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魔将軍のご主人様になりました  作者: 浦 かすみ


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20/47

魔将軍とお母様1

お母様登場です

たくさんのお気に入り登録ありがとうございます。

感謝であります

11/10改行修正しております。11/23誤字修正しています

ヴェル君に続いて私も自分の家に入り、急いで居間に行きました。ポカリ様はまたまた優雅にソファに腰かけお茶をゆったり飲んでおられます。


それは、そうと……え~とどちら様でしょう?見慣れない女性がお二人いらっしゃいます。


お一人はポカリ様と向かい合わせに座り、同じくお茶を飲まれていらっしゃいます。年の頃は20代くらい?で見事な銀髪で瞳は海碧色。スラリとして優しそうな目元のとてもお美しい方です。


ん?海碧色の瞳?


「母上……」


ひゃああ!?ヴェル君のお母様、オリアナ様ですかぁ!?20代にしか見えませんよ。スゴい美魔女ですね、眼福ですよ!


お母様は立ち上がると、


「ヴェル……ヴェル」


と、泣きながらヴェル君に歩み寄ります。ヴェル君はそんなお母様を優しく抱き寄せると


「ご無沙汰しております、母上…」


と震える声でご挨拶されています。


あぁ……感動の親子再会ですよぉぉ!私っ大年寄ですから涙腺が弱いのですよぉ〜


ポカリ様も優しく微笑みながら、妻と息子を見つめています。なんだかんだ言ってポカリ様って良い魔神なんですよねー


まあ、魔神に良いも悪いもありませんが……


「グスン……ズビッ……グスッ……」


盛大に泣き崩れていらっしゃる30代くらいの女性…忘れておりました。もう1人の女性はどなたでしょうか?私はササッとその女性に近づきました。多分、身なりや立ち姿で大体分かりますが念の為…


「失礼します。私、この家の主のカデリーナ=ロアストと申します」


その女性は深々と淑女の礼をされました。


「申し遅れました、私オリアナお嬢様にお仕えしております、ルラッテ=ネオリアムと申します。旦那様から詳細聞き及んでおります。この度はヴェルヘイム坊っちゃまを保護して頂いて誠にありがとうございました」


うわ……色々とツッコミどころ満載ですが…旦那様ですかぁ坊っちゃまですかぁ


「そうだわ、ヴェル。私に紹介して下さいな」


ヴェル君と抱き合ったまま、オリアナお母様はゆっくりと私の方を御覧になられました。


ちょっとヴェル君っ!


例の冷や水ぶっかけるような紹介の仕方はしないよね?まさかしないよね?


「こちらは、カデリーナ=ロクナ=シュテイントハラル王女殿下だ」


油断してたら別の方向から冷や水ぶっかけて来ますかーー!?コラーーッ!


オリアナお母様とルラッテさんは慌てて淑女の礼を取られました。


「ち、違いますっ。おやめ下さいませ!私はもう王位継承権は放棄しておりまして王族ではありません」


「でも、昨日ルヴィオリーナ王太子妃が妹御だと仰っておられた…」


コラー!ヴェル君!余計な事言わないっ、メッ!


オリアナお母様は、まぁぁぁ!と驚愕されると更に腰を低くされました。


「もうヴェル君!余計に皆様が混乱なさるじゃないですか!今はただのカデリーナなのですよ」


「そうだけど~継承権放棄は神殿から隠れる為だしね。実質はまだお姫様扱いでしょ?」


ちょっとー?また別の方向から来ますね……私はポカリ様をギロリと睨みました。


「神殿?コーデリナ神を奉る、あのナジャガル皇国の神殿のことか?」


女性二人とヴェル君の視線が一斉に私に注がれます。


もうっ…ポカリ様のバカっ!


「こら、口汚いよ~お姫様」


ちっ…また心を読んでる…こうなったら…説明しますか。私は一つ深呼吸をしました。


「皆様は神殿の巫女様の存在はご存知ですよね?巫女になる条件もご存じで?」


ヴェル君、オリアナ様、ルラッテさん皆様、頷かれています。


「建前上は癒しの力が使えること。貴賤は問わないとありますが…実際は違います。見事な特権階級のお嬢様方のみの構成です」


そう、誰もが知っている神殿の巫女。奇跡を起こす聖なる巫女。しかし実態は巫女になってお勤めを少ししてから上流階級のどこかへ嫁いでいく。本気で癒しの力を世界の民に使いたいなんて高尚な志の巫女なんて一人もいない。


