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わたし魔王の生まれ変わりなの、と幼馴染みは言った。  作者: 神代創
6章 村人Aは王都を満喫する
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2:教会を下見 その2

 宿の豪華な食堂で豪華な朝食を食べ、豪華なトイレで踏ん張り、豪華な受付で豪華な地図をもらって、豪華なエントランスから出た。豪華すぎて居心地が悪い。


「ねえねえ、ジェイくん、今日はどうするのー?」

「ローネの結婚式は4日後。それまでどうする、ジェイト?」

「そうだなー」


 あんまり考えていなかったんだけど、式の行われる現場の下見には行かなけりゃいけないわけだし。


「よし、教会ってのを下見に行くか」

「ファミとジェイくんの結婚式会場だね!」

「ジェイトとボクの儀式の場」

「どっちでもないから!」

「ケチー!」

「しみったれ」

「う、ドケチだから、もう金なんか出さねえぞ!?」

「ジェイくん、愛してるよー!」

「ジェイト、愛は出すもの」

「ただのたかりだろ、おまえらは!」

「まったく……緊張感がないな。監視の目があちこちにあるってのに」

「ジェイくん、見られてる方が興奮するんだ~」

「ジェイト、ボクは見られてても大丈夫」

「パンツめくろうとするな!」

「あっちの見てる人に見せようとしたんだよねー、セイルちゃん」

「サービスしなくていいから!」

「あっちの看板の陰と屋根の上にも見たがってる人がいるよー」

「おまえのパンツを見たがってるわけでもないから!」

「ファミのおっぱいかな?」

「どっちでもないから!」


 歩きながら周囲を見ると、あちこちに監視しているらしい連中がいる。ふたりとも魔王と勇者の感覚で勘づいてるんだろうけど、状況を理解してるのかどうかはわからない。


「思ったよりも多いな」

「大人気だね、ジェイくん」

「あんなのにモテても嬉しくないなぁ」

「ジェイくんはファミだけでいいもんね」

「ジェイトはボクだけで充分」

「おっぱいの分足りないからファミも必要だと思うよ?」


 明らかにセイルのこめかみがピクッとひきつった。マズい。


「こら、ファミ。それはダメだぞ。足りないは禁句だ」

「ふぁい」

「胸が豊かでないとか胸がほっそりしているとか他に言いようがあるだろ」

「ジェイト、後で話がある」

「すまん。口が滑った」


 といういつもの茶番をしながら歩くと、教会に行き着いた。この街はどこから歩いても教会を避けることは出来ない構造なのだった。なんせど真ん中にあるんだから。

 とりあえず、教会に入る列があったから、そこに素直に並ぶ。


「一等地すぎるな」

「信者からぼったくって建てたな」


 セイルというか勇者が吐き捨てる。

 確かにでかい。どれくらいの金が必要なのか想像もつかない。おまけに教会のシンボルは金ピカだし、窓には色ガラスで女神の姿が描かれている。それが何枚も窓にはまっている。村暮らしの俺にとっては無駄無駄無駄のオンパレードだ。


「意外だな。魔王ならわかるけど勇者までメディーナ教を悪く言うのか」

「オレの頃からやり口は変わってないんだろ。これを見てりゃわかる」

「1000年前から同じってのはある意味凄いな」

「適当なこと言ってりゃ信者が金持ってきてくれるんだからな。こんな簡単な商売はないだろ。ところでジェイトよ」

「なんだ、改まって?」

「この胸のことを散々けなしてくれたな。いいか? この胸の素晴らしさをおまえにわからせてやる! ほら、さわってみろ!」

「わかったから! 今はマズい!」


 周囲の目が気になる。教会の前で胸をさわれだの大声で叫んでりゃ目を引かないわけがない。


「今だ! ほら!」

「こら! 強引に押し当てるな、馬鹿力! ん? ……微妙にあるな」

「どうだ! この胸の感触! オレが夢にまで――」

「ジェイト、ボクの胸を掴んでる? 責任について話す必要があると思う」


 急に入れ替わったセイルに無表情に責められる。理不尽極まりない。


「セイルちゃん、自分でジェイくんの手をつかんだくせにー。ダメだよー」

「チッ」

「今舌打ちした! おまえ、意識あったんだろ?」

「証明出来ないから無効」


 と、ちょうどいいところで教会に並ぶ列が動いた。


「ほら、後がつかえてるから入るぞ」


 残念そうなセイルの背中を押して、教会の大きな門をくぐる。


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