終章:ダンジョンの終わり:試験官控え室
校舎内の別の教室で、校内放送が流されている。
「あの放送がながれているってことは、合格者がいるんですよね。今年は何人ですか?」
「その情報は非公開です。あなたたちには、試験を手伝って頂きましたが、最終評価には関与しないという立場ですから」
「でも、合格者がいないと放送流れないですよね、最低一人はいる?」
「放送は、合格者がいない年も流れました。校内には、試験に関与しなかった先生が多いのです。彼らにも偏見を与えないように」
「元男性というか、トランスというか、の受験生で、ダンジョンの入試前に落とすことって、あるんですか?」
「その辺はね、普通の入試と同じ。あんまり具体的な例はあげられないので、ボカして話すけど、数年前、35歳バツイチの男性が『この年で女子として生まれ変わった。昔高校中退したので、今、高校生からやりなおしたい』と言って受験してきてね」
「そんな方が、....同級生になるって?」
「面接はしたんだけど、ちょっとむりじゃないのってお断りしたかな」
「いろんな人が受けに来るのね....」
「....あのさぁ....」
「どうしたの?」
「あたしも、トランス女子だって、気付いてた?」
「....」
自分が生きてきた世界線が、すこしずつズレていたならば、女子校を受験したいと言いだしたかも知れない。受験したかも知れない。入学したかも知れない。どんなことが起こるのか。幸せになれたのだろうか。そんな空想を広げた経験がしばしばあった。
そんな思いを、そのまま落とし込んでみたのが、この小説です。そもそも小説を書くなど、経験がなかったことなので、小説の体をなしているかも自信なく。
小説の中に、「異なる世界線の自分」を投影した人物や言動は、結構多いと思っています。優しい目で読んでいただければうれしいです。
今回の小説はここで一旦完結とします。自分の脳内には、ストーリーとして完結しなかった断片がいくつか残っていますが、別の形でどこかで改めて披露できればと思っています。
ご意見ご感想いただければうれしいです。




