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わたし魔王の生まれ変わりなの、と幼馴染みは言った。  作者: 神代創
6章 村人Aは王都を満喫する
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2:教会を下見 その1

 なんだ?

 視界が真っ暗で、なにも見えない。確か寝てたから、ベッドの上のはずなんだが、またファミの胸で窒息したのか?

 いや、それにしては息苦しさがない。代わりに全身が痛くてだるい。手足も動かない。

 遠くにオレンジ色の光が揺れている。松明か?

 どこだ、ここは?

 松明の方で動きがある。が、見えない。明かりが揺れているだけだ。

 誰かが争っているような雰囲気だ。姿がはっきりしない。暗いからか? いや、視界がおかしいんだ。左目が見えてないし、右目も霞んでる。

 剣の音は聞こえない。拳でぶっ飛ばしたような音。グシャッと潰されたような音。

 誰かが走る足音。金属がガシャガシャと言う音。いら立たしげな唸り声。ガキンッと金属が断ち切られる音。こりゃあれだな。鍵が開かなくて剣で叩き斬った音だな。乱暴なヤツだ。

 誰かが入ってくると、騒々しい叫びを上げた。

 抱きしめられて、謝られているのか? 俺なんかやったっけ?

 全身が温かい。

 このまま死んでしまっても大丈夫なような、そんな温かさ……。

 抱きかかえられる感覚の後、意識は黒い闇に飲み込まれた――。


     ◇


 なにか夢を見ていたような気がするんだが、思い出せない。まあ、よくあることなんだが、大事な場面だったような気がする。

 が、体は温かい。というか、暑い。重い。

 何だと思ったら、上に乗っかっているファミとセイルのせいだった。せっかくふかふかの布団があるのに、なんで幼馴染みを布団にしなけりゃいけないんだ?


「ジェイくん……そこぉ……もっとぉ……」


 素っ裸のファミを持ち上げて寝かすと、隣のセイルも動かす。


「ジェイト……やっぱり胸欲しい……?」


 ふたりを起こさずにベッドから出ると、小声で呼びかける。


「さてと、食事の前にすますか。起きてんだろ、魔王&勇者?」


 寝ていたはずのふたりがむくっと上半身を起こして俺を見た。セイルの方が不機嫌そうな声を上げる。


「お笑い芸人のような呼び方はやめろ」

「魔王&勇者? いいんじゃね? どつき漫才したら受けると思うけど」

「突っ込んだら劇場どころか町が消えるぞ」

「それもそうか」


 苦笑していると、今度はファミが口を開いた。


「本体は起こさずともよいのか?」

「疲れてんだから起こさなくてもいいだろ」

「我らはよいのか?」

「精神だけなら疲れてねーんじゃね? それにそんなヤワな鍛え方してねーだろ?」

「まあ確かにな。しかし、起きれば貴様の話は伝わるぞ」

「それは別にいいよ。秘密にする気もないし」


 そう言うと、気になっていた本題に入る。


「で、魔王、何か分かったか? どうやったかはわからないけど、調べたんだろ?」

「ふむ、まあ、使い魔とニャオウから報告は受けたが、大したことはないぞ」

「ローネの話はどうだった?」

「あれはその通りだ。王妃と第2王女だったか、連中はローネが無事に帰ってきて慌てふためいておった。滑稽だったぞ」

「それは見てみたかったな」


 まだ見たこともないローネの義母と腹違いの妹の慌て様を考えて笑う。


「昨夜の襲撃は連中の差し金で間違いない。また刺客を放ってくるようだな。面倒なので、ニャオウに命じて屠るか? 簡単だぞ? 結界のひとつも張っておらん」

「それじゃローネを殺すことにならないしな。それにそのやり方じゃ魔王だ」

「我は魔王だからな」

「うん、知ってる。あ……それ行こうか」


 ふと思いついた案に思いを巡らせる。。

 勇者のセイルが俺を見て眉をひそめる。


「いや、ローネの殺し方を閃いたんだ。ちょっと下調べしないとな」

「貴様、今凄く悪い顔をしたぞ? 魔王並みだ」

「そうか? 面白いことを考えついただけなんだけど」

「それが邪悪なんだ」

「失敬な。もうよいか? なにかあったら呼べ。この娘に死なれては困るからな」

「わかった」


 魔王と勇者の意識が去ると、ふたりはコテンと突っ伏してしまった。こんな寝方すると疲れるよなと、ファミを抱えて横たえようとする。と、そこでファミの目が開いて、まん丸になる。


「……ふぁ? ジェイくん、ようやくファミを襲う気になったんですね!」

「は?」

「ファミ、襲われる気満々なのに、いつまでたっても襲ってくれないんだからー、待ちくたびれましたよー

「ジェイト、ボクも襲われる計画?」

「どっちも襲う予定はないが?」

「ええええーっ!? ここまでしておきながら、襲わないなんて、やっぱりジェイくんは不能なんだーっ!」

「やっぱりジェイトは不能」

「朝っぱらから女の子が下品なこと言うんじゃない!」


 ポンポンと頭を平手で叩くと、ファミはペロッと舌を出し、セイルはわずかに唇を動かす。笑っているんだとわかったのは初めて遊んでから3年くらいしてからだったっけ。

 そのセイルがぼそっと訊く。


「ジェイト、さっき悪巧みしてた?」

「ん? ああ、魔王からの報告な」

「ローネ、殺すの?」

「ああ、これ以上ないくらいしっかり殺すぞ」

「ファミね、ジェイくん撮られたくないけど、ローネちゃんも好きだよ?」

「ああ、分かってる。もったいないもんな」

「やっぱりジェイトは女好き」

「なんでそうなる!? あんなに部下のこと考えてる指揮官はもったいないだろ」

「ジェイくん、ボクニンジンだよねー」

「ファミル、それは朴念仁」


 セイルがファミに突っ込み、ファミは難しいことはわからないって顔でポケッとしていた。


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