“夏の虫 弐”
“ぇ。だから、それはなんのために?”
誰かがそう云ったときだった。
ダァーーーンッ
ここが地下だと思っていた僕には、突然の要らない来客に何がなんだか判らずただ呆然とした。
“ぉい、呆けている場合か、しっかりしろ”
Jさんの声に皆が、気を取り直す。ぼーっとしていたのは、ぼ、僕だけじゃなかったんだ、良かった~;と思ったのも束の間、満ち満ちた殺気を肌で感じた。ぇ、なにこれ。
“な、なに、このヒトたち。”
“ダイたちの、空世の回し者だな、おそらく”
“む、無理じゃね?”
“で、ですよね……俺らいたって戦闘向きじゃないし……鉛筆の芯はもうないし”
そう云いながらも、NTさんとOさんは棒を、NNさんは……僕には判らない何か;を、KKさんは……変わらず除菌噴射ボトルを左手で盾にし、右手に棒を;……Jさんは皆より1歩に出て左手を水平にし、まず下がれと合図を送る。彼の右手側にいた僕は……僕は仕方なく後ろを回って皆の側へと移動した。
“ぇ。だって、誰も気付かなかったわけでしょ?っとするとさ、直にここへ飛んできたつか、”
“うんうん、桁が違う。戦闘にならないね。何を空世はそんな焦っているんだか”
焦って。その真意はともかく、何故僕らが戦闘に巻き込まれているのか誰も理解できないのはたしかなわけで。だいたい、例の屋敷の主であるソーさん、後でお金振り込むとか云ってたけれどそれ関係でもないだろうに;
“ぉい、”
Jさんが迎えざる来客に話しかける。
〔話すことなどなにもない、ただ黙ってこの場に居れば手出しはしない〕
“……;お前だよ、お前らじゃねぇ”
“ぇ?”
“……き、キミのことみたいだよ?”
“へ?……な、なんでしょ……お、か?”
“見て、憶えろ”
“な、何を……、”
と、僕が云いかけたときには既にJさんは招かれざる来客の1体をショートさせていた。
“……な、なに、今の?み、見えなかったんだけど?”
“す、す、みませ……ぼ、僕もわけ判らなかったんですが……”
“だから、こうだよ、こう”
彼は続けて2体目をショートさせ戦闘不能にさせていた。あまりの速さに誰も……ぇえ、誰も。……僕を除いて……誰も。残る1体……だけど、ここはさ?
“す、すみません、ぇっと、”
“ぇ、なになに?J氏どうやってるのよ、全く判んないんだけど”
……僕は判っても……そんないきなりやらせる気満々な態度をみせられてもね、ご遠慮願いたいですし。だいたい、見て即実践できるほど僕は柔軟じゃない。……ただ。もし……。例外もなくはない。
“つかさ?Jさん、俺らと違ってS級だから出来る業なんでしょ?そうっしょ?”
“……さて。こいつ、どうするか。まだ俺らに手出しするなら、他の2体と同じく産廃行きになるが……どうする?”
“な、なんで訊くかな、Jさん続けてやっちゃえばいいじゃん”
〔ーーーーーわかりましたーーーー〕
空世の贈り物はあっさり一瞬にして退き下がった。……今頃は本拠地とか、支部へ帰還しているのだろうか……。
“……帰還しても、産廃になるだろうがな”




