命の重み
いい話だな~って作者が言うな!
「イヤーン」聞き覚えのある声が、気持ち悪いトーンで聞こえてきた。いやいや目を開けると、そこには白い狐が立っていた。俺は、思わずため息をついた。
雷尾「はぁー」
???「うーん、いいオ・スはっけーん!」
雷尾「何してるんですか?、火卯我さん」
火卯我「今日は、アリス。ウフン」
雷尾「情報屋たる者、自分の情報を掴ませべからずっだっけ?流石にメスキャラは、無理あるんじゃないですか?」
火卯我「うんもー。オスなら、綺麗な月ですね。くらい言えないわけ?」
くだらない話に付き合わされながら、生暖かいものを感じる。
これは・・・血?俺から出ているのか?この量はまずくないか?体を確認しようとしたら、ゴリラ族の形した魔物が頭が無い状態で転がっていた。
雷尾「・・・これは?」
火卯我「魔獣になれず魔落ちしたやつの末路だ」
雷尾「これが・・・魔落ち・・・か」
火卯我「まぁ、ウル坊は初めてだと思うが、慣れろ」
雷尾「・・・」
火卯我「少し待ってろ」
「狐火」呆然とする俺を置き去りにして、火卯我さんは魔法を使う。吐きそうになる気持ちを抑えて、ただ見ていた。
雷尾「なに・・・してるんですか?」
火卯我「ん?血止めだ。これ以上被害が出ないように遺体を燃やしたいんだが、ここだと火が移ってしまうから川の近くへ行くぞ。体は俺が持っていく、頭は任せたぞ」
雷尾「・・・マジですか」
火卯我「文句を言うな、助けた貸しはチャラにしてやるからよ」
雷尾「はぁ・・・分かりました」
無理やり立ち上がり、重たい体を引きずりながら川に向かう。痛みより吐き気が勝り道中吐きかけたが、昼間ギルスとの思いを支えにギリギリ耐える。感じる命の重み。まだかと焦る気持ちで痛みを無視して速度を上げようとする。
何とか川近くまで辿り着いた俺は早急に頭を離し、倒れこむように川に飛び込んだ。体に付いた血を洗い流したくて、口に残る嫌な味を消したくて。
慣れなければいけない。今後も必ず戦わなければいけない相手、その時は俺がやらなければいけない。ギルスや地竜にこんな思いを絶対にさせてはいけない。火卯我さんは遺体を燃やし始めたので川から上がる。目を逸らしてはいけない、いずれは俺がやらないといけない時が来たら失敗しないように。鼻に付く嫌な臭い、毛にしみ込む死の煙。燃え盛る遺体、この光景を目に焼き尽くしながらただ呆然と座っている。遺体はあっという間に灰となった。それを見た俺は酷い寂しさに襲われる。早く家族に、ギルスに会いたい!火卯我さんも親父に用事があるようなので、避難所へ案内をする。避難所に着くとみんなが出迎えてくれた。地竜は泣きながら抱き着いてきた。母さんには思いっきり怒られた。親父とギルスは俺を探しに行っているらしいから、待っていればそのうち帰ってくるだろう。親父に会うのが気まずく感じる。母さんがあそこまで怒っているということは、親父はさらにお怒りのはずだ。体を休ませながらしばらく待っていると、親父とその後ろにギルスが帰ってきた。
雷尾「お、親父、た、ただいまかな?」
ヴォルク「バカヤロ!何がただいまだ!なぜかってな事ぉ」
雷尾「うわ!ギ、ギルス!痛いって、いきなり飛びつくなって」
闇胡「うるさいこのバカ!どれだけ心配したと思っているんだ!」
雷尾「わ、分かったから。取りあえず上からどいてくれ、マジで痛いから」
闇胡「うるさい!」
雷尾「いててて、痛いって」
ヴォルク「・・・はぁ」
火卯我「ヴォルちゃーん、ちょっといいかい?大事な話しがあるんよ」
ヴォルク「火卯我か、分かった向こうで聞こうか。ウォルフィ、お前とは後で話す。覚悟しとけ」
雷尾「はい・・・」
親父と火卯我さんは奥へ話をしに行った。泣きじゃくりながら飛びついてきたギルスは落ち着いたせいか、今度は離れた場所で不機嫌そうに俺を睨む。
話し終えた親父は、全員パックに帰宅するように指示を出す。火卯我さんは、師匠に用事があるから行かないといけないらしい。みんなが先に帰る中、怪我をしている俺は歩く速度が遅いため後方にいる。話しがあるという親父は少し前を歩き、ギルスは俺の横に付きっきりで歩く。
ヴォルク「お前何をしたか分かるか?」
雷尾「・・・」
ヴォルク「お前は次期アルファだぞ。責任ある立場だ、お前がもし死んでしまったら群れが崩壊することだってあり得る。何よりも俺の大切な子供だ」
雷尾「・・・はい」
ヴォルク「お前はまだ子供だ、もっと大人を頼れ。それとも俺じゃ頼りないのか?」
雷尾「・・・いいえ」
ヴォルク「はぁー。とりあえず無事でよかった!説教も処罰も後にしてやる、今夜は反省室で寝ろ。しっかり考え反省し明日になったらゆっくり話そう」
雷尾「分かりました」
闇胡「・・・と、父さん」
ヴォルク「ん?どうしたギルス?」
闇胡「俺にも同じ処罰をくれませんか?」
雷尾「はぁ?お前は、関係ないだろ?やめとけ」
闇胡「うるさいぞ」
ヴォルク「何故同じ処罰を欲しがる?まさとは思うが、それで兄の負担を減らそうとしているわけじゃないだろうな?」
雷尾「・・・」
闇胡「いいえ、ただ・・・あの時自分がきちんと止めていれば。こんなことになってはいなかったと思うと・・・」
ヴォルク「なるほどな、お前なりに反省点があったっと。よかろう!」
雷尾「親父!」
ヴォルク「それにお前も受ければウォルフィに効き目がありそうだ」
闇胡「?」
雷尾「は?お、親父!」
ヴォルク「ハハハハ」
パックに帰って来た俺達は早速反省室に入った。そこは少し入り組んだ洞窟の小部屋で光が届きにくい。そのせいで朝でも暗くて少し寒いところだ。俺と
ギルスは離れて寝ることにしたが、ギルスが震えてる姿を見て考えが変わった。さっきの仕返しもかねて俺はギルスの上で寝ることにした。
闇胡「!?なにしてやがる!」
雷尾「寒いんだろ?温めてやるから大人しくしろ」
闇胡「バカ、離れろ!」
雷尾「もう無理だ、疲れたし、眠いし、体痛いしもう動きたくない」
闇胡「なっ!ヴゥゥゥゥ・・・・ッフン」
文句を言う割に離れようとはしないギルス、そんなこいつを愛おしく思う。温もりを感じながら知る命の大切さ、もしあの時死んでいたら分からずにいた大切な思い。生きていて良かったと心から思う。しばらくそうしているとギルスの震えが止まっていて、寝てしまっているようだ。その寝顔を見てつい「かわいい奴だ」と口に出してしまった。本当にかわいい寝顔なので仕方がないことだ。そのまま俺は前頭部をペロッと舐めてやった、すると「兄さん大好き」と
寝言が漏れる。思わず強めに抱きしめてしまった、相変わらず寝言が多い奴だ
。地竜と寝てるときに聞かれてるんじゃないのか?兄さん大好きか・・・そのセリフ起きている時に行って欲しいもんだぜ。いつかは、絶対に言わせてやるからな!
徹夜頑張った!みんなご褒美くれ!w




