全力逃亡
さて、 一応精一杯の期待を込めて窓から外を覗く。 その車には『ank』と書かれている。『ank』とは、 日本全国にあり、 世界各国には76店舗もある、 大手食品メーカーだ。 なぜか立ち退きを勧めて来て、 新しい家は用意しています、と訪ねてくる謎会社だ。 ちなみに勧めてくる人は毎回違く、美人は訪ねて来ない。 なぜだろう? 俺くらいの童貞は美人局でもバッチコイなんだか……
車の中にいる美人と目が合う。 金髪にマッチした紫色の瞳がこちらを見つめ爛々と光る。
「美人って、 本当ですのぉ? 伸様ぁ?ねぇねぇ、答えて答えて答えてねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ!!!!!!!」
やっぱりこいつ苦手だ。 ほら、車の窓開いたと思ったらもう部屋の窓に張り付いてやがる。
俺の周りの人達……なんで俺の考えていることがわかるの……何度も思うけど、俺声出してないのに……
「あれ? 伸様? 何をしていますのぉ?」
俺は静かに反対側の窓を開け、ある装置を取り出す。 ブレスレット型の装置だ。 ある時に黒づくめの集団がファンクラブ作っても良いかと聞いて来て、その時落としていったものだ。 装置に怪奇文(誰かへの愛の綴り) が書かれているのはよくわからないが、 毎朝俺はコレに命(貞操)を救われている。 おっとみんなが来たようだ。 みんなは
「一緒に登校しよ!!!!!!」
と、叫びながらドアをみしみしさせているが、 気にせず窓から飛び降りる。
そう……このブレスレット……
ル○ンのようにワイヤーで飛べるのだ!!!
さぁ、 行くぜ! 最近は使い慣れて来て段々コレが楽しくなって来た。 そして目覚まし(?)としての大きな役割がある。
……包囲されてる。……家が。 ……『ank』と書かれた車に。
コレは捕まったらマジでヤバイ。 一度体験したが、 ワチャワチャし、 結局謎の施設に行った。 命(貞操)からがら脱出したが、 アレは二度と体験したくない。
そして、俺は校舎に着地する。
……ミッションコンプリート
でも、 あいつも怪しぃんだよなぁー。 聞けるかな? あいつアレでも副生徒会長だし。
「ねぇ、なんで僕以外の女のこと考えているの?
ーー消すよ?
なぜか頭上から声がした。
そこに居たのは親友で、俺は一言吐き出す。
「お前いつから居た?」
ーー消すよ
前、 母ちゃんにいわれました。びっくりしました。 冗談だったらしいです。 良かった。
ちなみに僕はまだ学生で、至らないところがあるかもしれません。暖かい目で読んで頂けると嬉しいです。 学生にしては、 妄想や性知識が行き過ぎているとクラスの人に言われますが、 ノーコメントで。