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ぺんぎん・らいふ  作者: 朝野りょう
ぺんぎん・らいふ+(プラス)

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6.みんなでお茶を(1)

 キタミは一緒にいる映像を撮ってくれると言ってくれたが、すぐにとはいかなかった。

 やはり宇宙人は普通には撮れないのだそうだ。

 キタミが細工するから待って欲しいというので、期待することにした。

 キタミは天才だから、きっと実現してくれるに違いない。

 

 

 

 翌日のお昼休み。

 

「米田さん、友達が呼んでるよ―」

 

 言われて戸口を見るとキタミがいた。

 今日はいつも一緒にお昼を食べている杉野さんが体調悪くて早退したため、私は一人でお昼を食べようとするところだった。

 

「キタミ、どうしたの?」

「杉野さん休みだろ? 佐保、一人かと思って。お昼、もう食べたのか?」

「まだ」

「じゃ、一緒に食べよう」

「うん」

 

 どうやら杉野さんが休んでいるのを知って、お昼を誘いに来てくれたらしい。

 休み時間に私の教室を通りかかった時に様子を見ていたのだろう。

 

 

 天気がいいので屋上で食べることにした。

 私は母が作ってくれたお弁当。

 キタミはコンビニの松阪牛弁当だった。

 松阪牛、とは。なんとそそられる弁当名か。

 

「あ―んしてみ?」

 

 え?

 キタミが差し出す箸の先にはタレ付き松阪牛の焼肉がべろんと垂れて揺れている。柔らかそうなお肉が私の目を誘う。

 ううっ。

 ここは学校の屋上で、弁当を食べるために上がっている学生は私達だけではない。

 ここで、あ―んは、どうなのか。

 だがしかし、松阪牛!

 まつざかぎゅうぅ――――――。

 私は素直に口を開いた。

 

「美味しい―、柔らか――」

 

 もぐもぐと肉の柔らかさを堪能する。

 こうしてあ-んするのも抵抗がなくなっているようだ。

 マズイとは思うのだが。

 

 キタミの忘れろ電波が強力だから、誰も見ても見てないとわかっているから、ついつい誘惑に負けてしまう。

 なにせ松阪牛。

 

「じゃあ、私の弁当のミニハンバーグをどうぞ!」

 

 私はキタミにハンバーグを箸でつまんで差し出した。

 自分から「あ―ん」させてしまうのだから、抵抗がないどころではない。

 

「佐保のお母さん、料理上手だな」

 

 キタミは笑顔で褒めてくれたが。

 ごめん。

 それ、レンジでチンの冷凍食品だよ。

 手作りの味でなくて申し訳ない、と心を痛めていると。

 

「仲がいいなぁ」

 

 溜め息をたっぷり含んだ声の主は、黒沢だった。

 キタミは黒沢をチラリと見上げたが、全無視して私に肉を差し出す。

 

「佐保、あ―ん」

 

 黒沢が見ている状態だと、やりにくい。だが、相手は黒沢だ。

 私はキタミの箸から肉を食べた。

 

「佐保、俺には?」

 

 キタミに促され私は黒沢の見下ろす前でキタミにおかずを差し出し、食事を続けた。

 

 黒沢に用件を聞けば済んだだろうに。

 なぜかキタミは彼に声をかけようとはしない。

 黒沢も私達のそばに立ったまま邪魔をしている。

 どっちもどっちなのだろう。

 

「北見、相談に乗ってくれ」

「またフレンド登録を断られたのか」

 

 黒沢の沈黙には悲哀が滲んでいた。

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