3:教会殴り込み その2
ステンドグラスが弾け飛び、金属のフレームと色とりどりのガラス片が宙を舞う。
俺はその中をマントを広げて飛び、ニャオウがいた辺りに着地した。これで入れ替わり成功。
すでにファミこと魔王が俺に術をかけているはず。外から見れば魔王らしい外観になっている……はず。
「なんだ、こいつは!?」
「さっきとは段違いの魔力! まさか、こいつが本物の魔王なのか!?」
《炎の鷹》の連中が明らかにひるんでいる。デレクに至っては腰を抜かして倒れ、尻もちをついたまま逃げようと、ズルズルと後退している。
ローネと新郎、神官は俺の背後にいるはず。
「我が名は魔王ヴァルミドルグ」
後ろにいる神官がひっと息を飲む。
「ヴァ、ヴァルミドルグ!? 魔王が……蘇ったと? せ……1000年前の予言が……現実に!?」
ん? なんだ、予言って?
「魔王め、ここは神聖なるメディア様を奉る教会である! 世界を滅ぼさせぬ! 疾くいぬがよい!」
「我がメディアごときを恐れると?」
思いっきりドスを利かせて吼えながら振り返ると、神官は悲鳴を上げて腰を抜かした。その床に湯気が上がる。あ、こいつもうダメだな。
一応、ローネにも脅しを入れておかないと不自然だな。
「王女よ、魔王を討ったなどと吹聴しておるようだが、あれはただの地方司令官だ。あれで魔王討伐などと片腹痛いわ」
ローネが新郎を庇って前に出る。お、なかなか芝居が上手いじゃないか。
「殿下、ここは私に任せて、お逃げください」
「そ、そうか! そうする! ここは任せるぞ!」
おーい、いくら40のおっさんとはいえ、ちょっとは抵抗する素振りを見せろよ。
「覚悟はよいだろうな?」
「私は騎士だ。命などいつでも捨てる覚悟がある」
ローネは剣を抜き放った。婚姻の式とはいえ、騎士であるローネは帯剣していたわけだ。まあ、これも演出だけど。
その凛とした声のおかげか、デレクが《炎の鷹》に命令する。自分も動けよ。
「おおお王女を! ローネ様をお守りせよ!」
飛び出してきた《炎の鷹》をローネが制し、剣を掲げる。
「ここは私が。魔王を仕留められなかった責は私にある!」
「貴様が我を仕留めるだと? 面白い冗談だな。人間も1000年たてば少しは面白いことが言えるようになるのだな」
「軽口を叩いていられるのも今のうちだ!」
ローネは長剣を俺に向かって構える。さすがに堂々とした構えだ。純白の花嫁ドレスに剣。絵になるなぁ。
「ゆくぞ!」
ローネが長剣で斬りかかってきた。




