2.可愛すぎるのも大変です(6)
部屋に入ると、私はバスルームに放り込まれた。
「黒沢、俺の服、買ってきてくれ」
「いいぞ。米田さんの分も買ってこようか?」
「いらない。佐保のものは俺が用意する」
「あ、そ」
そうして黒沢くんは部屋から追い出された。
たしかに二人ともどうしようもないとはいえ、本当に面倒見いいよな、黒沢くん。
私の分まで考えてくれるとは。
で。
このホテル。
なぜ、バスルームと脱衣所を仕切るのが美しいガラス張りなのか。
普通ならば曇りガラスとか中が見えない配慮をすべきでは?
なのに透き通る指紋一つない美しいガラス張りとは。
こんなスケスケ状態でお風呂に入るのは、日本人として如何なものだろうか。
理解に苦しむ。
そこへキタミが入ってきた。
「すぐ洗ってやるな?」
「待って! 私、自分でシャワーするから、同調解いて」
「駄目だよ。今、同調を解いたら、佐保の服までびしょ濡れになってしまう。クリーニングに出せば、明日には乾くだろうけど。佐保は女の子なんだから、裸ですごすのかどうかと思うな」
そこだけ女の子を出すのか!
そりゃ、確かにそんな状態で明日まで過ごすのは絶対に嫌だが。
「シャワーの間だけ同調を解けばいいじゃない!」
「シャワーで綺麗にした後、海水まみれの姿に同調しても、意味ないだろ?」
そ、そうなのか?
私が綺麗になれば同調のペンギンもそうなるのかと……。
違うの?
え、違うの?
じゃあ他の方法は、と私は必死に考える。
このままではキタミと一緒に風呂に入ることになってしまう。
慌てている私に、彼は笑って言った。
「今の佐保はオスなんだから、俺と一緒に風呂にはいっても問題ないよ」
このペンギン疑似体って、オス!?
いや、だから。
そういう問題じゃないんだよ。
という私の主張は、理解してはもらえなかった。
結局、私はキタミに身体を洗われることになった。
目さえ開けなければいいのだ。
他の案は浮かばなかったし抵抗できるほどの余力はなかったのだ。
洗われてしまえば、もう諦めもついた。
だる重い身体だったので、乾かしてもらってベッドまで運ばれてもされるがまま。
身体を拭いてもらうのも今は男なのだと思えば、乗り越えられるさ。
今は動けないから仕方ないのさ。
そうして我慢のシャワータイムを終えた私は、ベッドに横たえられると再び疲れがどっと押し寄せてきた。
あっという間に眠りに落ちたのだった。




