1:王都到着 その4
宿はローネの部下が案内してくれた。
どうやら街中でも監視の目がついていたようだ。俺にはわからなかったが、魔王と勇者には筒抜けだったらしい。
俺たちが宿を探し始めたところで、どこからともなく現れて案内してくれたってワケだ。
「スゲーな。宿じゃなくて城だよ城!」
自分でも田舎者丸出しだと思うセリフだが、事実だから仕方がない。ドのつく田舎だからなぁ。
「ふわああああ~! お姫様みたい!」
「掃除が大変」
「はっ、こんなもの我が魔王城と比べれば硝子の玩具のようにもろいわ」
「確かに攻めるには容易い構造だ。まず正面がもろい」
ファミ以外、視点がどこかズレまくってる!
案内された部屋がまた凄くて、部屋が無駄に多いわトイレ・風呂がついてるわ
「お……落ち着かねぇ」
座ると沈み込むくらい柔らかいソファの端に腰を下ろして、周囲を見回す。
と、ファミの悲鳴が聞こえた。
「なんだなんだ!?」
慌てて駆けつけると、ファミは天蓋とかいう天井付きのベッドを前にして興奮していた。
「見て見て! ジェイくん、すっごい大きなベッド!」
ファミはベッドにダッシュしようとして、寸前で足を止めた。
「どうした、ファミ?」
「ベッド、襲ってこないよね、ジェイくん?」
この前の宿でダイビングしておでこを打ったのを思い出したのか、ファミは恐る恐るベッドをつつく。
「あれはファミがベッドを襲って反撃されたんだろ」
「ベッドのくせに生意気なんだよー!」
「どう見ても今回は大丈夫だろ」
「そっかな? じゃあ、ファミ行きまーす!」
ファミは助走をつけてベッドにダイビングした。
ばふっと鈍い音がして、ファミの姿が消える。
「……ジェイくん、ベッドに埋まったよ……」
「沼みたい」
セイルがベッドの端に寝転がると、真ん中に埋まるファミの方に転がり落ちていった。
「ジェイくんもおいでよー」
「ジェイト、気持ちいい」
幼馴染みふたりがおいでおいでする。
「たまにはいいか」
俺はベッドに転がった。体重で沈み込み、そのままふたりの方へ引き寄せられるように転がり落ちる。
「お? ホントに気持ちいいベッドだな」
「でも、ジェイくんの方が気持ちいい」
「ジェイトとこうするの久しぶり」
ふたりが頭を俺の胸に乗せてくる。
「はー、なんか疲れたな……」
「ジェイくん、お疲れ?」
「誰のせいだと……」
「じゃあねー、ファミが最近覚えた魔王の力を使って気持ちよくしてあげるね」
「魔王の力だと?」
「うん」
ファミが両手を突き出す。その手はいつの間にか触手になって、クネクネ動いている。
「ちょ、ちょっと待て! いつの間に!?」
「大丈夫だよ~。と~っても気持ちいいから」
なんか笑顔が邪悪に見えるのは気のせいか?
「いや、待て! どこに手を……いや触手を!」
「ここかな~?」
「いや、そこは……あっ!」
「ここ気持ちいい?」
「いや、そこは……そんなところに……ああっ!」
「もうちょっと下かな?」
「そ、そこはマズ……うあっ! はうっ!」
「あ、ここかぁ。じゃあ、念入りにしてあげるねー」
「うほっ! マズいって、そこは……」
「気持ちいいでしょ?」
「いや、だから……うおおおおっ! うほっ……やめんかい!」
脇腹やら足の裏やらヤバいところを触手で攻め続けられて一瞬気が遠くなりかけた。戻ってこられないところに行くかと思ったぞ。
拳骨を食らったファミは頭を押さえて俺を見上げている。
「はうう……」
「危うく逝ってしまうところだったぞ! ゼイゼイ……」
「だって、ジェイくんお疲れだから、マッサージしてあげたら元気出るかなって思って」
「違うところに元気が出るところだったわ!」
「あ! ホントだ!」
ファミが俺の股間を見て歓声を上げる。不覚にも少々反応してしまった。
「ジェイト、不能じゃなかった」
「セイルまでなんてこと言うんだ!?」
「心配だった。これで安心」
「何が安心なんだ?」
「ねー」
「うん」
「だから何が安心なんだよ!?」
「言わないもん」
「言わない」
声を合わせたふたりが申し合わせたように俺をベッドに押し倒す。
いつも以上に胸を密着させてくるふたりに挟まれながら、俺はすぐに眠りに落ちた。結構疲れていたのは事実だったようだ。ファミの怪しいマッサージも予想以上に効いていたのかもしれない。




