまでのあらすじ

掠われた第1王女ローネを追ってやって来たのはメディナ教の総本山、しかし、そこはかつての魔王の城だった! 街中に入ったものの、女神を侮辱したとして捕まってしまった!

「いやー、鮮やかな手並みだったな! 手も足も出んかったぞ!」

「教会を近くで見ることもなく、牢屋に直行とは情けない」


 勇者が豪快に笑い、魔王が俺を見てふんっとバカにして吐き捨てる。


「情けないのは魔王も同じだろ。勇者の鎧は出せねーし、魔法で一発とか、それ以前に襲われるのを察知できなかったのか?」

「無論、襲撃は察知しておったぞ」

「だったらどうして!?」

「よいか? ここは魔王城の地下にある牢だ」

「へ?」

「つまり、正面からは入りにくい魔王城だが、捕まればここに連れてこられるだろうとふんだのだ」

「まさかの計画的犯行?」

「ふふふ、ワレを敬うがよい!」

「いや、これ、今思い出したんだろ?」

「疑り深いヤツだな。勇者の鎧を呼び出せなかったのはなぜだと思う? ワレが封じたからだ。あそこで騒動を起こせば、本格的な戦いになるし、メディアに気づかれる可能性があるからな」

「魔王、おまえ、凄いヤツだったんだな」

「今頃気づいたか! 遅すぎるであろう! どれだけ長い付き合いだと――」

「いや、まだ1ヶ月もたってないぞ」

「……む? そうか。そうだな。ワレの悠久の時の流れからすれば1年も1ヶ月も大して変わらんがな」

「なんだか、馴染んでるからな、こいつとは」

「人間として過ごした時間のせいか……」


 勇者が豪快に笑って俺の背中をドン叩くと、魔王は俺をにらんで不思議そうな顔をする。


「どうした? 変な顔をして?」

「ファミ変な顔じゃないもん!」

「ファミじゃない。魔王だ魔王! なんで俺をにらむんだ?」

「いや、にらんだわけではない。妙な感じを受けてな。貴様のステータスを喝破してやろうとしたのだが……」

「勝手に覗き見するな! すてーたすってなんだ?」

「魂に刻まれた能力値だ。ワレの場合は『古き星辰の支配者。魔王』などと書かれておる。この勇者の場合は『貧乏貴族の次男。勇者』だな」

「なんか微妙な判定だな。で、俺は? なんかわかったのか?」

「いや、ただ村人Aと」

「見りゃわかることをわざわざ調べるなよ」

「うむ、確かにそうだが、あまりにもわざとらしい。だいたいAとはなんだ?」

「俺に訊いたってわからねーぞ」

「ううむ……。謎が増えたではないか」


 考え込む魔王にかまわず質問をぶつける。


「で、これからどうするんだ?」

「うむ。しばらく待て。ただ捕まえるだけではないはずだ。何かが起こるだろうな」

「何かってなんだ?」

「わからぬが、まあ、それほど時間もかからんだろう」

「それまで寝ておけ」


 魔王と勇者はそう言うと床に横になった。はた目ではファミとセイルが無防備に寝ているようにしか見えないわけだが。

 寝つきがいいのは昔からで、ふたりともすとんと落ちるように眠ってしまうのだ。


「まったく……。ガキか」


 落ちていたボロ切れをふたりに掛けてやる。


「ううん……ジェイくぅん……襲ってぇ……」

「襲わねーよ」

「ケチぃ……」


 ファミは寝言で俺に文句を言ってきた。器用なヤツだ。


「なぜ襲わぬ? 人間の男は虎視眈々と女を狙っているのではないのか?」


 本体は寝ているのに魔王はファミの口を動かせるようだ。器用なヤツだ。


「俺はおまえらを守ってやるって誓ったからな」

「ほう?」

「言っとくが、おまえらじゃないぞ? ファミとセイルだからな。何だよ、その顔は?」


 眉間に縦じわを寄せて俺を見つめる魔王の目に、なんとなく危険な光を感じて身を引く。ファミに迫られるのはともかく、魔王は遠慮したい。なんせ見たら発狂するらしいのだ。


「襲う気などないわっ!」

「そうか。それならいいけど、なんでそんな目で見るんだよ?」

「いや、昔同じことを誰かに言われたような記憶がフッと蘇ってな」

「オレもそうだ。誰かに言われた」


 勇者が寝ているセイルの口を借りて言う。おまえら器用だな。


「魔王と勇者を守ろうなんて思い上がりも甚だしいヤツがいたのか。女神じゃないなら神様ぐらいしか思いつかないな」

「神がそんなことを言うわけがなかろう。率先してワレを滅ぼしに来るわ」

「まあそうだろうなぁ。じゃあ、他に誰かいたのか?」

「それがわからぬのだ」

「年は取りたくないな」

「物忘れではない!」

「そうだな。何かがオレたちの記憶に隠蔽を施したってことだ」

「そんなこと出来るの神か女神しかいないんじゃないのか?」

「だと思うんだけどな……」

「しかし、神の気配がないのだ」


 勇者も魔王も困惑顔だ。


「しょうがねぇ。もう寝る!」


 勇者はすでに本体が寝ているというのに、そう宣言して黙ってしまった。


「封じられているのであれば、いずれは破れるかもしれんな。しかし、気になるのだ! これほどの封印であれば、圧倒的に強い術士か、あるいは考えられぬがワレが同意したとしか……」


 魔王のつぶやきはゆっくりと消えていった。


派遣勇者は帰りたい~異世界召喚が多すぎて、僕の仕事が減りません

https://ncode.syosetu.com/n2756gx/

こちらもよろしく! 今なら第1部完です!

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