12.試合
新近衛騎士二人は広場を二つに分け先輩騎士全員と順番に闘った後、広場全体を使って試合をすることになった。
ウィルにマリーの方の試合を見ている余裕などほとんど無かった為に、そちらの勝敗の程は分からない。
ウィル自身に関して言うなら、当然とはいえ散々なものだった。
アルナには瞬殺され、ラザオルとアランには様子を見ながら完封され、どうにかオルパには魔法の相性のおかげで一本取れたというものである。
そして、新人同士の試合の番がやって来た。
「じゃあ、始めー」
「――フッ!」
アランが合図すると同時、マリーは容赦なく鋭い斬撃を打ち込んできた。
ウィルが防いだと思った時にはもう次の一撃が繰り出されている。
おまけにその一つ一つに体重が乗っていて重く、簡単には受け流せないと来ている。たちまちウィルは防戦一方に追い込まれることになった。
「……、っと」
「ちぃッ!」
凌ぎ続ける内、反射的に行っていたウィルの防御に思考が追いついてきた。
マリーの攻撃は一つ一つ威力が乗った強力なものだが、それを繰り出すには身体を最適な形で動かす必要がある。
それは同時に、攻撃の軌道が限定されてくることを意味していた。
攻め切れない焦りからか更に苛烈さを増すマリーの連撃に対し、ウィルの防御は次第に余裕を持ったものになっていく。
「――せい!」
「くッ!?」
剣を強く当て、連撃の流れを崩す。
後はできた隙に乗じて攻めるだけだった。
マリーの剣を弾き、首筋に自らの剣をピタリと添える。
「……ッ、参りました」
一瞬射殺すような目で睨まれた気がしたが、降参を告げたマリーはすぐ押し殺したような無表情になってしまったのではっきりとは分からない。
そこに自分への悪意というより追い詰められたような色を感じ、ウィルは困ったように眉を寄せた。
とりあえずここまでです。
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