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2話「楓先輩と子猫と幼なじみ」

優斗は傘を畳んでいる時、チラッと店の看板を見た。


『ファミレス(という名のカフェ)』

※()の中身はかなり小さい文字で書いてます。


もはや、ちょっとした詐欺では無いかと思いながら、店に入っていった。

すると、知った顔がいた。


「優斗くん、いらっしゃい」


優斗に声をかけたのはここでバイトをしている、ひとつ上の先輩『下村(しもむら) (かえで)』だ。厨房の窓から、楓先輩の父親がこちらを見ている。


「優斗くん、雨宿り?」

「そうです。楓先輩は…バイト…ですか…」


ニコニコしていた楓先輩の顔は、暗く沈みこんだ。


「そうだよ…てか聞いてよ!私また振られちゃったんだけど!!!」


楓先輩は少し怒りを込めて叫んだ。人いなくて良かった。マジで思った。


ーー


優斗は窓側の席に案内されたが、何故か先輩と対面(ワンツーマン)にされた。なんで!?


「優斗くん、女の子見る時、最初どこ見る…」


かなり、真剣に先輩は聞いてきた。最初っからそれですか…


「先輩、俺は最初胸から見ます。でも俺は中身…」


優斗はハッキリと言った、その後慰めるために、あとを言おうとしたが、


「やっぱりそうなんだ!女の子は胸ないとダメなんだぁ!まな板は恋する資格すらないんだァ!まな板にも人権!!」


泣きじゃくる先輩をなだめようと頭を撫でていると、厨房からコチラを笑顔で見ている楓先輩の父親がいた。


(分かっているな?慰めないと〇すぞ?)


無言(笑顔)の圧力って怖い。


ーー


先輩をなだめている途中、外を見ると大粒の雨がふっていたが、天気は小雨程度になった。

先輩も泣き止んで「まな板でも頑張る」と言っていたので大丈夫だろう。

泣き止んだ先輩は、お客さんが入って来たので仕事に戻って行った。


「そろそろ帰るか」


優斗はそう思い、帰ろうと思ったが、


「優斗くん、いつもごめんね」


コーヒーを持った楓先輩の父親が、優斗の前に来た。


「まぁ、いつものことですから…」


優斗はそういうと、楓先輩の父親は微笑みながら、


「優斗くんがあの子と付き合ってくれたら、私は助か…」

「あ、全力でお断りさせて頂きます」


食い気味で優斗は、断った。


ーー


優斗は、「お代はいらんからさっさと帰れ」と楓先輩の父親に言われて、店から追い出された。

店からの帰り道、もうほとんど家であるマンションの前まで帰ってきた時、


「ミャー」


猫の声を聞いた。優斗は辺りを見渡すが猫の姿はない。

「猫?」


猫の声だが、子猫のような声だった。さらに、こんな雨の中だったので、猫の声を探すことにした。


「ミャー」


優斗は猫の声を頼りに探していたが、なかなか見つからない。だが確実に猫には近ずいている。


「ミャー」


猫の声を頼りに探すとダンボールを見つけた。さらに、猫の声のするダンボールは、蓋が開いており中には茶色の子猫が入っていた。


「やっぱり子猫……」


優斗は少しの驚きと怒りが込み上げてきた。


「ミャー」


すると子猫の声で、優斗は我に帰ってきた。そして、子猫をダンボールから出そうとした。

子猫はダンボールから出そうとすると暴れた。


「ダンボールごと…いや無理か…」


優斗は子猫が暴れるので、ダンボールごとすくい上げようとしたが、ダンボールは雨に打たれシナシナにふやけてしまっており、持ち上げることが出来ない状態だった。

優斗は、どうやって子猫を抱き上げるかと考えていると、今日拓真から返されたタオルを思い出し、カバンからタオルと取りだした。

タオルに包んで抱き上げると、子猫は安心したのか腕の中で鳴くのをやめてスヤスヤ寝だしてしまった。


「はぁ…」


安心した優斗もため息を着いてしまった。

寝てしまった子猫は少し冷たい、それに毛が濡れている。

優斗は子猫をお風呂に入れようと思い、家に帰ろうとした。が、


「ねぇ…」


後ろから袖をつままれた?


「優斗?」


後ろから懐かしいようで、寂しそうな声が聞こえた。

振り返ると、七瀬がいた。


「ねぇ、ついでに私の事も拾ってよ?」


七瀬は俺にボソッと呟いた。


ーー

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