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ぺんぎん・らいふ  作者: 朝野りょう
ぺんぎん・らいふ+(プラス)

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6.みんなでお茶を(3)

「フレンド登録のお試しができるようになったんじゃなかったか?」

「断られた」

 

 即答する黒沢に、はあっとキタミは溜め息をついた。

 黒沢は一向に引こうとはしない。

 

 そろそろ昼休みが終わるのだが。

 二人の攻防に、早く終われば?と思っていると、黒沢が私へと視線を向けてきた。

 

「米田さん。放課後、アルトで悪魔チョコ・ケーキ、奢る。八坂さんも誘うから、一緒に行かないか?」

「えっ!」

 

 アルトの悪魔チョコ・ケーキ!

 思わず私の口から声が漏れていた。

 デビルチョコけーき。

 おおうぅっ。

 

 アルトは高校の近くにある小洒落た喫茶店だ。

 何という強力な誘惑カードを保持していたのか。

 

 さすがチョイモテ男子。

 押さえるべきところは、押さえているらしい。

 

「佐保、ケーキも好きなのか?」

 

 キタミは険呑な顔で私を見た。

 女子高生としては、ケーキに限らず当然スイーツは大好きだとも。

 

「うん。甘いものは、ね」

「そう……」

 

 決して隠していたわけではないのだよ、キタミ。

 ただ、言う機会がなかっただけで。

 

「じゃ、放課後、迎えに行くから」

「えっ? ちょっ」

 

 誰が行くと言った!

 黒沢――――。

 

 黒沢はそそくさと校舎の中へと戻っていった。

 言い逃げとは、卑怯な。

 

 そろそろ昼休みが終わるので、屋上にいた生徒達もみんな戻ろうとしている。

 私達もそうするべきなのだが。

 

「佐保、ケーキ、好きだったんだ」

「うん……まあ、ね」

 

 どうしてくれるんだよ、この暗い雰囲気は。

 せっかく一緒にお弁当食べて楽しいお昼休みになるはずだったのに。

 黒沢ぁぁぁぁっ。

 だから、彼女に振られるんだよ!

 

 と、黒沢をいくら罵倒したとしても、キタミとの雰囲気が元に戻るわけではない。

 私がうっかり黒沢の誘惑に反応を示してしまった事実は消えず。

 

「今度、キタミも一緒に食べに行こうよ? ケーキ、嫌い?」

「好きじゃない」

 

 あっそう。

 そうじゃないかと、思ってました―。

 生クリーム系は好きじゃなさそうなのだ。

 残念。

 

 なんだか刺々しい雰囲気で私達は校舎の中に戻った。

 

「じゃ」

 

 私を送った後、キタミは自分の教室へと戻っていった。

 また放課後って言わなかった。

 

 こういう雰囲気で別れるのははじめてだ。

 今日は一緒に帰らないのだろうか。

 

 キタミも私に腹を立てることくらいあるわけで。

 一緒に帰りたくないことだってあるだろう。

 放課後は一緒に帰ろうと自分が言えばよかったと気付いたのは、午後の授業が始まった後。

 時すでに遅し。

 

 授業が終わったらすぐにキタミの教室へ走ろう。

 黒沢のバカヤロー!

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