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わたし魔王の生まれ変わりなの、と幼馴染みは言った。  作者: 神代創
7章 村人Aは婚姻の儀に乱入する
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3:教会殴り込み その3

 ローネが長剣で斬りかかってきた。

 うおっ、速い! マジでやらないと見破られるとはいえ、こんな真剣にやるか!?


「王女様に続け!」


 うわっ、《炎の鷹》が調子乗って攻撃してきた!

 俺は勇者の甲冑のおかげで頑丈だし、力も強いけど、技術なんかないんだよ!

 内心で叫びながら攻撃を腕を振って弾き返す。多分、外から見ていると、巨大な魔王がゴツい腕か触手を振るっているように見えるんだろうな。自分で見られないのはなんだか癪だ。

 しっかし、いつまでもこんな攻撃をさばききれるとは思えないし、ボロを出してしまっては元も子もない。

 そろそろ決着をつけないと。

 俺は合図にしていたセリフを吐く。


「終わりにしようか!」


 叫ぶと同時に、俺を取り囲んでいた連中が明らかにひるんだ。教会の奥にいるファミこと魔王が俺を変身させた……はずだ。なにせ俺には見えない。


「うおおおおおーっ!」


 全員気圧されて動けなくなった中、ローネが叫びを上げながら俺に向かって突っ込んできた。


「姫様っ!」

「殿下っ!」


 全員が視線をくぎ付けにされる中、俺は振り下ろされた剣を弾き飛ばし、ローネの腹に向かって腕を突き出した。

 その光景を目にした全員が悲鳴を上げた。

 魔王の腕がローネの腹を貫き、鮮血をまき散らし、純白のドレスが血まみれになっていた……はずだ。

 実際には俺が突き出した腕はローネの腹で止まり、隠し持っていた袋を握り潰した。ブシュッと中に詰めた液体が噴き出し、それがローネの純白のドレスが真っ赤に染めたのだ。

 これくらいはっきり見せてやらないと死ねないだろう。


「ロ、ローネ様っ! そんな……」


 ローネが動かなくなると、俺はもう片方の腕でその体を抱きかかえた。甲冑のせいで重さはまったく感じない。まあ、甲冑なくてもローネくらいは抱えられるけど。


「脆いな! 人間など脆い! 王女の亡骸は生け贄の儀式に使うのにもらっておくぞ。王族の血により、さらに強力な魔族を召喚するためにな。フハハハハッ!」


 俺は精一杯芝居がかったセリフを吐き、マントを翻した。多分、魔王が格好良く姿を見せてくれていると思う。なんせ、自分の姿なんだし。


「ローネ様! おおおおのれぇっ! 逃すかぁ!」


 兜のスリットから見えない刺客にへたり込んでいたデレクが叫ぶと、俺に向かって突っ込んできた。ステップしてかわそうとしたら、いきなり首を引っ張られた。


「あ、こら! マントをつかむな!」


 デレクがマントにつかみかかったのだ。引っ張るが引き剥がせない。

 と、なんか肩から首の辺りでズルズルッと何かがほどけるような音がした。

 マントを止めてあったヒモがほどけた? さっき引っかかった時に緩んだ?

 外見に変化はないはずだ。が、マントなしじゃ飛べない。颯爽と飛んで、入ってきたステンドグラスの穴から脱出するはずだったのに、甲冑じゃ飛べねぇんだよ。どうやって脱出する?

 俺は不審に思われないように周囲を見回した。

 入り口の扉付近にセイルがいた。手を掲げている。こっちだってことだろう。


「貴様らの中で死を望む者はどこにおる!?」


 叫ぶや、俺はローネを抱えて扉に向かって駆け出した。

 悲鳴が上がる。

 そりゃそうだ。結界で逃げられなくしていたので、来賓客は俺から一番離れたところにいるしかなかったわけで。そこに魔王が突っ込んできたら、こんなもんだろう。

 混乱というか錯乱して逃げ回る来賓の貴族たち。どこかでプッと吹き出す声が聞こえたが、多分抱えている死体が笑ったんだろう。まあ、おかしい光景ではある。

 結界は俺に効くかどうかわからないが、ここは魔王を信じるしかない。

 俺は真っ直ぐに教会の扉を駆け抜け、走り続けた。


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