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わたし魔王の生まれ変わりなの、と幼馴染みは言った。  作者: 神代創
7章 村人Aは婚姻の儀に乱入する
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3:教会殴り込み その1

「ん?」


 ステンドグラスを粉砕して教会に乱入するつもりなんだが、なにかに引っ張られて体が前にいかない。

 誰かにマントを引っ張られてる? いや、見えないが、これはなにかに引っかかってるっぽい?

 マズい。このまま強引に動けばマントが脱げて、姿が見えてしまう。それ以上にこの後の本番でただの騎士姿のまま出番になってしまう。それはマズいというか、マヌケだ。

 かと言って、振り返って原因を探っていたら、一番いいタイミングを逃してしまう!

 まあ、他に方法はないんだけど。

 仕方なくゆっくり振り向こうとした時、教会の中から悲鳴とどよめきが上がった。

 動きを止めてステンドグラス越しに中を覗き込む。

 祭壇前の動きが慌ただしいけど、ステンドグラス越しじゃはっきり見えない。

 黒い煙みたいな物が見える。ぼんやりしてるけど、魔物のようだ。

 そして、高笑いが響き渡る。


「王女よ、我を倒したつもりだろうが、貴様などに倒されると思うたかにゃ!」


 あ……この声、ニャオウか。

 よくやった! このまま、俺が出るまで時間稼ぎしてくれよ。

 俺はこの隙に振り向いて、マントの確認をする。この甲冑を着て細かい動きをするのが面倒なんだよな。

 屈み込むにも腰が曲がらないし、腕を地面に降ろすにも一苦労。

 ようやく足元を確認すると、庇の石材に隙間が出来て、そこにマントの端が食い込んでいた。

 なんとか外して、改めて教会内部を伺う。


「ききき貴様、魔王かぁっ!?」

「愚か者めがっ!」


 ニャオウの一喝に教会が震えた。デレクが硬直して黙ってしまう。

 おお、あいつ結構迫力ある演技出来るんじゃん。外まで震動が伝わってきたぞ。


「……くっ! 貴様の来襲などお見通しだ! 《炎の鷹》よ!」

「おうっ!」


 デレクの虚勢を張りまくった声に応えて、《炎の鷹》の連中が駆け込んできた。逃げ惑う来賓客の悲鳴がなかなか必死でよろしい。

 来賓たちは出口に向かって走ったところで、見えない壁にぶつかって右往左往。予定どおり、魔王が結界を張ったな。ローネを殺すところをきちんと見てもらって、証人になってもらわないといけないからな。


「誰ひとりとして逃がさぬにゃ! ニャハハハハッ!」


 ニャオウ……って、緊迫した場面に相応しくないな、あいつ。

《炎の鷹》が武器を構えてニャオウを取り巻く。


「させるかよっ!」


《炎の鷹》のメンバーが斬りかかる。ニャオウの黒い霧のような体はそれをまったく受け付けない。どう見ても実体じゃないもんな。


「では魔法を食らえ! 焼き尽くせ、神聖炎獄!」


 上空から炎が振ってくるとニャオウの黒い霧を包み込む。が、まったく変化なし。


「くっ、バカな! では、これを! 神聖なる光輝!」


 魔法使いが杖を突きつけ、ニャオウに術を放つ。

 格好いいね。で、俺の出番はいつになったらくんだろう? なんかこのままじゃ終わりそうにないんだけど。


「どうだっ!」


 黒い影は消滅した。が、来賓たちはまだ逃げ出せない。


「ニャハハハハッ! これで我を倒したつもりかにゃ!?」


 ニャオウの間の抜けた叫び。

 お! 出番だ。ようし、行くぞ! 予定だと最初から俺が出るはずだったんだけど、ニャオウが前座としたらよかったんじゃないか。

 俺は今度こそステンドグラスに拳を叩きつけた。


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