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魔将軍のご主人様になりました  作者: 浦 かすみ


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魔将軍と同居します2

やっとヴェル君の正体が判明です

10/31行間と誤字修正しました




 ショリショリショリ……(はさみ)を動かす音だけが部屋に響いております。


 ポカリ様が居なくなってヴェル君と二人の空間には静けさが訪れております。ポカリ様と違って本当に大人しいですねヴェル君は。


 ああそういえば……


「ヴェル君と勝手にお呼びしていましたが私ってば、自己紹介もまだでしたね。改めまして、カデリーナ=ロアストと申します」


 ヴェル君の後ろ髪を切り終え、前髪を切るためにヴェル君の正面に移動しました。


 ちなみに切り捨てた髪の毛は移動魔法でゴミ箱に捨ててます。便利ですね~魔法。我ながら後ろ髪は上手くカット出来ています。


 理容師の転生経験でもあれば、ツーブロックカットとか出来たかもしれませんね、惜しまれます。


「俺は……ヴェルヘイム=デッケルハインだ」


 え?家名はポカリ様とは違うのね~じゃなくてっ!ヴェルヘイム=デッケルハイン?え?うそ?


「ま……魔将軍?」


 ショキン……鋏があらぬ方向に進み、ヴェル君の前髪を斜めに切ってしまいました。


 ひぇぇ!?


 切れた前髪の隙間からヴェル君(魔将軍?)の瞳が私を見ています。その瞳は綺麗なコバルトブルーの色彩です。吸い込まれそうです。ヴェル君(魔将軍?)はソッと瞳を逸らしました。俯いた睫毛が長いですね、クルンとカーブしています。


「魔将軍か……そう呼ばれていたことも……ある」


 私は斜めになってしまった前髪を慌てて切り揃えました。いけないっ……先ほどヴェル君に何があったかは詮索しないといいつつ、触れてしまったようです。


 これは地雷でしょうか?踏んでしまいましたか私?


 なんとなく気まずくなり、無言のまま前髪を切り終えました。おお!すっきりしました。後は髭ですね。


「ヴェル君、髭も剃りますか?」


 ヴェル君はコクリと頷きました。まだ顔半分は髭に覆われていますが、流石ポカリ様のご子息、イケメンの気配をビシバシ感じます。(おもに顔面から)


 しかしあの魔将軍が、ポカリ様のご子息でイケメン(仮)のヴェル君だとはまったく予想もしておりませんでした。


 魔将軍、ヴェルヘイム=デッケルハイン。


 ガンドレア帝国の帝国軍第二将軍閣下。戦場で剣を一振りすれば多くの軍勢を消し去るといわれています。一騎当千どころか一騎当万、冷酷で非情、彼が駆け抜けた後には屍の山が積みあがると言われていて、魔将軍の呼び名のごとく……正体は魔人だとか、魔神の生まれ変わりだとか噂されております。


 実際は魔神のご子息ですがね。当たらずとも遠からず……と言った所でしょうか。


 私はヴェル君を洗面所に連れていき、小さな小型ナイフと自作の石鹸を渡しました。因みにこの世界には安全カミソリはありません。


 なんとなくイケメンが出来上がる瞬間を見ておきたいので、ヴェル君の背後に立って髭を剃るヴェル君を見つめてしまいます。ヴェル君は石鹸を泡立てるとモジャモジャの髭につけ、器用に小型ナイフで髭を剃り落していきます。


 おお~!段々ご尊顔が見えてきましたよ!わくわく~


 顔についた石鹸を落とし、髭も剃り落としたヴェル君はタオルで顔を拭きながら柔らかく微笑みました。


「さっぱりした……ありがとう」


 ぎゃあぁぁ~イケメン光線が!親子揃って私の目を潰す気ですか!


 ヴェル君の全体の雰囲気はポカリ様に似ていますが、ポカリ様より目元が柔らかいですね。


 もしかして瞳の色はお母様譲りでしょうか?眼福です、ありがとうございました。


「では……さっぱりしたところでヴェル君、魔力凝りの治療を始めてもいいですか?」


 ヴェル君はうん、と小さく返事をしてくれました。大人しいな~魔将軍とイメージが重なりませんね。


 本当に同一人物でしょうか?本人がそう言っているから本当なのかもしれませんが。


「ヴェル君、座って治療しますか?それとも横になりますか?どちらでも大丈夫ですよ」


 とりあえずはソファーに座ったヴェル君の前に、某スポーツドリンクを模して作ったポカリ果実水をピッチャーごとドンと置き、まずは一杯勧めてから横顔を見詰めた。


 う~んヴェル君は横顔もイケメンですね。そういえば不細工になる角度ってあるのでしょうか?


「じゃあ……このままで」


「了解です、では始めますね~肩の辺りの魔力凝りから解しましょうか?失礼しますね~」


 なんだか、先ほどの髪のカットの影響を受けて美容師さん口調になってしまいます。


 ゆっくりとヴェル君の肩に手を置いて魔質を確認します。


 ほうほう、お客さん凝ってますねぇ~オヤ?こちらも痛いでしょう?この凝り。


 私の魔力に乗せながら、凝りを解していくイメージを頭に描いていきます。


「気分が悪くなったら教えて下さいね、急に滞っていた魔力が廻り出すと魔力酔いを起こすこともありますからね」


「分かった」


 ヴェル君の美ボディをサワサワと触りながら肩、腕、手首と手を滑らしていきます。


 ちなみに故意に触れてハアハアしている訳ではありませんよ?ちょっと必要なことなのです。


 一通り凝りを解し終わるとヴェル君を目視しました。うん、大分魔力が綺麗に流れ始めましたね。


 ヴェル君はポカリ果実水を飲みながらゆっくりと私を見上げました。


「先ほどから気になっていたのだが」


「はい、なんでしょう?」


「ポカリ様って父上の愛称かな?」


 気になるのはそこですかっもっと他にあるだろうっ!


いよいよヴェル君とカデちゃんの二人暮らしスタートです

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