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第3章 受験生 優子(1)

 最初の関所は通過したとのことで、そのまま、案内の先輩在校生に、寮に案内された。

 寮は4棟ある。

「今晩から、ここの寮、うちの生徒も使っているところに、泊まってもらいます。短い間だけど、一つ屋根の下での生活になります。

 ふだんの私たちの、寮での生活だけど、ワンルームタイプの個室だから、最悪、部屋から出なくても行動が完結するの。でもそれじゃあんまりってことで、毎日の朝食と週2回の夕食は、当番を決めて、棟毎に作るようにしてるの。もちろん希望しない人は辞退。

 それで、優子さんには、今晩と明日朝の朝食準備を手伝ってもらいます。私たち3人と、優子さんの4名で、今回は夕食10人分、朝食15人分」


 最初の関所で不合格だった受験生がいるらしく、受け持ちの先輩在校生は3人に増えたみたい。


「まずはお部屋に案内するね。個室になる前、4人部屋だった時代があってね、いくつか残しているの。そこを使ってね。このへやのこのスペース。ベッドにカーテンはついてる。シャワーと洗面所は部屋にあるから、ゆっくりしてね」

「30分後に調理を始めるから、また呼びに来ますね」


 部屋でくつろぐって言っても、荷物の整理とかやってたら、あっという間に30分。えっと、着る物はどうしたらいいんだっけ?わからないからこの制服のまま...かな。


「そろそろ料理のために集合してもらいますが、エプロンは持ってきてる?わ、かわいいねそれ」

「ありがとうございます」

「部屋着はもってこなかったの?」

「わからなくって、とりあえず制服のまま待ってました」

「いやだもう。みんなジャージとか着てるんだけど、持ってきてない?」

「持ってるので、急いで着替えます」


 キッチンにあつまったら、他の先輩在校生からも改めて「エプロンかわいい!」って言われた。ちょっとうれしいな。


 料理は小さい頃から、ママの手伝いをしていたから、慣れている。エプロンは私のお気に入り、実は自作だけど、そんなことは口にしない。


 あとは、言われるがままに、お手伝い。みんな手慣れている。


 寮生がばらばらにやってきて、あたしたちがつくった食事をうけとり、ある人は部屋に持って行き、ある人はロビーで食べる。食器洗いはそれぞれがやってくれるようだ。

 受験生がいると言うことで、あたしはできるだけ、今の寮生と顔を合わせないように、行動動線を配慮してくれた。


 その間、あたしも食事をした。担当在校生と一緒にテーブルを囲んで、他愛もない話をしながら。中学校の時の部活とか、お友達はどれくらいいたとか、初恋はいつだったかとか。

 いや、この会話も試験なのかな?ついつい 色々喋っちゃたけど。


 食事も、片付けも、終わった。


「この4人部屋、試験官の内2名が、一緒に泊まることになってるの。あとでまたくるから、よろしくね。寝る前に時間があったら、またお話ししようね」

「その間に、寝支度とか、シャワーとか、やっといてね。もしシャワーがいやだったら、この寮、大浴場もあるわよ。どうする?」

「…大浴場って...流石にね。シャワーを使います」

「それから、一人で寝れる?淋しくない?ホームシックにかかったりしてない?誰か添い寝してあげなくて大丈夫?」

「そんな、大丈夫です」


 添い寝ってなんなの。



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