第65話 2人目の奴隷
そして枚数が3枚しかない。
多分ミイの分がないんだろうな。さてどうしようか。もしかしたらアオイが食べられないのかもしれない。とりあえず聞いてみるか。
「枚数が3枚しかないんだが」
「ミイに食べさせる分はありませんよ。だって奴隷ですから」
うわあ、キラキラした笑顔で酷いことをサラリと言ったな。さすがマイン。
しょうがないミイには昨日の残りで我慢してもらおう。
「あ、帰ってきましたね」
「ん、早かったな」
ミイが換金を終えてきたみたいだ。お金が入った袋を持って笑顔で部屋に入って来る。
「上手く換金出来たか?」
「はい、出来たです」
そうか、それは良かった。それで金貨何枚くらいになったんだろう?
「金貨40枚になったです」
「おお、それはすごいな」
そうそう貨幣の価値がようやく理解出来たんだよ。
貧富の差があるから平均収入では比べられないけど銀貨1枚が1千円くらいかな。だから金貨は10万円くらいだな。
つまりあの宝石だけで400万だ。思っている以上に高く売れたな。
この後4人でご飯を食べたのだがイラク焼きを挟んだパンが意外と美味しかった。今度自分で作ってみようかな。
さ、寝るか。
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今日も気持ちよくマインのダイビング・ニー・ドロップ(プロレス技の1種。この場合両膝を曲げて着地するものを指す)を避けて深い眠りから現実へと舞い戻った。
今日は奴隷を買いに行く日だからな。サッとアオイが作ってくれた料理を食べ市場に出かける。
今日の市場も朝だと言うのに随分と賑わっていた。他の店には寄らずに奴隷商にむかった。
「おや、昨日の魔術師様じゃないですか。何かお探しですか?」
昨日と同じ奴隷商人が訪ねてくる。もちろん答えは決まっている。
「月光族の娘を貰いに来た」
お金が入った袋を奴隷商人に投げる。
「それで足りるか?」
奴隷商人は袋の中の金貨の枚数を確認して大きく頷いた。
「確かに金貨30枚頂きました」
そう言って奴隷商人は奥へと入っていき1人の女の子を連れてきた。
紫の髪と黒い肌、絶壁、長い耳、そして腰まで伸びた紫色の髪を持った女の子。
その子を一言で表すと──ダークエルフだった。
結局ダークエルフとは一切話さずに宿に戻った。
「レンくん、その娘は誰ですか…」
おっと、いきなりアオイの視線が痛い。
とりあえずこの娘のステータスをどうぞ
名前|
種族|魔人(奴隷)
性別|女
年齢|14
スキル|死の覚悟 (空き) (空き) (空き)
装備|従属の首輪
この死の覚悟は死の恐怖がなくなりいつでも死ぬ事ができるようになるみたいだ。死を恐れないから脳のリミッターが何時でも外せるみたいだな。ただ無気力にもなるみたいだ、覚悟と言うよりは生きるのを諦めたと言った方が近い。それで戦えるのかな?
「新しい奴隷だよ。名前は無いな」
「ナイナちゃんですか」
は? 何ヲ言ッテイルンデスカマインサン。
一応鑑定しておこう。
名前|ナイナ
種族|魔人(奴隷)
性別|女
年齢|14
スキル|死の覚悟 (空き) (空き) (空き)
装備|従属の首輪
嘘だろ、あんな適当に人の名前が決まるのかよ。アオイはアオイでこの娘の目を見てフムフム言っているし。
「はあ、認めたくないがこの娘の名前がナイナに決まった」
「良かったですね…」
「良くはないけどな」
とりあえずナイナの髪でナイフか何かを作ろう。
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ナイナを買ってから3日ほど、工房(自室)に篭ってナイフや刀、片手剣などを作ってみたのだが3つほど問題点が見つかった。
1つ目、ナイナの髪がすぐ生えない
2つ目、魔法の込め方がわからない
3つ目、自室ではない工房が欲しい
特に3つ目が1番の問題点だ。ナイナの髪がすぐに伸びないのは仕方が無いからな。
2つ目が1番じゃないのかって?
まあまあ、最後まで聞きたまえ。
魔法の入れ方はわからないがメシア先生に聞けばいい。問題はその前のナイフ作りの方だ。
金属の塊を熱して上に髪の毛を置き、それを叩いて伸ばし、折り畳んでまた叩く。こうして髪の毛を鉄の塊の中に入れるのだけどこれが錬金術で出来なかったのだ。
だから金床と火炉が欲しい。しかしベッドの隣に炉や金床があって安心出来るほど鍛治師をやっていない。
なので作ってしまおう。
まず、土(魔法)で型を作り、それに火(魔法)で熱した鉄を流し込む。そしてゆっくりと冷やして完成。
何故錬金術を使わずにこんな面倒臭いことをするのかというと、錬金術でやると少し質が落ちるんだよ。あくまでサポートだからな。だから手作りするととても良い品質になる。
名称|伝説の炉
スキル|破壊不能
と、このように壊れない道具も作れちゃうわけです。限界を突破しているだけはあるな。
さて火炉(破壊不能)と金床(破壊不能)、ハンマー(市販品)、火(太陽)の準備が出来ました。
ナイナの髪はまだ半分ほど余っている。
さあ、属性付きの武器を作ろう。