33話 妹を守れる兄になる
「……兄さん! 大丈夫ですか!? 怪我は!?」
帰路の途中、忍は立ち止まり、俺の身体を必死に調べ上げた。
「ああ、平気だ。大したことない」
だが、忍は納得がいかない様子で、拳を強く握り締めた。
「兄さん、どうしたらいいですか……? 私、王城さんと付き合いましょうか? そうすれば、兄さんにこれ以上手出しをさせないように……」
「ダメだ!」
俺が即座に否定すると、忍は驚いたように目を見開いた。
「どうしてですか!? 兄さんがこれ以上傷付くなんて……私、嫌です! 嫌ですよ!」
「大丈夫だ!」
俺は忍の肩を掴み、真っ直ぐに彼女の目を見た。
「あいつの力に屈して、お前が自分の気持ちを殺す必要なんてない。……俺がもっと強くなる。次は必ず、俺自身の手でお前を守れるようになるから」
忍の肩が、びくりと震えた。
俺の目を見て、彼女の頬が赤く染まっていく。
「……はい! 兄さん!」
その笑顔は、どこまでも健気で、俺の胸を温かくした。
——だが、その心の奥底で忍が何を考えているのか、俺は知る由もなかった。
(……はい、兄さん! 兄さんがそこまで私のことを守ろうとしてくれるなんて……本当に、本当に素敵です。だから、あの王城という男は、もう少しだけ生かしておいてあげましょうか? ……)
忍は俺の腕に寄り添い、幸せそうに目を細めた。
「今日はその分、添い寝を頑張りますね!」
「……お前、帰ったらもう寝る気かよ?」
「はい! 何があっても、兄さんの側からは離れませんから!」
忍は無邪気な子供のように笑い、俺の背中を押し始めた。




