6.みんなでお茶を(2)
また、断られた……。
ということは、また八坂さんがフレンド登録を断わった、と。
仲良さそうに見えたのだが。
「米田さん、八坂さんにフレンド登録したら楽しいって言ってみてくれないか?」
「私が?」
「駄目に決まってるだろう。佐保にそんなことさせられない。八坂さんを説得できない黒沢が悪い。彼女は黒沢を忘れるわけじゃないだろ。何度も頼んで断るならフレンドになりたくないんだ。諦めろ」
キタミが黒沢にかける言葉は冷たかった。
黒沢はキタミほど他人から認識されない存在ではない。
その点はキタミもわかっていて、気にくわない点でもあるのだろう。
フレンド登録してなくても八坂さんは黒沢を忘れず、普通にクラスメイトをしている。
それでいいじゃないか。
私もそう思うので、フレンド登録する必要性は感じない。
黒沢もそんなに必死なわけでもなさそうに見える。
だから、彼女にフレンド登録を勧めるのは、正直言って気が進まない。
忘れにくい彼女でも、夏休み期間を挟んでしまうと忘れてしまうのかもしれないが。
「八坂は……ちょっと慎重なだけなんだ。フレンドになるのが嫌っていうのとは違う。フレンド登録は難しく考える必要なんてなくて、気楽なものだと経験者が言ってくれれば、」
経験者と言われても、フレンド登録が何かもよくわかっていない私だ。
キタミを忘れたくないためだけに登録したといっても過言ではない。
私が彼女に何が言えるというのか。
「諦めて他の人に頼めばいいだろ。黒沢は、昨日も駅で告白されたそうじゃないか」
黒沢、モテるな。
毎日一定距離で離れて見ていると忘れないらしい。
距離が近くなりやすい学校内、特に教室内では、さすがの黒沢も存在感が薄くスルーされやすいようだが。
それでもキタミとの差は大きい。
クラスメイトの認識度が違うのだから、キタミと違って黒沢のフレンド候補は何も八坂さんだけではないに違いないのだ。
「米田さん」
黒沢がじりっとにじり寄ってくる。
キタミはOKしそうにないから、私に訴える気らしい。
「八坂さんは黒沢を覚えてるんだから、フレンド登録しなくてもいいんじゃない?」
「フレンド登録しないと、他の奴にとられるかもしれないだろ!」
はい?
他の奴に取られる?
「もしかして、フレンド登録したら、他の人とフレンド登録できないの?」
「そりゃそうだろ。フレンドを共有するなんて冗談じゃない」
黒沢の嫌そうな口調が癇にさわる。
共有、とは。
まるで所有物のようではないか。
同じ意味であったとしても、言い方ってものがあるだろうに。
宇宙人に繊細な乙女心を理解せよとは無理難題だとは思う。
だが。
だから断られるんだよ、黒沢。




