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超巨大宇宙船が落ちて来てから十八年が経ちました:今日からあなたが艦長です!!  作者: なつのさんち
二〇四七年

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208/260

207:ランチタイムミーティング

 良光(よしみつ)によってボコボコにされた元探索者累計ポイントランキング二位、ダートン・リドリスはワープゲートをくぐって現れた医療用ヒューマノイドに右足を掴まれ、引き摺られてワープゲートを通された。

 別の医療用ヒューマノイドに促され、良光もワープゲートをくぐり、神州丸の医療施設へ向かう事に。


「事情はあえて聞かないけど、今後はないように」


「分かりました」


 英子(えいこ)から、代表して艦治が注意を受ける。

 その姿をルーエンスとマーリンが興味深そうに眺めている。


「あんた達も止めるのよ、分かった?」


 二人は敬礼にて答えた。


「はぁ……。

 今日からこの新しい教室で授業を受けてもらいます。井尻君と加見里(かみり)さん、じゃなくって井尻夫妻は、……ってか二人って名字あるの? ないよね?

 まぁいいや。両陛下が公務で登校出来ない日においても、他の四人は関係なくこの教室に来る事。

 良いわね?」


 六人が頷く。


「先生が担任ですかー?」


「そうよ。職員会議で決まったの」


 英子は元々艦治と良光、そして恵美がいたクラスの担任だった。

 艦治の登校を続けさせるにあたり、特別教室に隔離する事はすんなりと決まったが、誰が担任になるかで議論が白熱した。

 お近付きになりたいという下心を持って立候補する者、逆に面倒事からは距離を取りたいと思う者がいた中で、最終的には校長の推薦という形で英子を指名した。

 この裏には、博務(ひろむ)からの指示があった。英子は事前に聞いていた為、その指名を受け入れた。


「担任って言ってもこうして朝に顔出して、何かあったら話をするくらいのものだからねぇ。

 それにあんた達はあと半年で卒業でしょう? 大学進学も決まってるし、私としては気楽な身分だわ。

 さっきみたいな面倒事さえなければね」


 英子がそう話している間に、ワープゲート経由で良光が戻って来た。


「どうだった?」


「指と甲と手首が折れてました」


「そう、すぐに治って良かったわね。早く座りなさい」


 良光が艦治の席の横を通る際、艦治が右手を開いて掲げた。


パンッ!


 良光も右手を開いて艦治の右手を叩いた。


「……今のでまた折れてないでしょうね?」



キーンコーンカーンコーン♪



 午前中の授業を終えて、現在は昼休み。

 この特別教室から出ないで良いように、奥に休憩室が用意されている。その他、男女別のトイレと、何故かシャワールームと更衣室まで備わっている。


 しかし、学校がここまで用意したからといって、何も使わなければならない訳ではない。

 休憩室からワープゲートをくぐり、皆は鳳翔(ほうしょう)の湖畔にあるコテージに移動した。

 家事ヒューマノイドが用意したランチを囲む。

 ちなみに、ルーエンスとマーリンは食事休憩の為、与えられた鳳翔内の自宅へと移動している。

 ダートンは未だ治療中だ。


「ダートン、眼球破裂して前歯も全部取れてたって」


「まなみちゃん、食事中なんだけど……」


 望海が嫌そうに顔をしかめる。


「でも一切抵抗しなかったね。彼なりに反省してるって事なのかな?」


 亘はそう予想したが、実際はまなみがマーリン経由でダートンに電脳通話で指示したからだ。抵抗どころかガードすら認めなかった。

 しかし、呻き声一つ出さなかったのは、ダートンなりのけじめのつもりかも知れない。


≪ダートンって苦痛耐性スキル持ってたりする?≫


≪ございます。無効化致しましょうか?≫


≪いや、いいや≫


 艦治がナギに確認している間に、何故ダートンを全身整形させてまで護衛として採用したのかという話題へと移っている。


「そっかー、確かにアレだったら盾にしてもあんまり罪悪感ないかもねー」


「ナギがいるから万が一の話だけど、それでもかんちは実際に腕が飛んじゃった訳だしね」


 まなみと恵美の会話を聞いて、なら余計に身近に置かない方が良いのではと思う亘だが、あえて言う事ではないと思い直して飲み込んだ。


「ふふっ、もうかんちを置いて逃げるなんて出来ない身体になってるよ」


 以前の無表情だったまなみからは考えられないほどの凄みを感じさせる笑顔だが、内容が内容だけに、皆は何と返して良いのか分からないでいる。


「えっと、大日本皇国の領土についての話なんだけど」


 亘が何とか話題を変えようと、先日ナギが出演した報道番組での内容について言及した。


「現在の地球上の領土が限られているって話だったけどさ、今後拡大するつもりとかあったりするのかな?」


 大日本皇国はラスプチニスタンと事実上の戦争を行い、勝利している。多少強引な手段を取れば、ラスプチニスタンの領土を占有する事も不可能ではない。


「特に何も考えてないんだよね。いずれは国民を増やしていかないとって話はしてるんだけど、当分は住むところを用意出来るから」


 大日本皇国の国民として認められたルーエンスとマーリンだが、先ほど述べたように鳳翔内に住居が与えられている。

 数百万人規模の人口になるまでは、その方法で対応可能ではある。


「どうせならさ、海の真ん中に大きい島でも作ったらどうかな?

 ほら、海鷹島(かいようとう)みたいな感じでさ」


 海鷹島は、艦治の別荘を建てるべく、ただの岩礁だった島をナギが成型して作ったほぼ人工島だ。


「どうせだったら簡単に近付けない場所が良いと思うよー」


「少なくとも船で来られないところが良いかもね」


 恵美と望海の言葉を受けて、良光がある場所を思い浮かべた。


「ナギ、ポイント・ネモはどうだ?」


「よろしいかと」


 艦治の肩に座っていた、妖精ナギが答える。


「ポイント・ネモって?」


「世界で一番陸地から離れた地点で、到達不能極と呼ばれています。場所はニュージーランドとチリのほぼ中間地点で、南太平洋上です。

 ニュージーランドとチリ、両方の陸地から約二七〇〇キロ離れておりますので、簡単には近付けないかと」


 一見良さそうな場所であるが、大きな懸念点が存在する。


「でも南太平洋って人工衛星の墓場なんじゃなかったかい? ロケットの切り離したヤツやらも落としてるはずだし」


 亘の言葉に、ナギが問題ないと答える。


「現在、寿命を終えた人工衛星やスペースデブリにおいては、鳳翔によって回収・破棄を行っております。

 また、ロケットのブースターなどについても、国土に落ちるよりも前に対処する事が可能ですので、問題になり得ません」


 場所の有力候補は見つかった。

 後は実効支配するまでに、発覚しないよう気を付けるだけだ。

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