「どこで聞きつけたのか…私にその神殿に入らないかと打診が来ました。しかも巫女姫様直々の打診でした。彼女は癒しの力を民の為に使っていらっしゃいますか?私にはとてもそうは思えません。寧ろ、王族や特権階級の方にしか施しをされていないように聞いてます。そんな方の所へ行って、私にも同じことをしろと打診の文面には書いていらっしゃいました」


私はヴェル君をおもわず見て、目を伏せました。


「私はそんな巫女にはなりたくありませんでした。その後、姫巫女様の申し出を断り続けているとお父様…国王陛下から…ナジャガル皇国の第二皇子からお前に縁談の打診があると言われました。私…その時まだ12歳ですのよ?しかも相手は35才です」


ヴェル君の顔が引きつりました。女性陣がヒッと悲鳴を上げられました。ええ…私も王族の横暴に嘆いた一人にございますよ。


「家族で話し合いました。明らかに私を神殿に取り込む為の縁談と言えると…お父様は私の年齢を盾に断りました。ところが今度はルヴィオリーナお姉様をと…言い出しました」


「そんなっ…ひどい」


オリアナ様が声を震わせました。私はオリアナ様に頷いてみせました。


「ルヴィオリーナお姉様は折しも、こちらのカステカート王国のルーイドリヒト王太子殿下とのご縁談が持ち込まれたばかりでした。お姉様は思い切って、ルーイドリヒト殿下に助けを求められたのです」


「殿下のことだから…すぐにすっ飛んで来てくれたのだろう?」


「なぜ分かるのです?ヴェル君」


「いや、なんとなく?」


なんでしょ?以前言っていた、お金では買えない価値の友情?とかのなせる業でしょうか?


「とにかく、すぐに来て頂けたルーイドリヒト殿下も交えて皆で今後の対策を練りました。そこで殿下が秘策を授けてくれたのです」


おもわず当時を思い出して笑みがこぼれます。本当に秘策でしたね…さすが腹黒王太子殿下。


「神殿からの誘いも断れて、尚且つナジャガルの第二皇子の縁談も断るには庶民になるしかない。身分違いを盾に二つとも断ってしまえ!と…」


「すごいっ」


思わず声を出し唸ったルラッテさんに微笑みつつ


「まさに秘策ですよね~」


と言いました。


「神殿の巫女も庶民は実質は入れません。第二皇子に嫁ぐのなんて庶民には無理です。私はなんとか逃げ切りました。そして翌年、ルヴィオリーナお姉様はカステカートへ無事嫁がれていきました。危険は去ったと思っていたのです…いたのですが…それから二年後…またナジャガルの第二皇子から縁談の打診がありました。今度は私のすぐ下の妹…当時11才のマディアリーナに…」


オリアナ様とルラッテさんは同時に


「幼女趣味ですわ、それ!」


と叫ばれました。


ええ、もうそれしか考えられませんね…本当寒気のする…


「ところがその縁談話の後、その第二皇子様が倒れられて、すぐ亡くなられてしまいましたの…」


正直助かった!の一言に尽きますよね。


滅多に祈りませんが、ナジャガルのコーデリア神殿に向かって手を合わせましたよ。神様っていますよね。


だって魔神だっているからね…


「そういう訳で一つ懸念材料が減りましたが、庶民になるにあたり私、事業を始めていまして…」


「ユタカンテ商会だな…」


ヴェル君に微笑んでから話を続けます。


「この事業が軌道に乗りまして、そろそろ別の展開を…と考えていた時にルーイドリヒト王太子殿下からカステカートに越して来ないか?と言われました。継承権放棄も父母どちらにも猛反対されていたのを、なんとか納得して頂けたのに今度は親元を離れる…とはと随分と泣かれました、ですが…ユタカンテ商会を通じて国の発展に尽力すること。事業で得た利益の一部は王家に納めること。家族の要請があれば国に帰ること。以上を条件に国を出る許可を頂きました。そして今に至る…という訳です」


私は話し終えるとぐるりと一同を見ました。するとヴェル君がソッと私に近づき頭を撫でてくれました。


は、恥ずかしいぃぃ…


「カデちゃんが何故一人暮らししてるのか…気になってたんだが…うん、よく耐えたな。頑張った。偉いぞ」


すると今度は、正面からオリアナ様がフワリと私を抱きしめてくれました。


「ホント偉いわね~すごいじゃないっいい子ねっ!ヨシヨシッ~」


オリアナ様は腕を優しく摩ってくれます。あ~泣けますよ~涙もろいのです。


号泣し始めたルラッテさんとグズグズと泣いていると突然、ポカリ様がこう言いました。


「嘔吐しそうだから、もう帰るね~」


もう少し空気読んでよ。ムードも何もあったもんじゃありませんね…

これでカデちゃんとヴェル君の過去が分かりましたね

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