戦う理由
「どこでって…あぁそうか。君たち、無所属だったね」
青は、命の危機ともいえる状況の中、最初は困惑していたが、直ぐに納得したような顔をした。
「は?無所属?」
「まぁ、マレウスデイで異能使いの自覚を持ったのなら組織について知らなくても無理はない」
そうして、青は組織について語り始めた。
「異能使いが所属する組織、カルネテル。いつ、どこで、誰が作ったのか。誰がトップなのか。何もかもが闇に包まれている。そんな怪しい組織に所属する理由は人それぞれだ。人類に害をなす神獣を討伐する為、人類進化を促進させる為、はたまた、特に理由はないが異能使いだからなんとなくでは言った者なんかもいる。だが、組織に所属していれば神獣や、それを使って悪さをしている異能使いの情報もすぐに入ってくる。あと、組織からの依頼を達成すれば金稼げるから、それで生計立ててる人もいるな」
青がしゃべり終わるころには、それぞれが武器を向けるのをやめていた。
「なるほど。そこで聞いたって訳か」
「そうだ。時々君たちを勧誘しようと試みる人たちもいたけど、結局マレウスデイを乗り越えた者たちという肩書にビビッて全員計画だけで終わったよ」
「ねぇ、その組織内でボクたちどういう扱いなの?」
才賀は、疑問に思って聞いた。確かに、青の言い方的に何か凶悪な人たちだと思われている雰囲気を感じる。
「基本的に血も涙もない冷酷な人たちの集まりだと思われてるよ。あれだけ大きな事件の中心にいて、五体満足で生き残ったっていう事実が変な解釈されまくってるんだろうね」
「うわマジか…」
主時たちは、それなりにショックだった。元・3-Dは癖が強い人が多いが、共通してみんないい人たちだ。それを血も涙もないと言われたら流石にショックである。
「でも、見る感じどうやらそういうわけではないみたいだね」
「うん。本当なら戦いたくない」
「わざわざ死に自ら近づきたくない」
「そもそもボクたち、まだ高校生だよ?」
「精神的にもちょっと辛い…」
「戦闘系の発明をする口実になるのはいいけど…」
「いつ全員で集まれなくなるかって思うと怖いからね…」
全員、血も涙もあるようだ。
「それに、血だったら爽がよく流してるし」
「血も涙もないってそういう意味じゃないぞ」
主時の小ボケに爽がすかさず突っ込んだ。青からすればおかしな光景だが、他4人、元・3-Dからすれば、2人の日常ともいえる光景である。
「それじゃあ、なんで君たちは戦ってるんだ?」
青の疑問はごもっともだった。確かに、組織に所属していない彼らは富も、名声も大して得られない。それなのに何故戦うのか。
「なんでって、嫌なんだよね。自分に力があるのに人を助けないのって」
主時が口を開いた。
「別に異能のことを無視して普通に暮らす事なんて簡単だよ。でも、本当にそうしたら多分、ずっともやもやしたまま過ごすことになるんだと思う。今この瞬間も、本来なら自分が助けられた人が、助けを求めてるんじゃないのかなって。それが嫌だから俺は戦ってる」
「そんな相棒に死の間際まで付き合ってやるのが、拝受者の義務ってもんだろ」
「それに、主時だけじゃないからね。こんなこと考えてる元・3-Dは」
「友達が頑張ってるのに、それを助けられる力があるのに助けないのは嫌なんだよ」
元・3-D。暁主時をはじめとする一部の正義感の強い人達を助けるためにみんなで力を合わせる。お人よしの集まりと表現しても誤りはないだろう。
「それで、青は何で戦ってるの?」
目白が、ゆっくりと青に近づいて聞いた。
「君が戦さんの息子だって聞いた時は父親に協力する為なのかなって思った。だけど、だったらわざわざこんな話聞かないで攻撃してきてるか、勝てないと判断して逃走するかするよね。でも、君はどちらもしないで話を聞いてくれた」
目白の声は比較的小さいが、優しい声だった。
「そうだな。それに、ファミレスのカメラに写ってた海渡のこともわからない。それについても何か知らないのか?」
目白と創生の問。青はベッドから飛び降り、言った。
「わかった。全部答えるよ」




