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公爵令嬢は我が道を行く  作者: 月圭
第四章 子供の領分
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4/12 三人寄れば破壊兵器

 

 さて、ところ変わって現在、私は既に学院の中にいる。


 入学式? 終わったよ。滞りなく終わったよ。何か色々と大仰なことを言っていたような気もするし、とてもこびへつらわれたような気もするが滞りなさ過ぎて印象にも残っていない。ふかふかの椅子に座り新入生にもかかわらず王子とまとめて最上級に丁寧に扱われて学院の中では平等とかいう理念の形骸化が止まらなかったうえに学院長のハゲが大変眩しかった、それだけだ。


 ただし後で国王に現状報告はしておこうと思う。王子たちからもどうせ話がいっているだろうが、どうでもいいと流している中でそこはかとなく苛ついたものを感じたので虫の居所のよろしくない私は彼らの破滅を所望する。大丈夫、ちょっと学内の空気がクリーンになるだけだ。


 まあそんな些事はどうでもいい。


 この上入学の感動などあるはずもない。つまりすでに過ぎ去ったどうでもいい形式的行事などよりも、現状の方が私は全然どうでもよくないし、何なら大変遺憾である。


 ――説明しよう。

 私は拘束されている。しかし私をとらえるのは賊でもなく魔物でもなく兵士でもない。


 美少年である。


 私の右手を握って朗らかに笑うのは繊細ほんわか系美少年。

 私の左手をとって微笑むのは腹黒キラキラ属性美少年。

 ……私の背後でおんぶお化けと化しているのは、神々ミステリアス系美少年。

 そう、私は周囲を美少年に包囲され、かつ的確に拘束されているのである!


 ……何このカオス。何処の逆ハー? なんでこうなったし。


 眼福よ? 美少年は大変眼福であることは別に否定はしないし、美しいものを鑑賞するのは大好きだよ? 前世悪友に言われたもの。『貴方の顔面が美しいから許されるだけであって言動は変質者よ? 気持ち悪い』。ただのディスりだった。


 ともかく。


 美少年は確かに好きだけれども、確かに眼福だけれども。あれは鑑賞用だ。交流はあってもいいが拘束も過剰な接触も求めていないし言ってしまえばテレビの向こうにいるのを見ていれば満足なタイプだった。言動はあれだったかもしれないが私は平均的な性癖の持ち主だ。


 しかしこの現状。新しいタイプの拷問か? 嫌がらせか? とにかく私の精神を追い詰めに来ていると思われる。畜生効果覿面だよ! ぶん殴るぞ!

 そんな彼らは口々に言うのである。


「ねえシャロン、その人はだあれ? 僕にも紹介してくれないかな?」

「シャロン、貴方の交友関係は本当に広いのですね。ふふ、やはり楽しい人です、貴方は。……ねえ?」

「シャーロット、我は街を歩いてみたい! 一緒に行ってくれるのだろう? 今行こう! お前と一緒がいい!」


 ……もう一度言おう。

 何このカオス。なんでこうなったし。


 いや、原因は判っている。私の背後で何か妄言をほざいているおんぶお化けな美少年の所為である。全面的に奴が悪い。これが妄言を吐きまくり愚行を繰り返すせいで私の両隣にて手を取り微笑む美少年二名がどんどん空気を冷やしていることにこの馬鹿は馬鹿ゆえに気づいていないのである。


 さて、どこから説明したものか。……この馬鹿が馬鹿でなければ己で始末をつけさせたものを、……馬鹿だからな……。美少年二人を無駄に激高させて学校を吹き飛ばす未来しか見えない。


 ……。


 私は! 他人を! 振り回す側なのに! めんどくせー!











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