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魔将軍はヴェル君です1

説明の長い回になってしまいました。

宜しくお願いします。

10/31行間と一部修正しました

11/23誤字修正しました。ご指摘ありがとうございました。

私はヴェル君の前に、朝作ったレモンパイを切り分けて置きました。甘いものは食べれるかな?と思いましたが目を輝かせると黙々と食べています。


食べながらニコニコしてますね。もしやスイーツ男子かな~うふふ。私も頂きましょう。うーん甘酸っぱくて美味しいです。


「ポカリ様という愛称ですが、アポカリウス様から気安く呼んで欲しいと言われましたので、呼ばせて頂いています」


「うん…父上、気に入ってるみたいだ」


アレで?分かりにくいな~


「……でだ、俺も愛称で呼んで欲しいのだが…」


ヴェル君の突然の懇願です。しかし…迷いませんよ。


「……ヴェル君ですね」


「愛称で…」


「ヴェル君」


「…………」


「ヴェル君です」


「……はい」


押し切りました。ヴェル君はもうヴェル君一択です。魔将軍とか恐ろしげな呼び名は似合いませんよ。誰がなんと言おうとヴェル君です!


「そういえば…ヴェル君はおいくつですか?」


ヴェル君に2個目のレモンパイを切り分けながら聞いてみました。うっかりしていましたね。どう見てもヴェル君は肉体年齢は私より年長者ですよ。ヴェル君が大人しい事をいいことに、まるで年下の男の子扱いをしていました。


「…22才だ」


4才もお兄様でした。大変失礼しました。そう告げるとヴェル君は穏やかに微笑みました。


「俺の方が世間知らずだ、カデちゃんの方がしっかりしている」


ちょっとー!


イキナリのカデちゃん呼びは破壊力あり過ぎですよっ!もしやヴェル君は天然の、あざと可愛いというキャラでしょうか。気を落ちつける為に何度も咳払いをしてしまいます。


ポカリ様にカデちゃん呼びされてもこんなに動揺しませんでしたよ?何故でしょう……


「ヴェル君、レモンパイを食べ終わったら少し休まれますか?本当はお風呂に入ってさっぱりして頂きたいのですが、まだ魔力供給が安定してませんしね〜無理は禁物です」


「はい……先生」


ヴェル君はふにゃと破顔しました。ひゃああ~あざと可愛い過ぎます~!


私は食べ終えたお皿を手早く片付けると、ヴェル君を客間に案内しました。


幸いにも一人暮らしには贅沢な作りな屋敷でして、お部屋は余っています。ヴェル君の腰に巻いていた防御力ゼロの私のマントを回収して、ヴェル君に腰に巻ける長さのタオルを渡しました。


ヴェル君の美ボディを視界に入れないようにベッドメイクをしていきます。


「眠れなくても、横になっているだけで疲れは取れますからね」


ヴェル君はコクコクと頷きます。ベッドに入るまでヴェル君の手を握っておきましょうか…


「安心してください、ここには私しかいません。防御魔法も完璧です。絶対何者もヴェル君を害しませんよ。少しお買い物に出て来ますね…すぐ戻りますからね」


ヴェル君は腕で顔を隠しました。まいったな…と小さく呟く声が聞こえます。


今は弱っているだけですよね。私は静かに部屋を出て行きました。


さて…急いでショルダーバッグを手に取ると、転移魔法で商店街の路地裏に移動します。まずは男性物の洋服店です。


店内に入ると先ほどヴェル君の美ボディを手測りした寸法を店員さんに伝えて、男性用の下着、トラウザーズ、色違いでシャツ、ジャケット全て3着づつ購入します。


本当は異世界の日本で着ていたルームウェアみたいな楽ちん部屋着が欲しいのですが贅沢は言えません。


いざとなったら自分で縫えばいいしね。裁縫も当然出来ますよ。我が転生人生に無駄なし!


購入した商品をショルダーバッグにツッコミます。このバッグ『ヨジゲンポッケ』という名の私の魔道具の一つです。ええ、日本で有名な猫型ロボのアイテムですね。


あちらは機械で現実化していますが、私の場合は魔法で開発しております。総容量は五トン、時間停止、重量無効化の魔法付与つきです。女性向けのショルダーバッグタイプは試作品で今の所、私しか持っていません。


いずれはユタカンテ商会で一般商品化を目指しています。次は靴屋さんです。


これまた三足お色違いを購入し、部屋履きも二足買いました。まだまだ買い物に回りますよ。


次は食料品店です。肉屋、野菜屋、酒屋、思いつく限りの食料品を買い漁ります。


当面必要なものは揃いましたね…今度はヴェル君と一緒に買いにくればいいですしね。ショルダーバッグを抱え直して本屋さんに行きます。


店頭に新聞も売っていますので世界情勢が詳しく載っている紙面の新聞を買いました、念のためにね。


「カデリーナ姫様?」


びっくりして飛び上がりそうになりました。


振り向いた所には私の実姉、ルヴィオリーナ王太子妃付のメイドのシエラがいました。


はい、ヴィオ姉様は母国からここ、カステカート王国のルーイドリヒト王太子殿下に嫁いでいらしてます。私がカステカート王国で一人暮らしをしていられるのは、ヴィオ姉様がいらっしゃるお蔭で許されている…というわけです。


姉様付のメイドのシエラは姉様と共にカステカート王国に来ております。シエラは時々ですが城下で会うこともあります。


本当に時々しか会わないのに…こんな時に限って会ってしまいましたね…


「姫様珍しいですね、外国の新聞…ですか?いつも経済新聞しか読まないのに…」


こんな時に限って目ざとい…シエラが紙面をチラリと見ました。


「ガンドレア帝国の戦記録ですか、えらく渋い内容の新聞ですね。でも今はガンドレアは、表向きは戦争は仕掛けて来てませんけどね」


おや、思わぬ方向シエラからガンドレア帝国の情報が頂けそうですよ。


「表向きって?」


「アレ?姫様ご存じないのですか?今はガンドレア帝国のラブランカ王女殿下とコスデスタ公国の第二公子殿下とのご成婚で戦闘行為は自粛されていますよ?」


あら!ご成婚ですか~それはお目出度い。


しかしシエラは少し周りを見渡して、スッと私に近づいて来て耳打ちしました。シエラ顔が怖いです…


「でもここだけの話ですが、今ガンドレアが国境沿いにあるエーマント地方に粉かけてきてるんですよ。あの地方、良質のバーモント鉱石の産地じゃないですか。その利権を分けろとか、なんとか…もっといやらしいのが魔将軍をけしかけて来るようなことちらつかせてるんですよっ!そりゃ…魔将軍は怖いけどお祝い事のある時にけしかけて来ることじゃないですよねー」


私は血の気が引きました。


「シエラ…それ、その魔将軍がけしかけられてるっていつ頃の話?」


「え?先週の話ですよ。宰相の事務次官補佐の知り合いに聞きましたし。何でも国境沿いに魔将軍がガンドレア軍を連れて来ていたみたいだし…魔将軍を見た辺境伯軍が騒いでましたし…おおっ怖っ!」


いやいや~ちょっと!ちょっと!


うちのヴェル君は家で寝込んでいますよ!


先週なんてとてもとてもエーマント地方なんて寒い地域に行ける体力ありませんって!


その魔将軍ってどこの誰ですかーー!?


ヴェル君の偽物登場!次回やっとヴェル君本領発揮かっ?

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