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ぺんぎん・らいふ  作者: 朝野りょう
ぺんぎん・らいふ+(プラス)

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7.あの日(1)

「ねえ、キタミ」

「ん?」

「八坂さん、フレンド登録するかな?」

「さあ」

「フレンド登録しなかったら、今日こうして私とお茶したことも忘れてしまうのかな?」

「さあ」

 

 キタミの反応はそっけない。

 興味はないのか、黒沢のことに余計な口を挟まないということなのか。

 

 まあ、なるようにしかならないのだが。

 気になる。

 あの二人が今後どうなるのか、気になって気になって……。

 

 いまだペンギンの姿でキタミの腕に抱えられたまま揺れていると、キタミが立ち止った。

 そして振り返る。

 

「出てこい」

 

 誰に向かって言ってるのかとキタミの視線を辿ってみる。

 そこには、あの誘拐犯美少年が立っていた。

 こっそり私達の後を付けていたらしい。

 

 私達が喫茶店にいる間も待っていたのか。

 あれだけキタミ達に相手にされなかったのに粘るな。ある意味、頑張ってるよなと思う。

 もう少し、こちらの迷惑も考えてくれればいいのだが。ま、無理なことだ。

 

 こいつがいたから、キタミは私を同調解除してくれなかったのか。

 今日は意地悪だと思ってゴメンなさい。

 

「佐保はおまえのワニには同調しない。もうわかっているだろ」

「……」

 

 キタミは、美少年に言い聞かせるように告げた。

 ワニ?

 もしや少年の疑似体はワニだったのか?

 

 もしも同調していたらと思うとゾッとする。

 同調するだけなのだから何になろうと大差はないのだろうが、ワニは嫌だ。

 蛇みたいな爬虫類、昆虫も、嫌だ。駄目だ。気持ち悪い。

 

 よかった、相性のいい疑似体がペンギンで。

 いくら記憶力がよくなるといっても爬虫類や昆虫に同調してまで勉強しようとは思わない。

 いや、テストの点がよくなるのが確実だから……するかも、しれない。

 だがっ。

 だとしても率先して同調しようとは思わなかったに違いない。

 本当によかった。キタミの趣味がペンギンで。

 

「同調するには相性があるんだ。疑似体は同調相手を選ぶ。誰でもいいわけじゃない」

 

 キタミの言葉に、少年は唇を噛んだ。悔しそうな様子だ。

 少年にもそれはわかっているのか。

 しかし一向に帰ろうとしない所を見ると、諦められないらしい。

 少年にとってはワニの疑似体はカッコいいヤツで、どうしても同調して欲しい、と。

 だが、私は絶対に無理っ!

 

「高校から南へ行ったところにある公園に遊びにくるカラスなら、おまえのワニに興味を示すかもしれない」

 

 少年はハッと顔を上げた。

 ワニに興味を示すかもしれないカラスって、カラスさんのことでは……。


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