表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
てきとー転生英雄譚  作者: 腐れ紳士
てんせいのしょう
9/56

そのよん

 さて、大学に行く、と言われたが、なぜ大学で魔法なのだろう? 前世的には大学なんて勉強をする場で魔法を使う場では……魔法を学ぶ場ってことか?

 いずれにせよ、3歳児がそんなことを突っ込めば気味悪がられるに決まっている。一昨日漸く簡単な文が読めるようになったので、一人で絵本を読んでたら、両親に天才扱いされたしな。下手に自慢話の種にされて問題を引き寄せてもあれなので、知能的には自重する予定。

 ……どうせ、3歳児に大人の頭脳がついてるだけで、成長のリミットが3歳児並にあるわけじゃなし。


 大学は、乗合馬車に乗って小一時間といった場所にあった。どうやら帝都(ここは帝国でその帝都在住なんだよ)の面積の1割に相当する土地が、大学に使われているらしく、大学地区、などと呼ばれている。

 我が家はどうやら中流層の住宅街にあるらしい。……あれ? 貴族なのに?



 大学でお袋が受け付けを済ませると、小さな部屋に通された。神秘的な……などということはなく、なんかの研究室か病院の診察室を連想させられる。

 部屋には40過ぎと思しき青いローブを着たおっさんがいた。


「クリスティア君か、久しぶりだな」

「ネザール先生もお元気そうで」


 知り合いか。


「ママは昔この大学に通ってたのよ。で、その時の先生」


 ふ~ん。


「ふむ。息子さんか、調べたいというのは」

「はい。息子が魔法を使いたい、と言い出したので、適正だけでも見てもらおうかと」

「なるほどな。ええと、ウィル君だったか。魔法使いになりたいのなら、おじさんのいうことを聞いてね。まずはこれを飲んでくれないかな」


 ネザールなるおっさんに渡されたのは、カップに注がれた青くてどろりとした液体。100cc位。まずそうだが、適性を見るとやらに必要なのだろう。グイッと飲む。

 マズッ!?

 吐きそうだったが、我慢してなんとか飲み込んだ。


「お、えらいね、我慢して全部飲めたなんて、凄いぞ。それじゃあ上を脱いで裸になってくれるかな」


 服を脱ぐと、ネザールの手が胸に当てられ、ネザールは目を軽く瞑り、ぶつぶつと呪文を口の中で唱える。

 何かの魔法だろう。胸に触れる手から淡い光が漏れている。……これ、相手が女性でもやるのか?


 数分ほどそうしていただろうか。ネザールの手から光が消え、ネザールが目を開いた。


「ウィル君、よく頑張ったね。もう服を着ていいよ」


 服を着る間に、ネザールはお袋へと向き直った。


「さて、クリスティア君。結果だが、精製炉の質はかなり高い。純粋に魔力量だけを言うのなら、鍛えればかなりのものになるだろうね」

「本当ですか!?」

 よくわからないが、才能があるようだ。異世界に転生して、天才とは。なんか物語の主人公みたいだ。お袋も喜色満面である。


「落ち着きなさい。君も母親になったと思えば、まだまだ子供だな。話はおわっとらんよ。

 精製炉の質は高かったが、接続路の方に問題がある。頑丈なのはいいことだが、外へのつながりが全く見えん。これでは種火一つ作れんわい」


 ……あれ? 俺の華々しい天才魔術師デビューはどこへ?


「それって……」

「うむ、事実じゃよ。珍しいがいないわけではないしの。まあ、訓練を積めば自分自身に掛ける魔法なら習得できるじゃろう。身体強化、自己回復魔法、後はレジスト系か。じゃが肉体にかかる負荷を考えれば危険で効率が悪い。学ぶな、とは言わんが、よくよく見てやることが肝要じゃ」


 えーと。誰か俺にわかるように説明してください。

 間違いないのは、俺の魔法使いデビュー物語は消えた、ということか……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