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4話 ―晴視点―

 ***一ノ瀬晴視点***


 今日の朝から華は様子が違った。


 例えば、いつもはパンにイチゴジャムを塗って食べるのに、今日はマーガリンだった。

 イチゴジャムが無いだけでがっかりして食欲が無くなってしまうあの華が。

 マーガリンなんて食べられない!と叫び出すあの華が。


 それに、変化は行動だけではない。

 いつもは動きがゆっくりとしていて、少し危なっかしいところもあったのだが、今日は動きがかなりしっかりとしていた。なんというか、凛々しくなったように感じた。


 それに一番は言動である。

 いつもは華に、「俺の華たん」とか、「ずっと頬擦りしてたい」とか、「華たんがいなくなったら死んじゃう」とか、愛情をもって接しているのだが、やんわりと(というか鈍感なので気がついていないのだが)否定されてしまっていた。

 しかし、今日ははっきりと真っ向から否定したのである。しかも、普段は言わないような口調でしっかりと。一瞬、人格が変わってしまったのかと疑った。



 あまりに突然の出来事に混乱したので、ショックを受けたふりをして外でよく考えることにした。こういうときは歩きながら考えた方がいい案が浮かぶのである。


 なぜあんなに変わってしまったのだろうか。中学を卒業したからだろうか。いや、それだけの理由であんなに変われるわけがない。たぶん、何か華を変えてしまうような出来事があったのだろう。いえに帰ったらさりげなく聞き出して相談に乗ろう。…それにしても、天然な華もかわいいが、Sな華も魅力的だな…



 そんなことを考えながら歩いていると、肉屋の前で彼女を見つけた。



「そっかあ…もう中学生じゃなくて高校生だもんな。」


「そう!そうなの!今日からの私はちょっと違うよ。」



 そういってかわいらしくくるりと回った。これでスカートだったら下着が…いや、もっと可愛かっただろうに。

 それよりも肉屋の親父が鼻を伸ばして華を見つめているのが気にくわない。やつは危険だ。もういい年なのに華のことを狙っているのだ。

 ――――すると親父が華を撫でようと手を伸ばした。



「華たん…。」



 思わず声が出ていたらしい。親父は不服そうに手を引いた。ざまあwww



「晴お兄ちゃん。」



 華はかなり驚いていた。後ろにいたのに気がついていなかったのだろう。

 華は肉屋の親父に別れを告げてこちらに向かってきた。

 親父は笑顔で見送るが残念そうな眉が隠せていない。きっと心のなかでは俺を罵っているに違いない。ざまあwww(二回目)


 華と二人でならんで歩いていた。華の歩く速さが以前よりずっと速くなっていた。今までは自分が歩調を合わせてゆっくりと歩いていたのに、今は同じくらいだ。


 大人になった…ってことなのか…


 先ほど華は高校生になるから、と言っていた。本音ではないだろうが、それもあるのかも知れない。華はもう、小さい子どもではない。



「そっかぁ…華たんはもう高校生なのか…もう少ししたら16歳だね…。」


「え?うん、そうだよ。」



 16歳…結婚できる年齢だなと考える。

 俺と華は血は繋がっていない。全員養子だからだ。それは家族のなかで、華だけがまだ知らない。



「お兄ちゃん、いつでもフリーだからね。結婚もおーけーだよ。」



 華にはいつも言っているようなセリフだ。結婚までは言ったことが無かったが…



「おい彼女どうしたリア充。」



 …まさか彼女のことを言われるとは思わなかった。前付き合っていた彼女とは3ヶ月前に別れていた。妹のことを考えすぎて、彼女を好きになりきれなかった。彼女の方も俺に飽きていたようだし、ちょうど良かったのかもな…

 と、思っていた。



「……………。」



 妹として好きだった。

 周りの人間のことを常に気遣っているし、努力家で、手を抜いたりしない。自分の悩みは人に打ち明けず、辛くても、無理にでも明るくいようとする。健気で、笑顔が可愛くて…


 …妹として好きなだけで、彼女を放り出すほど常に考えているものだろうか?


 今、華に彼女のことを言われて、正直いって彼女がいなくてよかったと思ったくらいだ。


 華と結婚してもいいと言ったのも嘘ではない。彼女とは結婚までなんて一度も考えたことはない。


 そこでやっと気がついた。




 ――――俺は華が好きだ。




「彼女とはもうとっくに別れた。俺は華たん一筋にするって決めたんだ。…華たん、俺はどんな華たんでも好きだよ。」



 もう兄妹だからとかはどうでもよかった。好きが溢れる。止まらない。



「愛してる。」




 今までの華も、今日からの華も、どんな華もいとおしかった。華が抱えている悩みや不安は、どんなものだろうと、自分がすべて受け止めて解決してやりたい。華のすべての思考が自分に向けられればいいのに。華の、心も、身体も、全て自分のものにしてやりたい。


 ――――だから、



「ありがとう晴お兄ちゃん。私も晴お兄ちゃんのこと、大好きだよっ!」



 一瞬もしや、と思った。


 だが、ニュアンスや態度ですぐにわかった。これは男としての自分に言っているのではない。兄としての自分に言っているのだ。


 ――――だから、俺は兄として君に接していこう。君が望むのなら。





「あー…華たんの匂いhshs(はすはす)。」



 いつの間にか華に抱きついていたのでついでに嗅いだ。


 …すると物凄い勢いでひっぺがされて、強烈なアッパーを食らった。痛い。割れる。



 見ると、顔が真っ赤になっていて非常に可愛かったので、レア物がみれたということでよしとした。



 それにしても、華は本当に変わった。今までは自分に攻撃なんてしてこなかったし(運動神経のせいもある)、きつい物言いもしなかった。



 …なんか、嬉しいな…。



 彼女とは今までと違う関わり方ができそうで。今はただ彼女の変化を見守るだけでもいいかなと思えた。

 ……決して殴られて嬉しいとかそういう意味では……なくもない…かな。


晴がだんだんMに…


こんなに最初からパラメーターがMaxだとは筆者も思いませんでした。キャラって勝手に動くんですねぇ…w


ちなみにおじさんは7割ぐらい。

最初から好かれまくり。



彼女は晴の方からふりました。彼女の方は晴がかなり好きでしたので晴が勘違いしただけです。


ちなみに妹のことをバカにすると二度と話し掛けてもらえなくなるのは大学内では有名な話ですので、彼女はちゃんと気を付けてたようです。

……ふられましたが。

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