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犬上家と愉快なオトモタチ  作者: 黛ちまた
神成り様の武者修行

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20/20

自宅警備員ならぬ学校警備員から始めてみた

 志はある。だからといって気持ち悪いもんはキモいし、怖いのは変わらない。慣れてはきてる。人間ってつえー。あんなキモくて絶対無理!って思ってたものを見ても大丈夫になってきたんだから。


 父さんと母さんには全部話した。

 驚くかと思ったのに、二人ともそうか、と静かに受け止めてた。

 犬上家は神道を信仰している家だから、そのあたりを父さんは教えられて知ってたらしい。父さんから聞いた母さんも知ってた。なんでオレに教えてくれなかったのか聞いたら、おまえは神になるんだぞ、なんて言う親は普通なら頭がおかしい扱いだろう、と至極真っ当なことを言われた。

 確かにね。そしてそれを信じたらオレは皆から頭おかしい奴と思われるオチしかない。


 さて、いつものごとくハクジ頼りな悪霊退治。これもどうなのかなーと思ったけど、オレが強くなったらハクジがそばからいなくなるかも!?と思って、そのままにしてた。

 でもさー、やっぱりオレも強くなりたい! だって犬上家の氏神になるんだったら、電池以外の特技もほしい!


「なんかオレも必殺技ほしい!」

「必殺技て」

「発想が小五男子」


 昴とルカに笑われた。


「オレもルカみたいに呪文唱えたら祓える?」

「当然でしょ」


 またそんな、バカを見る目で……。

 普通の人が経文唱えても、悪霊とか祓えないと思うよ!?


「でもアンタの頭で覚えられるかしらねぇ、真言」

「さすがにバカにしすぎだろ! 泣くぞ!」


 ルカがこの前唱えてたアレは絶対無理だけどさ。アレ以外もあるって言ってたし!


『そなたは本当に愚かよな』

「ハクジまで酷い!」

『ほぼ神成りを果たしたそなたが、他の神や仏の真言を用いる必要なぞない』

「え? それって」

『だがそなたのような腰抜けが、悪霊らを前にして冷静に真言を唱えられるとも思えん』


 それは、ソウデスネ。

 慣れてきたって言っても、安全地帯から見てるからなんであって、対峙できるかって言われたらヒヨる自信あります。


『我を見ているだけなのが歯がゆいとは、毎度そなたが言うことだ。これまでは無理であったが、今のそなたなら出来ることもある』

「えっ! なになに!?」

『退魔を生業とする者がどうやって妖と戦うか分かるか?』


 退魔って聞くと、かの有名な安倍晴明が頭に浮かぶ。

 呪文とお札を使ってた記憶。


「お札とか使ってるイメージ」

『札そのものに力は込められてはおらぬ。用いる際に真言を唱えることで退魔の力が発動するのだ』


 へー、そういう仕組みなんだ。

 関心してたらハクジがため息を吐いた。


「悠里に期待するだけ無駄よ」

「えっ!? 今の会話、それ以外の意味あんの!?」


 ルカにズビシとデコピンを食らった。


「い、痛い……」


 思わずおでこに手を当てて屈んでしまう。


「このビビりに呪文やら札なんか持たせたって無駄よ。パニクって札を投げまくるだけに決まってるわ」

「そうだねぇ」


 ルカの言葉に賛同する昴。地味に酷い。レラちゃんまで頷いてる。

 っていうかここにオレの味方はいないのか。


「アンタ達、剣道部入んなさい」

「え?」

「え」


 達、と一括りにされたオレと昴。


「どうしてオレも?」

「アンタね、レラは神使じゃなく神なの。そのレラが契約関係なくアンタに寄り添うって言ってんのよ」

「あー……そういうことか」


 昴がオレとハクジを見る。

 そうか。このままいくと昴とレラちゃんもオレとハクジと同じ道を辿るのか。

 んで、それと剣道の繋がりが見えないんだけど?


「昴は今生じゃ無理だけど、悠里、アンタはその無駄に余ってる霊力を放出することで退魔が可能なのよ」

「ウッソ、マジで!?」


 無駄とか酷いこと言われたけどこの際そこはスルー。


「ただの木刀でも、ほぼ神成りをしているアンタが振ればそれなりの効果があんのよ」

「おぉー!」


 上がるわー!


「でも何で剣道?」

「必殺技、覚えたいんでしょ?」


 協議の結果、昴は春樹兄が通っていた道場に通うことになった。え、オレ? ハクジに才能がないと止められてしまった電池です。







 学校の中って、実は決まった場所しかいかないから、知らない場所多いんだよね。

 七不思議とかよく聞くけど、本当なのかなって疑ってた。眉唾なんじゃないのって斜に構えてた。興味ないから追求する気はない。わざわざ探さなくてもあふれまくってるんだから、そのお相手から始めたかった。

 いきなり難易度高めのは初心者に厳しい。レラちゃんのようにオレもちっこいオジから始めたかった!


「素直に怖いって言ったほうがいいと思うよ」

「心を読むの止めよう!?」


 なんでビビりのオレが七不思議なんかに関わることになったかと言えば、ルカに命じられたから……。

 いつものように屋上で昼飯を食べてたら、ふよふよと小さい品の良いおじいさんが飛んできて、ルカに言ったんだよね。


『邪なる魂が空なる箱に入った。護法の者よ、穢れを祓いたも』


 言うだけ言ってまたふよふよと飛んで去って行った。

 去っていくのを目で追ってたら、昴に「何が見えた? オレには光の玉に見えたけど」と聞かれた。


「品の良さそうなおじいさんが、空箱に邪なのが入ったから、ルカになんとかしてって言ってた」


 ルカがため息を吐く。


「まぁ、今のアンタならそこまで見聞きできても不思議じゃないわね」

『レラも見えたー。きれいなおじーさん、ルカちゃんにお願いしてた』


 ルカが見えて、レラちゃんが見える。となると当然ハクジも見えるし聞こえてただろう。問題はオレが見えるし聞こえるようになってるわけだけど……ほぼ神成りしてるってことだったから、そういうことだよなぁ。


『アンタも見えてたし聞こえてたんだから、一緒に行くわよ』

「えっ! オレも!?」

「これからは頑張るって誰かさんが言ってた気がする」

「昴、言い方が意地悪い」

「悠里は忘れっぽいから」


 それは否定しないけどさ。


「……さっきの、神様なんだろ? 神様が頼んでくるようなのをオレがなんとかできんの?」

「アンタは無理でもハクジなら可能よ」

「いや、それは分かってる。オレも少しは役立ちたいんだってば」


 「諦めたら?」とルカと昴が同時に同じ言葉を口にする。

 酷い!


「だってアンタ、未だに雑魚にビビってるじゃない」

「ビビるに決まってるだろ! キモいんだから!」


 前はビビって固まってるだけだったけど、今は少しは慣れてきた。

 人間は慣れる生き物!

 キモいけど、嫌だけど、電池だけで終わったらハクジを守れないし!

 そう、いくらハクジが最強の犬神だとしても、何があるか分からないし、オレだってハクジを守れるようになりたい!


 ……というやり取りがあっての、七不思議探索。

 って言っても七不思議全部回るわけじゃなくて、七不思議の一つに問題が起きたらしい。

 七不思議も学校によるんだろうけど、うちの学校の七不思議の一つに、理科室の開かずの箱ってのがある。

 どうやらその箱をどうにかしろってことらしい。


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