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超巨大宇宙船が落ちて来てから十八年が経ちました:今日からあなたが艦長です!!  作者: なつのさんち
二〇四七年

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206:久しぶりの登校

九月二十四日 火曜日

 週明けの火曜日。

 高校の校門前にて、良光(よしみつ)望海(のぞみ)がナギから与えられている黒いバンから降りた。


「おはよー」


「おはよう」


 一足先に到着していた恵美(えみ)(わたる)が二人に声を掛ける。

 この二人にも、同じように黒いバンが与えられており、それぞれの自宅まで無人運転で迎えに来るようになっている。


「何だあれは!?」

「鳥だ!」

「飛行機だ!!」

「スーパーm」

「空飛ぶ車だ!!」


 四人で校舎へ向かおうとしていると、辺りが騒がしくなった。


「どうせ艦治(かんじ)だろ」


 良光が振り返りもせずそう決め付ける。


「んー? 誰も乗ってないみたいだよー」


「着陸したと同時にワープゲートを使って移動したみたいね」


「最初から教室にワープしたらダメなのかい?」


「俺に聞くなよ」


 校門前に着陸したリムジンから、サングラスに黒服姿の男女が三名降りて、周辺を警戒する。

 そんな中、いつも通り高校の制服を着た艦治と、まなみが降りて来た。


「うわぁ、VIP待遇だー」


「VIP待遇じゃなくてVIPなんだよ」


「あ、ルーエンスさんとマーリンさんだよ」


「もう一人は誰だ? 見覚えのない顔だが……」


 思わぬ展開に、良光も振り返って状況を眺めている。


「おはよう」


「おはよー、みんなお揃いだね!」


 まなみが制服をアピールした事で、ようやくまなみが生身で登校している事に気付く四人。


(つかさ)じゃなくて良いの?」


「うん、もうそういうの関係ないからね」


 望海は、屈託ない笑顔を見せるまなみに何も言い返せなかった。


「それで、もう一人のSPは誰なんだ?」


「誰って事もないよ。外から見て護衛がいるって分かるようにしてるだけだから」


 話題が自分に向いているのを意識して、もう一人の黒服がサングラスを少し下げ、望海と恵美に向けてウインクをして見せた。

 電脳通話でルーエンスに怒られた黒服が、サングラスを戻して艦治の後ろに下がる。


「こんなラテン系の男、探索者にいたっけな……」


 良光がわざわざ艦治の後ろを歩く黒服の、さらに後ろを歩きながら観察する。


「肌の色は薄い褐色、やや癖のある茶髪に金色の瞳……」


「ヒューマノイドなんじゃない?」


「いや、歩き方がナギじゃない。こいつはキザったらしい歩き方だ」


「艦治に聞いたら良くないかい?」


「今は内緒だってさー」


 電脳通話でまなみに聞いた恵美が、小声で伝える。


「内緒って事はやっぱ俺らが会った事あるって事だ!!」


「声がでかいよ!!」



 艦治とまなみ、良光と望海、亘と恵美が用意された特別教室へ入る。この教室の窓は内側からしか見えないマジックミラー、その外側には防弾ガラスの二重窓となっており、室内は防音素材が貼られている。

 これはナギが指定した事ではなく、日本政府側が「こんだけ気を遣ってますよ」というアピールの為に用意したものだ。


「で、誰なんだい?」


「ちょっと待て、もう少し考えさせてくれ」


 今日から六人はこの教室で一緒に授業を受ける。最初は艦治とまなみのみ校長室登校を提示されたのだが、艦治が拒否した結果、このような形に落ち着いた。

 ルーエンスとマーリン、そして話題のもう一人の黒服は教室後方で待機している。


「って言うか、空飛ぶ車の認可が下りたの?」


 望海がまなみに問い掛ける。日本国内において、空飛ぶ車に関する法整備は難しいと聞いていたので、気になったのだ。


「皇国国籍の空飛ぶ車は許可するように法整備したんだって」


 もちろん簡単に法律が改正された訳ではない。

 ナギが提供したテスト用空飛ぶ車を使って、富士の演習場で様々なテストが行われた結果だ。

 ムキになった担当検査官が基地の予算を使い過ぎてしまい、降格処分を食らってしまうほどしっかりとテストされている。


「皇国国籍って事はまだ世間には広まりそうにないねー」


 皇国国籍の車とは、全て艦治の所有物という事だ。艦治が認めた人物しか乗る事が出来ない。


「四人が乗ってるミニバンは飛べるけどね」


「……今はまだ良いかなぁ」


 望海の言葉を聞いて、他の三人も頷いてみせる。

 自動車登校をしている生徒もいるので、現時点ではさほど目立ってはいないが、今朝のように空からミニバンが現れれば、嫌でも注目を集めてしまう。


「ん゛ん゛っ」


バシンッ!!


 わざとらしく咳払いをした黒服が、ルーエンスに思い切り頭を叩かれた。自分の話題でなくなった事で、存在感をアピールする魂胆が見抜かれたからだ。


「……本当に見覚えがないんだよなぁ」


 悔しそうにそう零す良光。


「見覚えはないだろね。全身整形してるから」


 艦治はそう答えつつ、良光が会った事があったかなぁと振り返る。


「全身整形? ヒューマノイドの遠隔操作じゃなくって?」


「そうなんだよ。骨格から肌の色から髪の毛の色まで全部変えられるんだって。あいつ許してもらえたと思って調子に乗ってこうしたいあぁしたいってうるさかったんだから」


 望海とまなみの会話を聞いて、良光が黒服の正体に思い至った。


「お前、よくも艦治の傍に立ってられるなぁ!!」


 椅子を跳ね飛ばし、机に飛び乗って、良光が黒服に飛び掛かる。黒服は一切の抵抗を見せず、床に引き倒されて、馬乗りになった良光から殴り続けられる。


「おはよー。って何してんの!? コラ黒服! 今すぐ止めさせなさい!! 何の為に突っ立ってんのよ!!」


 ショートホームルームの為に特別教室に入って来た英子(えいこ)が怒鳴り、ようやくルーエンスとマーリンの手によって良光が止められる事となった。

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